顧客、カスタマーからの暴行、脅迫や暴言などの迷惑行為・ハラスメントである、「カスタマーハラスメント」の略称「カスハラ」
交運労協の慶島譲治 事務局長によると、近年は、交通分野での「交通カスハラ」が増加しているといいます。

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カスハラ問題に詳しいエス・ピー・ネットワークの主席研究員の西尾晋氏は、他の分野のカスハラと、交通カスハラの違いをこう話します。

エス・ピー・ネットワーク 西尾晋氏:
「公共交通機関」
というふうに言われていますので、やはり市民の方々の足となる役を担っていることから、どうしても「乗車拒否」をしにくいと。実際は正当な理由があれば、拒否ができるということがあります。

交通カスハラはどのようなものが多いのか。
業界団体が2万人を超える交通業界の人に「印象に残っている交通カスハラ」についてアンケートを行ったところ、1位は暴言、2位は同じ内容を繰り返すクレーム、3位は威嚇や脅迫、となりました。

1位の暴言については、「バカ野郎」「生きてる価値がない」「早く行け殺すぞ!」などがあげられました。

一般職も含めた交通業界で、「交通カスハラ」を受けたことがあるのか、実態調査を行ったところ、実に46.6%の人が「迷惑行為にあった」と回答しました。

業種別で見ると、タクシーが58%と最多です。

実際に、「交通カスハラ」に遭ったというタクシーのドライバーに話を聞くと、このような事例がありました。

ドライバー歴10年のタクシードライバー:
安全ボードを後ろから蹴られたとか、あとは後ろから首をつかまれたりとか、夜になるとやっぱりアルコールが入ってくると、そういう方が多いです。

ドライバー歴26年のタクシードライバー:
酔っぱらいが(目的地についたら)「ふざけんな、なんでお前ここに連れてきたんだ」ってなって、椅子は蹴っ飛ばすわ、金は払わないわって問題になったから、110番して警察に来てもらって。「警察でもなんでも呼べ」ってむこうも強気なわけですよ。
今度は警察官とけんかし始めて、(最後は)札束と小銭を外から僕に投げつけたんですよ。

酒に酔った乗客からの「交通カスハラ」が多いという声が聞かれました。

中には、ハイヤーの後部座席に座った乗客が、ドライバーの頭の後ろにあるヘッドレストの脇に足を乗せ、足の向きを変えることで進行方向の指示をしてきたという事例も。

エス・ピー・ネットワーク 西尾晋氏:
ハイヤーはやはり、会社が使っているようなイメージがあるので、どうしても上から目線になるという傾向が出てくるのかなと。さらに密室なので、他がいなければ“わがまま”が出てしまう場合というのがあるのだと思います。

「交通カスハラ」多い世代は?カスハラをしないための「みかんっていいな」

40代~60代から受けるケースが多いと言われている「交通カスハラ」。
公共交通機関の利用者が多い世代が、そのままカスハラの比率に反映されている可能性はあるものの、なぜこの世代が多いのか?

街でそれぞれの世代の方に話を聞いてみると、乗客側の言い分として以下のような意見がありました。

40代:一方通行の道に入られて遠回りされた時に、メーターが回った時はイラッとした。
50代:行き先のマンション名を伝えると「略称でいわねえと伝わらねえ」と横柄な態度をとられた。
60代:行き先を伝えても返事をしない運転手にイラッとする。

「交通カスハラ」をしないための心構えを、明星大学教授で臨床心理士の藤井靖氏に伺ったところ、大事なのは「みかんっていいな」という言葉だといいます。

み⇒みたままを言う…起きたことだけを受け止め邪推しない

かん⇒かんじとる…相手の気持ちを考える

てい⇒ていあん…解決に向けての方法の提案

いな⇒いな(可否を問う)…提案したことへの了承をとる

この頭文字を合わせた「みかんっていいな」を守ればカスハラをしにくくなるということです。

(めざまし8 「わかるまで解説」より4月6日放送)