大きな爆発音と共に、周囲に立ち込める白い煙。

そのすぐそばでは、複数の警察官などに取り押さえられている男の姿が――。

多くの人たちが慌てて逃げるなど、辺りは騒然。
男が銀色の筒のような物を投げつけ、爆発したのだ。
男が投げつけた先にいたのは、岸田首相だった。

演説の直前…岸田首相に投げ込まれた“銀色の筒”
事件が起きたのは15日午前11時半ごろ。
岸田首相は補欠選挙の応援のため、和歌山市の漁港を訪れていた。

到着すると、港で採れたエビなどの試食が6分ほど行われた。

試食を終えると、演説を行うため、駆けつけた有権者らと握手をしながら、数十メートルの距離を歩いて、移動する岸田首相。

すると、何かが転がるような音がした直後…

周囲から聞こえる悲鳴。
この時、すぐそばで取り押さえられた男が、銀色の筒のようなものを投げていたのだ。

さらに男は左手に別の銀色の筒のようなものを持ち、右手には何かを近づけているような動きが見える。

これは、投げ込まれた瞬間を捉えた映像。



岸田首相のすぐ真横を、筒のようなものが通過し、足元に落下しているのが確認できる。
岸田首相も驚いた表情を見せ、足元を見ている。

さらに、このおよそ1分後、ドンという大きな爆発音と共に白い煙が辺りに広がり、周囲が騒然となった。



男が取り押さえられた直後の映像には…。

「もう1個ある!もう1個ある!」
付近には煙のようなものが出ている筒と、さらにもう1つ、地面に落ちているものが確認できる。


動画を撮影した人によると、男は少なくとも3つの不審物を所持していたという。
岸田首相が到着してからわずか10分程の出来事…。
首相はすぐに車で現場を離れ、無事だった。
24歳男を現行犯逮捕…岸田首相は街頭演説を再開
警察は威力業務妨害の疑いで、24歳の男を現行犯逮捕。

免許証の情報から、男は木村隆史容疑者(24)とみて捜査している。
木村容疑者を取り押さえた漁師の男性は、当時の状況をこう振り返る。

男を取り押さえた漁師の男性:
斜め右くらいにいた。火をつけている感じもした。金属の筒みたいな…20センチくらい。本当に普通の感じの人、若い青年だった。(取り押さえた時は)抵抗していた。
岸田首相は現場での街頭演説を取りやめたが、午後は予定通りJR和歌山駅前で演説を再開した。

岸田首相:(15日午後、JR和歌山駅前)
先ほど雑賀崎の演説会場で大きな爆発音が発生した。多くの皆さまにご心配をおかけした。ご迷惑をおかけしておわび申し上げる。大切な選挙、ぜび皆さんと力を合わせて、最後までやり通さないといけない。
今回の事件を受けて、松野官房長官は警察庁に対し、要人警護の徹底を図るよう指示。
その後行われた千葉県内の演説会場では、演説する人の周囲に防護のための壁が作られるなど、厳重な警戒となった。
(「イット!」4月15日放送)