3月19日は「ミュージック」と読めることから、“ミュージックの日”。 

ということで今回、想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」が調査したのは、「コンサート」。

演奏場所が寒すぎる「極寒コンサート」、寝ることを目的とした「眠くなるコンサート」、演奏方法にビックリ「楽器を楽器として使わないコンサート」、音楽と調理の融合「カレー調理音のコンサート」など…、ナナメ上に進化しちゃったコンサートを一気に紹介する!

まずは、なんでそんな所で!?ナナメ上な会場で行われたコンサートから。

-50℃!極寒コンサート

ギターを弾きながら歌うのはイギリスのシンガーソングライター、チャーリー・シンプソンさん。

チャーリー・シンプソンさん
チャーリー・シンプソンさん
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演奏を聴く観客たちの表情は、なぜか全然楽しんでいない!?むしろ、つらそうにも見える。

というのも実はここ、 “世界一寒い定住地”としてギネス世界記録に認定されているシベリア・オイミャコンという村。

シベリア・オイミャコン村
シベリア・オイミャコン村

北極圏のわずかに南に位置するオイミャコン村。1年の半分以上は冬で、1月の平均最低気温はなんと約-50℃という、まさに極寒の地で行われたコンサート。

ギターを演奏するために、シンプソンさんの指先は手袋からはみ出ている…。

袖にカイロを詰め込み、さらに凍傷を防ぐため、曲と曲の間には最大30秒の休憩を取りながら、臨んだシンプソンさん。

ちゃんと演奏ができるように巨大冷蔵庫の中で何度も予行練習を行ったというが、なぜここまでして、極寒の地・オイミャコン村でコンサートを開いたのか。

シンプソンさんは「(世界一寒いところでコンサートが)できてよかった。こんなこと、今まで誰もやろうとしなかったからね」と笑う。

「誰もやったことのないコンサートをやりたかった」というとてもシンプルな理由だった。

続いては、演奏の目的がナナメ上なコンサート。

ねむくな~るコンサート

コンサートといえば、音楽を聴くために行くのが一般的だが、2018年7月、アメリカ・ロサンゼルスのとあるホールで行われたコンサートでは観客たちが…、横になってくつろいでいる!?しかもその数、500人以上!

画像:『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』 配給:アット エンタテイメント
画像:『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』 配給:アット エンタテイメント

実は寝ることが目的のコンサートで、題名は「SLEEP(スリープ)」。企画したのはイギリスの作曲家マックス・リヒターさん。

リヒターさんは脳科学者と共に音楽が睡眠に及ぼす影響を分析し、究極の睡眠をもたらす音楽を奏でるコンサートを開催。その演奏時間は、なんと…、約8時間!

画像:『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』 配給:アット エンタテイメント
画像:『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』 配給:アット エンタテイメント

30以上の“ねむくな~る”曲で構成され、夜中に始まり明け方に終了するというこのコンサートでは、会場に並べられたベッドで眠るのもよし、歩き回るのもよし、外に出るのもよしという、なんとも自由で型破りなコンサートなのだ。

ちなみに世界各国で行われたこのコンサート、数万円のチケットが数分で売りきれるほど、人気だという。

続いては、演奏方法がナナメ上なコンサート。

楽器を楽器として使わないコンサート

スウェーデン在住の現代音楽家・宗像礼(むなかたれい)さん率いる音楽ユニット「Curious Chamber Players(キュリアス・チャンバー・プレイヤーズ)」が開くコンサート。

ステージには楽器を持った奏者と指揮者の12人がスタンバイしている。

Curious Chamber Playersのコンサート
Curious Chamber Playersのコンサート

演奏開始から4秒後、フルートを構えた奏者が、いきなり空き缶らしきものを投げ捨てた!?

一体何事なのか!?と思っていると、今度はシリアルのようなものをむさぼる男性。

さらには楽器を手放して謎のカラフルなチューブを振り回す女性など…、奏者たちは持っている楽器を弾くことなく、次々とビックリする行動に出る!

ステージは楽器本来の使い方とはかき離れた、もはやカオスな状態…。

観客が驚いていると、なんとそのまま演奏は終了してしまった。

これは一体、どういうコンサートなのか?

スウェーデン在住の音楽家・宗像礼さん
スウェーデン在住の音楽家・宗像礼さん

「いろんな曲を書く人がいるので、なかなかお客さんの気を引くのは難しい。聴くからにはお客さんにもいろいろ考えて楽しんでもらって、ナナメ上の曲を書くことが僕のゴールです」(宗像礼さん)

「身の回りの音」などを用いて、観客の気を引く音楽を目指した、なんともナナメ上なコンサート。

こうした前衛的な音楽は「ノイズミュージック」というひとつのジャンルを築きつつあるのだが、その極めつけとも言えるノイズミュージシャンを日本のライブハウスで発見した。

カレー調理音のコンサート

ライブハウスのステージから聞こえてくるのは、なんだか聴きなじみのある音。

ちょっとミステリアスな男性の手元には楽器ではなく、包丁と野菜!? 

実はある料理を作る音をマイクで拾い、エコーなどの効果をつけながら演奏しているのだが、一体何を作っているのか?

切った野菜を鍋に入れると、鍋に向かって歌い始めた!

そして鍋に木のヘラをぶつけたりしながら、煮込むこと30分。出来上がったのはカレー!

カレーの調理工程で出る音を音楽として奏でるミュージシャン、その名も「ノイズカレー」さん。

最初はライブハウスでカレーを作って提供しようと思っていたのが、なぜかステージの上でカレーを作るようになり、それが観客にうけて定期的にやるようになったという。

ノイズカレーさんがステージ上で作ったカレー
ノイズカレーさんがステージ上で作ったカレー

ノイズカレーさんの作るカレーのポイントはサラサラ!

トロッとした仕上がりになると音のバリエーションが狭まるため、市販のルーは使わず、サラサラのカレーを作るという、こだわりぶり。

ノイズカレーさんの音楽を浴びながら作られたカレーは、熟成が進みおいしくなる…、らしい。

またライブ後には作ったカレーを自分で食べたり、適切な指導の下、別の場所で作ったカレーを観客に振る舞ったりしているのだという。


数々の常識を覆す新しい形のコンサート。みなさんもナナメ上なコンサートを体験してみてはどうでしょうか。

(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年3月14日放送)