福岡・糸島市の商店街の中にある小さな書店。経営しているのは現役の大学生だ。“4畳半”という狭さで店を経営する理由に迫った。

店長は九州大学の2年生

1年前にオープンした小さな書店「ALL BOOKS CONSIDERED」。建物2階に上がると…。

高島彩記者:
こんにちは~。店内、かなり狭いですけど、独特の世界感が広がっています。どういったお店なんでしょうか?

中田健太郎さん:
同じ大学の同じ学部の4人で好きなことをやっている本屋です

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店内の広さは、なんと4畳半!店長は九州大学共創学部の2年生、中田健太郎さん。同じ学部の仲間4人で共同経営をしている。

店内に並ぶ200冊の本は、4人が独自に選んだ新刊や古本。選ぶ基準は「読んだあとに考えが揺さぶられる本」だという。

中田健太郎さん:
この本、「新しい声を聞くぼくたち」っていう本なんですけど、フェニミズムに対して男性がどう動いたらいいのかとか、どう考えたらいいのかみたいな内容が気になるし、切り口もおもしろい

2人も入店すると、身動きも取り辛い狭さ。しかし4畳半という店の狭さには、大きな理由があるという。

中田健太郎さん:
お客さんが手に取ったときに、これはこういうおススメのポイントありますよっていうことができるのは、この広さがすごく適している。世間話をすることもすごく多いですし、そういうお客さんとの交流が自然に起こるというのは、この狭さの魅力なのかな

書店を始めたきっかけ

ここは本を通して会話が生れる書店。

県内外からも「本好き」が訪れ、長いときは1~2時間、話し込むこともあるという。中田さんたちが、この書店を始めた動機を聞いた。

中田健太郎さん:
高校のときに通っていた本屋さんがあって、自分の将来が分からなくなった時期で、そういうときに世の中っていろんな可能性があるっていうか、考え方って一通りじゃないんだ、それを本から教えてもらった。本でいろんな世界があるっていうのを自分で表現したい

オープンして約1年。仲間たちと夢を持って始めた本屋だが、実際には、経営はぎりぎり。学業と両立しながらの運営のため、開店できる日は時期によってまちまちだ。多い日には20人ほどが訪れるが、当然、来店客ゼロの日もある。いまのところ毎月の経費を払うだけで精一杯なのだが、店長の中田さんは前向きだ。

中田健太郎さん:
もちろん、利益を出すのって、お店っていう体裁を持ってる上で、すごく大事なことだと思うんですけど、自分の一番やりたいことをやめたくない、そういうのに尽きる。まだやれるって思うことがたくさん残っているから、続けることが大事だと…、卒業したあとも続けるつもりです

書店は約10年でほぼ半減

書店調査会社によると、2000年には全国に2万1,000店あった書店は、2021年に1万1,000店とほぼ半減している。合わせて紙の書籍の販売額も減り続けているのが現状だ。

4畳半の「小さな本屋」で挑戦を続ける大学生。「本」を仲立ちに生まれる親密なコミュニケーションに大きな可能性を感じている。

(テレビ西日本)

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