生きることの意味を歌詞にした曲で、東日本大震災で遺族に寄り添う岩手・盛岡市の女性がいる。女性は耳に障害があるが、被災地へのあふれる思いを歌に込めている。震災の犠牲者を悼む法要で、女性自ら手話を交え曲を披露し、その思いを届けた。
青いロウソク由来の曲披露
東日本大震災の発生から12年を迎えようとしていた2023年3月4日、一関市藤沢町の藤源寺では、震災の犠牲者を悼む「命灯会(みょうとうえ)」と呼ばれる法要が行われた。

法要に参加したのは、宮城・気仙沼市で大切な人を失った遺族などだ。参加者は、「生きることができなかった“いのち”」と「生かされた“いのち”」に灯す青いロウソクを手にしていた。法要では、このロウソクが由来となった歌「青い蝋燭(ろうそく)」が披露された。
あふれる思いを歌詞に…
曲の作詞をした盛岡市在住の星ゆきこさん(56)は、後天性の感音性難聴と呼ばれる障害があり、音のない世界を生きている。

星ゆきこさん:
1歳半の時に熱が続いてひきつけを繰り返して、それが原因じゃないかと言われていた
二戸市で生まれた星さんは、小学校から高校までは普通学校に通った。
星ゆきこさん:
言葉の教室で日々訓練して、いい先生に巡り合えた。話せるように訓練でした

高校卒業後は民間企業に勤めた後、1993年からは岩手県職員として働き、福祉の仕事や、2016年の国体・障害者スポーツ大会の運営なども行った。

2011年3月11日の東日本震災発生時、星さんは盛岡市で大きな揺れを感じた。その後、テレビから毎日のように流れてくる津波の映像を見て、震災2週間後からボランティアとして支援物資などを届け始めた。

星ゆきこさん:
毎日津波の映像が流れていて、子どもたちがかわいそうだということで、子どもたちが好きな漫画のDVDを集めて渡した
その時のあふれる思いを歌詞にした曲が「青い蝋燭」だ。
「生きていればきっといいことが…」
「青い蝋燭」の作曲は、当時一緒にボランティアを行っていた北上市出身のマンドリンシンガーソングライター・清心さんが手掛けた。曲が披露されたこの日、星さんも手話を交えながら思いを会場の人に届けた。

「青い蝋燭」の歌詞
あなたの町が波にのまれたとき わたしになにができたのだろう
同じ空が続いているのに ココロはあなたの元にあるのに
…
だから ただただ ひたすらに祈るのよ
残されたあなたは 生きて 生きて 生きぬいてと
生きて 生きて 生きぬいてと

いのちの尊さが歌詞に込められた「青い蝋燭」。会場の人たちにも星さんの思いが伝っていた。
法要に参加した遺族:
生きて生きて生きぬいてという歌詞に、頑張らなきゃといつも勇気をもらいます
参加者:
また新たな気持ちで、残された人として頑張っていかないといけないんだな

星ゆきこさん:
生きるってすごくつらいことが多いと思う。でも頑張って生きていれば、きっといいことがあるよって伝えたい
星さんはこれからも被災地に寄り添い続ける。
(岩手めんこいテレビ)