道交法改正で4月から「努力義務化」となる自転車のヘルメット着用。命を守るためには必要と認識しながらも髪型の崩れを気にする人や、校則化に慎重な学校も。“罰則なし”での実効性を疑問視する人がいるのも事実だ。
ヘルメット“非着用”の致死率は2倍超
この記事の画像(19枚)生徒(1年男子):
うーん、あんまり正直意味ないんじゃないかなぁって、まぁ別につけなくてもいいかなみたいな
街の人(30代女性):
現在はまだかぶっていませんけど買ってからかぶろうと思っています
佐賀県内では毎年、3万台あまりが新たに防犯登録されているという自転車。平地の多い県内では、子どもや学生から大人まで乗る人が多く、手軽で生活に密着している。しかし自転車が関係する事故は2022年に362件発生し、2人が亡くなっている。
県警察本部 交通企画課・大屋隆管理官(当時):
自転車が関係する交通事故が発生した中で、ヘルメットをかぶっていなかったために、頭などを打たれて、けがされて亡くなるという確率が、ヘルメットをかぶられている方と比べたら非常に高くなっています
警察庁のまとめによると、ヘルメット非着用の場合の致死率は着用時に比べ約2.2倍。4月1日からは道路交通法の一部改正で、ヘルメット着用が努力義務化される。
県警察本部交通企画課・大屋隆管理官(当時):
かぶっていただく子どもさんなんかも大変増えてきている中ではありますけど、それ以外の年齢層の方に関しては、まだまだヘルメットをかぶっていただけるような状況にない
「努力義務化」のため、着用していなくても罰則はありませんが、警察は命を守るために着用してほしいという。
県警察本部交通企画課・大屋隆管理官(当時):
ヘルメット着用の安全性、これをしっかり呼びかけていきながら多くの県民の皆さんが、自主的にヘルメットをかぶって自転車を運転していただくというふうにしっかり呼び掛けていきたいなと思っております
着用の必要性は分かるが、実際は…
一方、着用の努力義務化に対し、街の人は…
街の人(30代男性):
そこまで必要なんすかねぇ?バイク乗っていた時期もあったんですけど、仕事とかで髪型セットして仕事行くときとかはバイクでもし行ったときってヘルメットかぶんなきゃいけないから、それだったら車でいいかって
街の人(30代女性):
中学校のときに事故にあって、ヘルメットをかぶっていて助かりました
街の人(60代女性):
着け外しするのもけっこう時間がかかるし、パーッと行かんといかんときが多いから…でもしないといけないっていうのは分かるんですけど
街の人(40代男性):
なんで中学生までかぶって高校生からかぶらないんですかね?
“校則化”には慎重な高校も
県内の中学校では生徒に対し、自転車で通学する条件としてヘルメットをかぶることを定めているが、高校では定められていない。
県教育委員会はヘルメット着用の努力義務化に伴い、2月、県立高校に対し、生徒や保護者へ着用を呼び掛けるよう通知した一方で、校則についてはそれぞれの学校の校長が定めるものとしている。
790人の生徒の多くが自転車で通学している佐賀市の佐賀西高校。生徒や保護者にヘルメット着用の努力義務化を周知はしているが、通学時などの着用を校則で定めることには慎重だ。
佐賀西高校・青木勝彦校長:
校則となると、それを絶対守らないといけないというルール化になるので、そこはもしヘルメット着用を校則化すれば保護者への経済的な負担というのも当然発生してくるので、そこは丁寧に説明とか準備するための期間が必要かなというふうに思いますね
一方、自転車通学の生徒は努力義務化について…。
生徒(2年女子):
あんまりヘルメットしたくないなって思います。中学生のときのヘルメットでなんか暑いとかずれ落ちたりしてちょっと視界が悪くなったりするときがあるからです
生徒(1年女子):
ちょっと嫌です。髪型が崩れるので。学校の校則で決まったらかぶります
生徒(2年男子):
たぶんあまりつける人はいないんじゃないかなって思います。邪魔になったり置き場所に困ったりするので
生徒(1年女子):
1回、自転車で転んでしまって、そのあとから運転するのに怖いなって思ったことがあったので、罰則なくてもヘルメットする可能性はあるかな、とは思います
ヘルメットの着用について様々な意見がある一方、佐賀市の自転車販売店では、2022年の夏ごろからヘルメットの売れ行きが好調だという。
セキモトサイクル・末次英明さん:
仕入れ先にもヘルメットの在庫はない状況で種類によっては全くの入荷時期が未定というものも増えてきています
買い求めに来るのは大人が多いということだ。
セキモトサイクル・末次英明さん:
通勤で自転車を利用されているところなんかは「職場からヘルメットをかぶりなさい」と言われたので見に来ましたという人も
また、大人に人気なのが帽子に近い形のものなどデザイン性の高いヘルメット。
セキモトサイクル・末次英明さん:
いかにも“自転車のヘルメット”というのではなくて、普通にかぶりやすい形のものを選ばれています
自転車のマナー・ルール順守も必要
着用の努力義務化に向け需要が高まる中、警察はヘルメット着用だけでなく、自転車のマナー向上や交通ルールの遵守も呼び掛けている。
県警察本部交通企画課・大屋隆管理官(当時):
自転車も車というふうなことをしっかり認識していただいて交通マナーを守って安全な運転に努めていただきたいと思っております
(サガテレビ)