洗練された細やかなデザインが美しい純銀のジュエリー。

この記事の画像(17枚)

これらの繊細な模様は、秋田県の伝統的な技術を使って作られている。

銀線細工の職人減少がきっかけに

そこには、「故郷の伝統を守る」という、ブランドを立ち上げたデザイナーの思いがあった。

2022年12月に販売を開始したばかりのジュエリーブランド「TOUROU(トーロウ)」。

「TOUROU」のジュエリーは、扇をモチーフにした「sense-ring」(5万8300円)のほか、“お米”など日本をイメージしたモダンなデザインが特徴だ。

このブランドを立ち上げたのは、関東でファッションPRの仕事をしている小川晴香さん。

故郷の秋田県に関する“ある記事”を見たことが、ブランド設立のきっかけだという。

TOUROU JAPAN・小川晴香さん:
コロナ禍の2、3年前くらいに、伝統工芸職人の数が減っているという記事をたまたま見かけたのが行動を起こすきっかけ。銀線細工の職人さんが減っているという記事だったが、やっぱりそのときに地元のもので、小さいころから私は知っている工芸品だったので、結構ショックが大きかった。

銀線細工は、秋田県の伝統工芸品に指定されている。細いもので約0.2ミリの銀線を成形して、模様をつけていく技術だ。

職人の高齢化が進み、現在の職人の数は10人未満になってしまったという。

伝統工芸を現代に合わせ身近なものへ

小川さんは、幼い頃から馴染みのある銀線細工の技術を残すために立ち上がった。

この取り組みに賛同したのは、オーダーメイドで銀線細工の作品を製作する職人の佐藤房雄さん。

横手市の職人グループに所属している佐藤さんは、観光誘致のための現代的な作品作りなど、新たな挑戦を行っている。

銀線細工職人・佐藤房雄さん:
銀線細工のアクセサリーは秋田県にはあるけど、県外にはほとんどないので、そしたらそれを作れば県外のアピールにもなるし、こういう技術があるんだよというのを知ってもらえたら、きっかけとしていいと思う。

“日本の伝統工芸品にもう一つの新しい火を灯したい”という思いが込められ、「TOUROU(灯籠)」と名付けられたこのブランド。

職人の労働環境への配慮や、廃棄をなくすため、製品はすべて受注生産で行っているという。

TOUROU JAPAN・小川晴香さん:
伝統工芸品ってどちらかというと「工芸品コーナー」に置かれていて、少し敷居が高いと思われている方もいると思うが、気軽に手を取れる場所にあったらいいなと思っているので、日常的に身近に置いてもらえたら、そういうものが作れたらいいなと思っている。

秋田の伝統工芸品に“火を灯した”小川さんが見据える未来とはーー

TOUROU JAPAN・小川晴香さん:
銀線細工も、秋田の人は知っているけど、全国的に見ると知られていない現状があることを知ったので、きっと日本全国そういうものっていろいろなものがあるんじゃないかなと感じていて、少しずつそこを勉強して、自分の目で見て素敵だな残したいな美しいなと思ったものを、こういう感じで現代にアップデートして広げていけたらいいなと、今後の展望として思っている。

(「Live News α」4月13日放送分より)