岐阜県瑞浪市が、地元で発見された化石で地域をPRするプロモーション動画を制作した。その化石は「パレオパラドキシア」という、いかにも太古のロマンを感じる名前だが、ちょっと残念な問題を抱えていた。

瑞浪市が“ミュージカル大作”を製作し奇跡の化石をPR

3月5日、瑞浪市が試写会でお披露目したプロモーション動画。「化石とミュージカル」をテーマにしている。

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主人公の女子高生が、ある動物の化石と出会い、不思議な体験をするコメディ作品だ。

この動画に着ぐるみ姿で登場する化石の正体は、約1200万年前に絶滅した「パレオパラドキシア」。

似ている生物がおらず「謎の奇獣」と呼ばれる絶滅動物で、瑞浪市では2022年6月、1650万年前の地層からその全身骨格が見つかった。

時を超えて地上に現れた謎の奇獣は、市の公式ツイッターに11万を超える「いいね!」がつくなど話題となった。

プロモーション動画を作らなくてもバズりそうだが、パレオパラドキシアには“見た目が地味”という問題があった。プロモーション動画にエキストラで参加した女子高生に、その印象を聞いた。

女子高校生A:
ほんとにカバみたいな感じで。思っていたよりなんか名前負けしてるというか、ちょっとダサいなって最初は思いました

女子高校生B:
え?って、ちょっと残念だなみたいな

試写会で挨拶に立った瑞浪市長までも…。

水野瑞浪市長:
この化石、パラド…?何やったっけ?

パッと見は「カバ」。哺乳類ということもあり親しみやすい姿だが、化石の代名詞「恐竜」と比べると見劣りするビジュアルだ。

しかし、この化石はとても貴重なものだ。

瑞浪市化石博物館の学芸員:
今まで日本国内でも数点しか見つかっていなくて、全身の8割以上、非常に保存の良い貴重な状態で見つかっています

これまでに、パレオパラドキシアやその仲間の「デスモスチルス」の化石は、埼玉県などでも見つかっていたが、ここまで全身の骨が揃っているのは非常に珍しいという。

瑞浪市化石博物館の学芸員:
地味なんですけれども、ただ骨自体はやっぱり見ていただくと、歯とかいろんなところで新しい発見がある

市の化石博物館では、化石のクリーニングの作業など調査を進め、半年から1年後の一般公開を目指している。

制作した動画は18分にわたる大作。ちょっとワケありな謎の奇獣だが、市はこの動画で魅力を発信し、瑞浪市の知名度向上にもつなげたいとしている。

瑞浪市市民協働課の担当者:
パレオパラドキシア、奇跡の化石を通じてまずは瑞浪のことを知ってもらって、様々な魅力があるんだなということに気づいていただければ本当に嬉しく思います

(東海テレビ)

東海テレビ
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