小学校入学を機に子どもを預かってもらいにくくなり、保護者は仕事を辞めたり就業時間や業種の選択肢が狭まったりするケースがある。これにより収入が減ると「子どもの貧困」につながりかねないという。保護者をサポートし子どもを守るため、夕食の提供という新たな取り組みを始めた放課後児童クラブを取材した。

8人に1人が貧困状態

福島県郡山市が小学5年生と中学2年生の保護者を対象に行った調査では、回答した2割が「経済的に生活が苦しい」としている。
また、郡山市は市内の18歳未満の子ども8人に1人がいわゆる貧困状態であると推計している。

回答した2割が「経済的に生活が苦しい」 8人に1人が貧困状態
回答した2割が「経済的に生活が苦しい」 8人に1人が貧困状態
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郡山市八山田にある放課後児童クラブ「makana」 ここでは、午後8時半まで子どもを受け入れている。この放課後児童クラブで始めた福島県内初の取り組みというのが「夕食の提供」
NPOが運営するこの施設では、利用者の負担を少なくしようと地域のスーパーや飲食店から協力を得て、夕食の弁当などを安く販売してもらっている。

利用者の負担を少なくしようとスーパーや飲食店から協力を得て夕食の弁当などを安く購入
利用者の負担を少なくしようとスーパーや飲食店から協力を得て夕食の弁当などを安く購入

運営の課題 地域の力を借りて

一方で施設では、スタッフの確保など運営面での課題も抱えていた。
放課後児童クラブ「makana」では、現在小学校1年生から4年生までが登録。放課後支援員の資格を持つスタッフを含め4人が、多い日で10人ほどの子どもたちを預かっている。

放課後支援員の資格を持つスタッフを含め4人が多い日で10人ほど預かる
放課後支援員の資格を持つスタッフを含め4人が多い日で10人ほど預かる

2022年11月の開所後から登録者は徐々に増え、学習を支援するスタッフがさらに必要となってきた。しかし、国の交付金などを活用しながら運営しているが、利用者の負担を少なくしようと毎月の料金を抑えているため経営面では厳しい状況にある。

利用者の負担を少なくしようと毎月の料金を抑えている
利用者の負担を少なくしようと毎月の料金を抑えている

そこで施設が始めたのが、ボランティア向けのオープンスクール。働きたくても子どもを預けられない保護者の現状や、運営面の課題などを説明し、協力してくれる人を募っている。

オープンスクールでは保護者の現状や運営面の課題などを説明 協力者を募る
オープンスクールでは保護者の現状や運営面の課題などを説明 協力者を募る

オープンスクールに参加者した70代の女性は「人が足りない時間には来て、お手伝いしたい」と話し、また60代の女性は「学習支援のお手伝いをしたいと思ったので、自分が今まで培ってきた経験を、社会にお返しすることが出来ればいいなと思う」と協力に前向きな姿勢を示した。

施設では4月から30人の子どもが利用する予定で、地域の協力も得ながらボランティアを募り、支援の充実を目指している。

地域の協力も得ながらボランティアを募り支援の充実を目指す
地域の協力も得ながらボランティアを募り支援の充実を目指す

諦めないで働ける環境を

放課後児童クラブ「makana」を運営する、代表理事の緑川浩郎さんに話を伺った。
Q:放課後児童クラブが果たす役割をどう考えている?
「子育て中の保護者の社会参画・就労環境の改善に役立つのではないかと考えている。例えば、残業があったり、サービス業・医療・福祉そんな方々が、夢や希望を諦めないで働ける環境が整えられるのではないかと思っている」

保護者が夢や希望を諦めないで働ける環境を
保護者が夢や希望を諦めないで働ける環境を

Q:運営を維持していくためにどんなサポートが必要だと思う?
「makanaの活動に賛同していただける、地域のボランティアの方々が必要不可欠だと思っている。子どもたちがここで安心して過ごせるような、”見守りの目”になっていただければいいのではないかと思う。また、行政の支援についても一部補助はいただいているのですが、まだまだ足りなくてもっと多くの支援をいただければうれしい」

「makana」を運営するNPO法人代表理事・緑川浩郎さん
「makana」を運営するNPO法人代表理事・緑川浩郎さん

また施設を利用する保護者は「安心して預けられるので、仕事とのバランスが取れている」と話す。
子どもが安心して過ごせて、保護者も安心して預けられる場所が増えることで、子どもを育てていく環境や生活面・経済面への負担軽減につながるきっかけになるよう期待したい。

(福島テレビ)

福島テレビ
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