子供が小学校に入学する時に、共働きの親などが直面する「小1の壁」。番組で実施したアンケートには、「小1の壁」に直面した方々から切実な声が寄せられた。

「定時出勤を諦めました。お給料が減ります」
「正社員からパートに変更。正社員で働き、もう少し収入が欲しい」
「(閉園)午後6時はギリギリ。日々ドキドキしながら時間との戦い」
 収入にも、働き方にも関わってくる問題であることが伝わってくる。

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「小1の壁」問題が起きる原因は?

なぜこういう問題が起きるのかというと、保育園と小学校の子供たちの預かり時間が違うためだ。

朝は、保育園なら午前7時から子供を預かってくれていたのが、小学校に入学すると大体午前8時に登校となるため、親の出勤時間より登校時間が遅いと、子供が1人で家にいなければならないことになる。

夕方の時間帯は、小学校の授業が終わると、学童保育で子供を預かってもらうことはできるが、午後6時半までに閉まる施設が4割となっている。延長保育で午後7時まで預けられた保育園時代と比べて、子供を迎えに行く時間が早くなってしまう。

また、学童に預けることもできない方もいる。子育てにはお金も時間もかかるのに、正社員を諦めたり、精神的に追い込まれたりする現実は、何とかしなければならない課題となっている。

「制度設計と現実が乖離している。ようやく向き合おうとしている」

ジャーナリスト 安藤優子さん:
大前提になっているものと現実とが、乖離しすぎていると思います。例えば小学校は、お父さんは外に働きに行って、お母さんは家にいる。「ただいま」と家に帰ると、お母さんが「お帰り」と言ってくれる、そういう生活形態を前提としていた時代に整備されてきた

ジャーナリスト 安藤優子さん:
でも今、家庭は本当に多様化していて、お母さんが「お帰り」と言ってくれる家は少なくなっているでしょう。ずっと言われてきたことですが、制度設計と現実の乖離に、ようやく今、まともに向き合おうとしている。
世の中、いろんな人がいるということを前提として、現実を見て、いろんな人がいるのが当たり前だということで、対処してもらいたい

では、「小1の壁」をどう乗り越えていくのか。

自治体の中には、早朝の預かり・登校のサポートを行っているところがある。神奈川県大磯町では、朝の子供の居場所づくり事業として、月曜から金曜まで、平日の午前7時15分~8時15分まで学童施設を利用して、子供の預かりを無料で行っている。

国の方針では、学童保育の受け入れ体制の整備で、待機児童を解消していこうと考えている。学童保育の指導員の待遇改善で雇用を増やそうともしている。

自治体・国が解決に取り組むとともに、企業や社会の理解も必要

関西テレビ・神崎博デスク:
子供の受け皿となる、学校や学童に予算を入れて、人を増やして、充実させていこうという考え方があります。もう一方で親の会社側、まだ一部の公務員や企業に限られているかもしれません

関西テレビ・神崎博デスク:
育児フレックス制度によって、勤務時間を自分の都合に合わせて決められるようになっています。もっと理解を深めてもらって、より多くの企業でこういった制度を使えるようにしてもらいたい。人の少ない会社などでは難しいかもしれませんが、企業側の努力も必要なのかと思います

(関西テレビ「newsランナー」2023年4月6日放送)

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