飲食店の挑戦。コロナで客足が落ち込んだ長野市の繁華街の居酒屋が挽回策として始めたラーメン。これが好調で、このほど専門店を出した。本業がコロナ前に戻らぬ中、ラーメンで巻き返しを狙っている。メインのメニューはボリューム満点の「二郎系」だ。

「ラーメン好き多い」 “二号店”オープン

極太麺の上に山盛りのモヤシにキャベツ。”二郎系ラーメン”を盛り付ける(あつ美二号・長野市)
極太麺の上に山盛りのモヤシにキャベツ。”二郎系ラーメン”を盛り付ける(あつ美二号・長野市)
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極太の麺の上に山盛りのモヤシにキャベツ。いわゆる「二郎系ラーメン」だ。

「あつ美二号」(2023年3月22日)
「あつ美二号」(2023年3月22日)

2023年3月22日、長野市桜新町にオープンした「あつ美二号」。オーナーの小林美紀さん(49)が「2号店」としてオープンさせたラーメン専門店。

あつ美オーナー・小林美紀さん
あつ美オーナー・小林美紀さん

あつ美オーナー・小林美紀さん:
ラーメンはみんな好きな方多いですし。コロナの一番ピークの時だったら、(新たに店を)出す勇気というのはなかったですけど、コロナが落ち着いてきたというのもあるので、きっかけになったかな。

コロナ禍で居酒屋苦境 昼のラーメンで打開

「1号店」は繁華街・権堂にあるが、ラーメン店ではない。小林さんが18年前に開いた居酒屋「酔祭美酒あつ美」だ。

1号店の居酒屋「酔祭美酒あつ美」はコロナ禍で売り上げが大幅に落ち込んだ(2020年撮影)
1号店の居酒屋「酔祭美酒あつ美」はコロナ禍で売り上げが大幅に落ち込んだ(2020年撮影)

常連客もつき、経営は順調だったが、コロナ禍で一変した。売り上げは一時、例年の1割程度まで落ち込み、小林さんは駅前にあった姉妹店を畳み、権堂の店の経営に専念した。

あつ美オーナー・小林美紀さん(2020年11月):
悲しい。(常連客から)本当は飲みに行きたいのに、行っちゃいけないって言われているからごめんねって。

少しでも客をー。

感染拡大が収まらない中、小林さんは昼の営業を始める。メニューは小林さんが好きな「二郎系ラーメン」にした。

あつ美オーナー・小林美紀さん(2021年9月):
夜が静かになってきたというのもあったので、きっかけといったら変なんだけど、ここでやってみようかなと勇気はあった。

昼営業で始めたラーメンは、近くで働くサラリーマンなどに好評(2021年撮影)
昼営業で始めたラーメンは、近くで働くサラリーマンなどに好評(2021年撮影)

板前と研究を重ねたスープは、豚足や「ゲンコツ」に「モミジ」を加えて煮込み、濃厚かつさっぱりとした味わいに。それに合う麺も特注した。

居酒屋から昼間はラーメン店の「あつ美二郎」に。近くで働くサラリーマンなどに受け、ラーメンはコロナ禍の店を支えてきた。

あつ美オーナー・小林美紀さん:
ラーメンがなかったら、一日静かだったなという日もあったので、ラーメンのおかげでお店がにぎやかになっているというのはある

コロナ対策が緩和 好調のラーメンで勝負!

現在の権堂。コロナ対策の緩和もあって店には宴会の予約も入るようになった。

コロナ対策の緩和もあって、「酔祭美酒あつ美」の客足は以前の7割ほどに戻った
コロナ対策の緩和もあって、「酔祭美酒あつ美」の客足は以前の7割ほどに戻った

客足は以前の7割ほどに戻ったが、小林さんは楽観しなかった。好調のラーメンに賭けることにしたのだ。

あつ美オーナー・小林美紀さん:
(客足が)コロナ前に戻ることはないんだろうなと思っているので、権堂の1店舗だけでみたら厳しいのかなと。きっかけとチャンスと、あればいい。

メインは「二郎系」 新メニューで客層広げる

3月22日、2号店のオープン初日。
待ちわびていた客が次々と訪れた。

「あつ美二号」のオープン初日(3月22日)
「あつ美二号」のオープン初日(3月22日)

場所は国道沿い。建物は去年まで飲食店だったいわゆる「居抜き」物件を借り、初期投資を最低限に抑えた。

あつ美二郎(並)800円
あつ美二郎(並)800円

2号店のメインも「二郎系」。スープに絡む極太麺は並で200グラム、大盛りで300グラムとボリューム満点。野菜も通常で200グラム以上乗る(並800円 大盛り900円)。

2号店では「あんかけ焼きそば」(950円)などの新メニューも。家族連れなど新たな客層を取り込みたい考えだ。

あんかけ焼きそば950円
あんかけ焼きそば950円

記者リポート:
パリっとした香ばしい麺に、具材がたっぷり入ったあんがよく絡んで、とてもおいしいです。

客から2号店は「新メニュー」も多いと好評だ。

あつ美オーナー・小林美紀さん:
何人かで来るときに、「二郎」は苦手な人もいるでしょうし、家族連れの方だったら、いろんなメニューあった方がいいのかなと思ったので、チャレンジしてみた。

「苦境」を乗り切るため「窮余の策」として始めたラーメン。今は巻き返しを図る武器になっている。

あつ美オーナー・小林美紀さん:
権堂だから来にくいお客さんもいると思う。女性やお子さん連れだったり、もっと来てもらえれば。ラーメンの方はまだまだ伸びていく可能性があると思うので、まだ知らない方も多くいる中で、少しずつでもあつ美というラーメン屋さんが、有名になってくれればと期待はしている。

(長野放送)

長野放送
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