秋篠宮妃紀子さまは2月15日、熊本市で開かれた「結核予防全国大会」の式典に出席されました。

結核予防全国大会に「くまモン」登場

日本でかつて「国民病」と呼ばれるほど広く蔓延した「結核」。現在も、年間1万人を超える人が新たに発症しています。結核予防全国大会では、全国から関係者約300人が一堂に会し、結核の予防や治療方法について話し合いました。

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15日の式典には、熊本県のマスコットキャラクター・くまモンが登場し、会場を沸かせました。

第74回 結核予防全国大会(熊本市)
第74回 結核予防全国大会(熊本市)

結核予防会の総裁を務める紀子さまは、おことばで、患者の早期発見や治療に力を入れることが必要だと述べた上で、2月6日に発生したトルコ・シリア大地震について触れられました。

《紀子さまのおことばより》
先日は、トルコ南東部を震源とする地震が発生し、トルコとシリアに甚大な被害を及ぼしました。多数の人が命を失い、被災された人々が厳しい状況におかれていることに心を痛めております。極めて寒い天候の中ですごす人々の健康が守られることを願わずにはいられません。そして、災害時における医療・保健はもとより感染症対策が重要であることに、改めて思いをいたしております。

結核予防に功績のあった個人や団体に「秩父宮妃記念結核予防功労賞」を贈られた紀子さま。
これからも結核の早期発見や予防活動が進むことを願っていらっしゃいました。

復旧が進む熊本城をご視察

式典終了後、紀子さまは熊本城へ。

平成28(2016)年4月の熊本地震で、石垣が崩れ、櫓が倒壊するなどの被害を受けた熊本城。2年前に天守閣が完全復旧しました。

令和3(2021)年3月に完全修復した 熊本城天守閣
令和3(2021)年3月に完全修復した 熊本城天守閣

天守閣の西北にある宇土櫓(うとやぐら)。約400年前の築城当時の姿を保っており、国の重要文化財にされていますが、地震の損傷が激しく残っています。

 
大小2つある天守閣に続き「第三の天守」とも呼ばれる「宇土櫓」
大小2つある天守閣に続き「第三の天守」とも呼ばれる「宇土櫓」
「宇土櫓」の損傷跡
「宇土櫓」の損傷跡

宇土櫓の修復状況などについて説明を受け、「まだまだ時間がかかって大変ですね」「早く元に戻るといいですね」と言葉をかけていらっしゃいました。

ハンセン病患者 苦難の歴史の象徴 「隔離の壁」

紀子さまは続いて合志市にあるハンセン病の国立療養所菊池恵楓園を訪問されました。園内にある歴史資料館で紀子さまがご覧になったのは、「隔離の壁」と呼ばれるコンクリートの壁です。

歴史資料館に展示されている「隔離の壁」
歴史資料館に展示されている「隔離の壁」

かつて国の政策で強制隔離され、偏見と差別に苦しめられてきたハンセン病患者。この施設の周囲にも患者の逃走防止のため壁が設置されていました。

学芸員の原田寿真さんは、壁の中央に開けられている穴を指し、「こちらは幼い入所者が、外の景色を眺めて故郷を思うために開けた穴で、「望郷の窓」というふうに呼ばれております」と説明しました。
紀子さまは強制隔離を象徴する壁の説明を、うなずきながらお聞きになりました。

この園では、現在も141人が生活しています。入所者の代表と懇談された紀子さま。
自治会の活動や、歴史資料館をハンセン病をテーマにした人権啓発の拠点にしたいという話に耳を傾けられました。

園内にある納骨堂には、故郷に帰れず亡くなった入所者など1363人が眠っています。
花を手向け、冥福を祈られた紀子さま。ハンセン病患者の苦難の歴史に思いをはせられたご様子でした。

(「皇室ご一家」3月12日放送)