「銀行システムは安全」と強調も“経済への影響”が懸念

アメリカで史上2番目の規模となるシリコンバレー銀行の経営破綻を受けて、バイデン大統領は緊急会見を開き、「銀行システムは安全だ」と呼びかけた。

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バイデン大統領は、銀行預金の保護を強調。損失は、銀行が預金を保護するために積み立てている基金から埋め合わせるため、「納税者の負担はない」と重ねて訴えた。

シリコンバレー銀行の総資産は、日本円で約28兆円。アメリカメディアによると、銀行の破綻として史上2番目の規模だという。

またニューヨーク州に拠点を置くシグネチャー銀行も経営破綻に陥るなど、経済への影響が懸念されている。

バイデン大統領は、銀行の経営陣の責任を追求した上で、連鎖破綻が起きないよう銀行への規制を強化する考えを示した。

テクノロジー産業の経営悪化から「取り付け騒ぎ」に

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈 キャスター:
バイデン大統領は「銀行システムは安全」と話し、冷静に対応するように呼びかけました。馬渕さんは、どうご覧になりますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
今回の銀行破綻に対して、米国政府はかなりスピード感を持って対応しています。

破綻後、一番最初に開くマーケット、東京市場がオープンするまでに「全ての預金者を保護する」との声明を発表。そして、ニューヨーク市場や銀行がオープンする前にバイデン大統領は会見を開きました。

リーマンショックの教訓から、銀行システム全体に波及しないように、様々な措置を講じる可能性が高いです。

内田嶺衣奈 キャスター:
銀行の破綻の背景に、何があるのでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
シリコンバレー銀行の場合、主にスタートアップ企業やベンチャーキャピタルから預金を集めていました。いま、米国のビックテックが人員削減に踏み切るなど、テクノロジー産業の経営環境が悪化しています。

そこで、賃金や取引先への支払いなどのため、シリコンバレー銀行から預金を引き出す動きが強まったのです。

ついには、この規模の銀行としては珍しい不安が不安を呼ぶ「取り付け騒ぎ」が起きてしまいました。預金の流れが読めなかったのです。

さらにシリコンバレー銀行は、企業から集めた資金で債券の運用をしていました。総資産に占める債券投資の割合は57%と、他の銀行に比べて、かなり高いです。

債券保有自体は問題ないのですが、足元の金利上昇で債券価格が下落。保有する債券の含み損が膨らんでしまい、破綻に至ったのです。

FOMCの会合で利上げを弱める可能性も

内田嶺衣奈 キャスター:
今後のポイントについては、いかがですか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
一つは、信用不安がどれくらいの範囲で収まるのか。もう一つは、米国の金利政策への影響です。

22日に米国の金融政策を決めるFOMCの会合があります。足元では物価高が続いており、インフレ退治のために、パウエル議長は利上げのピッチを強めたり、最終的な利上げの数字を引き上げることを示唆していましたが、今回の銀行破綻を受けて、米国の金融政策は、利上げを少し弱める可能性もあります。

ただし、早まった利上げ停止は、間違ったメッセージとなる場合もあり、非常に難しい判断となります。

(「Live News α」3月13日放送分より)

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