沖縄の観光や物産を広く発信するミス沖縄の選出について、沖縄観光コンベンションビューローが休止を発表した。こうした「ミスコン」で情報発信する手法を見直す動きが広がっているなか、元ミス沖縄とジェンダー問題に詳しい識者に話を聞いた。

 ジェンダーの観点から見直しの指摘も

2023年2月17日、沖縄観光コンベンションビューローが発表した「ミス沖縄選出事業の休止」。ミス沖縄の正式な名称は「沖縄観光親善大使ミス沖縄」。その名の通り、沖縄県の内外で沖縄観光や物産をPRする目的で1981年から40年に渡って続けられてきた。

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スカイブルー・コバルトブルー・クリーングリーングレイシャスの3人が1年の任期で活動し、これまでに120人のミス沖縄が誕生、まさに沖縄観光のシンボル的な存在だった。

休止の理由について、コンベンションビューローは文書で「社会的環境の変化」、「従前のスタイルから脱却する」と説明している。

応募要件が女性に限られ、容姿を審査するという選出方法について、ジェンダーの観点から見直すべきという指摘が数年前からあがっていたという。

そのうえでコロナ禍での経験も踏まえ、デジタルやオンラインの活用など情報発信のあり方を抜本的に見直すとしている。

幅広い知識が求められたミス沖縄

ミス沖縄の経験者は、選出事業の休止をどう受け止めているのか。

11代目ミス沖縄・モデル 伊禮麻里代さん:
聞いたときは正直驚きました。ミス沖縄という名前が今後使われるかどうかという点で少しさびしさがあるけれども、別の形で沖縄の観光をきちんと成り立たせるためにも、ちゃんとした人物がシンボルとして必要かなと思います

1991年、11代目のミス沖縄を務め、現在はモデルとして活躍する伊禮麻里代さん。沖縄テレビの過去の映像に活動の様子が残っていた。

11代目ミス沖縄・モデル 伊禮麻里代さん:
わぁ凄い懐かしい!

年間延べ400日を超える公務に対応するミス沖縄。立ち居振る舞いだけでなく沖縄の歴史や文化、自然など地域魅力について幅広い知識が求められたと話す。

11代目ミス沖縄・モデル 伊禮麻里代さん:
公の場に立つ前に色んな事を研修してきたし、訓練をしてきました。大勢の人の前でマイクを前に話をすることを1年間で何十回、何百回も繰り返したことは今の仕事にもすごく繋がっていると思います

ミス沖縄は2016年にOG会を立ち上げ、200時間に及ぶ研修を通して身に着けた技術や知識を活かし、沖縄県内の観光親善大使を対象に講習会も開くなど人材育成にも取り組んできた。

11代目ミス沖縄・モデル 伊禮麻里代さん:
観光に責任をもって公の場で公務をきちんと遂行します。訪問先でも沖縄の観光にすごく興味を持っていただけます。沖縄のコンテストの中で一番きちんとして、責任をもって公務をできるのはミス沖縄だと思います

全国的に広がるミスコン事業の見直し 多様な価値観尊重へ

こうしたミスコン事業の見直しの動きは全国で広がっている。

愛知県一宮市では七夕まつりのミスコンを廃止、学生サポート隊を新たに設けて活動すると発表、群馬県伊勢崎市の「観光特使ひまわり」は性別や国籍も問わない方法に変更し、初めて男性を選出した。

ジェンダー問題に詳しい沖縄大学の宮城教授は多様な生き方、価値観を受け入れていく上で、事業の見直しはそれを考える良いきかっけになると話す。

沖縄大学 宮城公子教授:
観光がなぜきれいな女の子なのっていう疑問を持って良いし、それを率先してコンベンションビューローが示してくれたのはとても良いと思います。老若男女やるということもあり、男女も性的少数者も皆がユニークな視点を持った人を選ぶ。そうしたら、のどかに回る社会ができるんじゃないでしょうか

多様な価値観を尊重していく上で、柔軟に変化を受け入れていく事が重要だと話す。

沖縄大学 宮城公子教授:
ミスコンに出るために中身も頑張らないといけない部分もあります。全部一斉にやめるとなったら、これは暴力でしかない。年齢制限が無くなった、「いいね」っていうこの感覚で良いと思います

ミス沖縄経験者の伊禮麻里代さんは、40年の歴史ある事業の功績を活かしながら時代にあった取り組みに期待したいと話す。

11代目ミス沖縄・モデル 伊禮麻里代さん:
ミス沖縄のOGとして、どのように貢献していけるかを今後は考えていかなければいけないと思っています。いろんな形で、もっと沖縄の事を宣伝してくれるしっかりとした人物を選んでほしいと思っています

多様性のある社会にむけて、沖縄観光の発信も変化の時期を迎えている。

(沖縄テレビ)

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