軽くて柔らかいナイロン製のランドセルを、静岡県内の母親たちが開発した。子供が従来のランドセルを背負って、入学3日目に「肩が痛い」と言ったことがきっかけだ。毎年4~6月にピークを迎えるというランドセル選び、“ラン活”の最新事情とあわせ紹介する。

入学一年前の4~6月が商戦ピーク

静岡市の老舗カバンメーカー「池田屋」を訪ねた。

老舗カバンメーカーの池田屋静岡店
老舗カバンメーカーの池田屋静岡店
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小倉彩瑛アナウンサー
たくさんのランドセルがあり、カラーバリエーションも豊富ですね。定番の赤や黒だけでなく、ピンクに、ラベンダーや水色。どれにしようか迷ってしまいますね

池田屋では「子ども思い」をコンセプトに、13シリーズ92色のランドセルを販売している。

池田店長「(ラン活は)年々 早くなっている」
池田店長「(ラン活は)年々 早くなっている」

池田屋静岡店・池田将人店長
(Q.すでに“ラン活”は始まっているのですか?)はい、(4月時点で)もうすでに大勢のお客様にご来店いただいています。年々 早くなっています

2023年度モデルの販売実績(池田屋)
2023年度モデルの販売実績(池田屋)

こちらは2023年4月に入学した、新一年生向けのランドセルの販売実績だ。ピークは2022年4月から6月で、GWごろまでには どのランドセルにするか決めている家庭が多いという。

自由に選べる92色 子供が使いやすい工夫も

池田屋ランドセルのこだわりを聞いてみた。

パーツには子供が使いやすい工夫が
パーツには子供が使いやすい工夫が

池田屋静岡店・池田将人 店長
お子さんが使うものなのに、お子さんが使いにくいパーツがついていることが、ランドセルにはあります。お子さんが自分で操作できて、背負っていて苦痛を感じないように作りました。これだけたくさん種類がありますので、色選びを楽しんでいただければ

マチが広がり大容量に
マチが広がり大容量に

毎日、そして6年間も使うランドセル。だからこそ素材や機能性の違いで悩まず、子供たちが使いたい色のランドセルを選べるようにしている。
マチが広がるため、荷物の量に合わせて容量を調整できる。

型崩れしないよう変形防止版で補強
型崩れしないよう変形防止版で補強

6年間使用しても重い荷物を上にのせても型崩れしないよう、変形防止板で補強している。80kgの圧力かけても大丈夫だそうだ。

フックの着脱も簡単に
フックの着脱も簡単に

また小さな子供には着脱が難しいフックも、つけたり外したり、簡単にできるようになっている。

池田屋静岡店・池田将人店長
お子様が小学校にあがるというのは(親にとって)うれしいですし、ここまで大きくなったんだと感じる節目になります。同時に「この子はひとりで学校に行けるのだろうか」とか、「事故なく歩いて行けるのだろうか」とか、いろんな不安があると思うんですけど、ランドセルは丈夫に作っていますから、元気よく学校に通っていただければと思います

池田屋のランドセルの保証期間は6年間で、壊れた理由は問わず保証してくれる。「子供たちが、目一杯 小学校生活を楽しめるように」との願いからだそうだ。

池田屋ランドセルの人気の色
池田屋ランドセルの人気の色

池田屋静岡店で人気の色は聞いた。
女の子は1位ラベンダー・2位キャメル・3位 赤系で、男の子は1位 黒系・2位 紺系・3位 グリーン系とのことだ。価格帯は、5万円台から7万円台だそうだ。

 “子供の使いやすさ”をママが追求

創業73年の老舗、池田屋のこだわりのランドセルも魅力的だが、最近は新しいタイプも注目されている。浜松市南区の「ことゆく社」を取材した

ことゆく社(浜松市)を取材する小倉アナ
ことゆく社(浜松市)を取材する小倉アナ

小倉アナ
いろいろな色がありますよ。こちら布製で、でも形は四角くてランドセルです。持ってみると、かなり軽いです

「ことゆく社」はママ2人が立ち上げた
「ことゆく社」はママ2人が立ち上げた

ことゆく社共同代表
重くて大変というお子さんがとにかく多いので、まずはカバンから軽くなると負担は大きく変わるかなと

本当に子供たちに使わせたいランドセルを作りたい。
そんな思いから、2人のママが会社を立ち上げたのは2018年のことだった。

ことゆく社共同代表・和久田麻衣さん
一番最初は娘が入学して3日目くらいで「肩が痛い」と言い始めて。30分、外を(通学で)歩くために、こういう(従来の)かばんを選ぶかなと思った時に、何かちょっと違うかなと思ったのがきっかけです

ことゆく社共同代表・影山恵さん
自分が子供に使わせたい、こういう機能だったらいいなと思うものをつめ込んで、使わせたいなというのがあった

重さ760g キズにも水にも強いナイロン生地

何度も試作を重ね、2年かけてようやく完成したのが「ことゆくラック」だ。

生地に柔軟性があり大容量
生地に柔軟性があり大容量

重さはたったの760g。素材は軽くてキズにも水にも強い、ナイロン生地にした。生地が柔らかいため柔軟性があり、しかも大容量だ。教科書に習字の道具、筆箱、それに体操服をいれてもすんなり閉まる。
そしてサイドには水筒までたっぷり入る。買い替えを想定して、一回り大きいサイズも用意している。

背負いやすい工夫も
背負いやすい工夫も

ことゆく社共同代表・影山恵さん
色とか見た目だけで選ぶというより、子供がいかに背負いやすいか、楽にできるか、(選ぶときに)機能面も少し重視してもらったらいいかなと思います

ことゆく社共同代表・和久田麻衣さん
いろいろなランドセルや通学カバンがある中で、みんなが自由に使いたいものを選べるといいなと思う。「背負ったまま走れるくらい荷物が詰め込めるものがいいな」と探しているお子さん、あとは「小柄で、ちょっと大きいものは持てない」というお子さん。そういうお子さんに届けばいいなと思っています

ことゆくラックは13色
ことゆくラックは13色

ことゆくラックは通常サイズが3万9600円、ひとまわり大きいタイプは4万3450円で、4年生の頃に買い替えることも、想定しているそうだ。
ことゆくラックは毎年改良を重ねていて、今年は通気性をさらによくしたそうだ。色は13種類で、子供たちのリクエストを受け、バリエーションを増やしているという。  

お気に入りのランドセルを背負う新1年生
お気に入りのランドセルを背負う新1年生

昔はランドセルは赤と黒が定番だったが、20年ほど前にカラフルな商品が登場し素材や機能、デザインも、さまざまになった。
ランドセル商戦のピークは4月から6月頃で、すでに本格化しつつあるという。夏以降でも購入はできるが、人気の色やモデルを探すには早めの方が良いとのことだ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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