「異染性白質ジストロフィー」乳児期にこの病気を発症すると、命は長くはないと言われている。愛する娘が2歳4カ月のときに判明するも、「楽しく過ごせる日々を送ってあげたい」と語る、家族の思いを取材した。

難病「異染性白質ジストロフィー」

福岡・春日市に住む塚本みのりちゃん。

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難病を患い、生まれて間もない頃から身体機能が少しずつ低下。5歳となった現在は、身体をほとんど動かすことができず、日常生活の全てに介護が必要だ。

ちょっぴりおてんばで笑顔が似合う女の子。みのりちゃんの成長に、父親の淳さん(37)と母親の友花さん(32)が違和感を覚えたのは、1歳半検診のときだった。

母・友花さん:
ほかの子より立てない、歩けないとか、おしゃべりがゆっくり。風邪をひいたあと、言葉の発達が遅れてしまったりとか

しばらく様子を見ていたが、状況は悪化するばかり。病院のすすめもあり、遺伝子検査を受けることになった。

父・淳さん:
「異染性白質ジストロフィー」って名前で、歩けていた子が歩けなくなったりしゃべれる子もしゃべれなくなったり

みのりちゃん、2歳4カ月のときに判明した病気は「異染性白質ジストロフィー」。大脳の白質が徐々に壊れてしまう病気で、身体機能も徐々に低下していく難病だ。

父・淳さん:
病気を知って調べると…、命が短い病気と出たから…

国内の患者数は、推定100人から200人。乳児期にこの病気を発症すると症状の進行が早く、命は長くはないと言われている。

母・友花さん:
この3年間でも、いろんなできなくなったことは見てきたので…、これからいつどうなるのか、何ができなくなるかとか分からないので

病気の有効な治療法はまだ見つかっていない。この現実に家族が出した答えは、みのりちゃんの笑顔がたくさん見られるように過ごすこと。

父・淳さん:
この子にとって楽しく過ごせる日々を送ってあげたい

母・友花さん:
楽しいことを家族みんなでして、笑っていてほしいとか長く楽しい時間が過ごせればいいなって思っています

24時間気を抜けない生活

この日は週に1回の、療育施設へ通う日。

長女:
みのりちゃーん…笑った…

母・友花さん:
(みのりちゃんは)基本的に塩対応。しれっとはしているんですけど、楽しくなるとニコニコして、喜怒哀楽が出ているので分かりやすい

療育の時間で、みのりちゃんが一番楽しみにしているのは布ブランコ。

ブランコに揺られて…
ブランコに揺られて…

先生:
みのちゃん行くよ~。ぶ~らんこ…

ちょぴりおてんばだったみのりちゃん。布ブランコを大きく揺らしてもらうことがお気に入りのようだ。先生に「もう1回する人~?」と聞かれ、みのりちゃんは笑顔を見せた。

大きく揺らされて笑顔になったみのりちゃん
大きく揺らされて笑顔になったみのりちゃん

先生:
好きね、布ブランコが一番好きね

母・友花さん:
きょうは、反応がいいですね。普通の寝顔もかわいいですし、伸びをするときとか、あんまり大きい声では言えないんですけど、ぶちゃいくな顔になったりするんですけど、それもかわいいですし、声を出してるときとか、全部かわいいです

食事は2年前からおなかに開けた穴にチューブを通す胃ろうで栄養を取っている。

母・友花さん:
反動でコロンと(横に)なるものの、そこから起き上がったりはできない。クシャミも刺激が強いのか、顔がぐっとなって、そこから自分のポジションまで戻れないので、ほぼ付きっきり

24時間気を抜けない生活が続く。

周囲からの声がけが助けに

同じ病気の家族を持つMLD患者会(異染性白質ジストロフィー患者家族会)の吉崎安浩会長は、閉鎖的になりがちな環境の中、周囲からの声掛けは心のよりどころになると話す。

MLD患者会・吉崎安浩会長:
精神的なところですかね、それなりの苦労をしているんで「大丈夫ですか?」って声をかけていただくだけでも全然違う

父・淳さん:
病気の子だけど普通の子と同じように接してほしい

母・友花さん:
こういう生活しているから、もし何かあったらこういう事をしてもらえると助かるとか、すごくコミュニケーションもとりやすくなるので、私的にはいろいろ声をかけてほしい

みのりちゃんが笑顔になる機会が、もっともっと増えてほしい。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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