寒さと春の足音が入れ替わりで訪れる季節、実は旬を迎えている甘味が「あんこ」。あんこの原料である小豆は10月〜2月が旬と言われ、今があんこのおいしい時期なのだ。
そんなあんこを使ったスイーツも、近年、洋菓子の要素を取り入れた「ネオ和菓子」の影響を受け、様々な形に進化!伝統とトレンドがミックスした「ネオあんこスイーツ」という新たなジャンルが生まれつつあるという。
今回は、そんなまだまだ底がしれない「あんこ」のディープな魅力を紹介!
まるでケーキのようなフルーツ大福に、ドライフルーツやナッツを組み合わせたようかん、意外な食材を使った新感覚どらやきなど…、あなたも甘くも刺激的な「あんこ沼」にハマってみませんか?
まずは、あんこを味わうにはピッタリ!王道のあんこスイーツからご紹介。
上質なあんこを思う存分味わえる豆大福
和菓子マニアで「週刊あんこ」編集長のさとう祐介さんがオススメするのが、御菓子司(おかしつかさ)あら木「豆福」150円。

特徴はなんといっても、うすい青紫色の美しいあんこ。手間と時間をかけて作り出した、上品な色と、“しっとり”と“ふくよか”が絶妙に融合したやさしい味わいが絶品だ。
北海道産十勝の小豆、北海道産のエンドウ豆、上白糖を使用。4代目が一人で手作りしているため1日に作れるのは80個ほどしかなく、開店1時間以内には完売してしまう人気商品となっている。
こうした王道のあんこを使ったスイーツも人気の一方で、“新たな”あんこスイーツも次々に登場中!
あんこのことを知り尽くす『日本あんこ協会会長』のにしいあんこさんによると、世代交代が活発になりつつあるというあんこ業界では、今、若い世代の当主が出てきていて、“映えるあんこスイーツ”や、新しい素材との組み合わせで新しい和菓子を開発しているのだという。

「“ネオあんこスイーツ”という一つのジャンルになりつつあり、中身をより“ネオ”、進化していくことに力が入っている」
そこでここからは、日本あんこ協会・にしいさん監修、「今注目の“ネオあんこスイーツ”」を紹介。まずは、 “ネオあんこスイーツ”が頂点に達したのでは(!?)というビジュアルが魅力の大福が登場!
ジュエリーのような進化形フルーツ大福

去年銀座にオープンしたフルーツ大福専門店「金田屋(かなだや)」にあるのは、イチゴがたっぷりのっているケーキ…、ではなく大福!その名も「特撰苺」。

竹炭を練り込んだ、平たい大福の上に、フルーツが美しく盛り付けられており、目でも舌でも楽しめると評判の、まさに進化形のあんこスイーツだ。
続いては、老舗店の本気を感じるようかん。
新たな味の調和が楽しめるようかん

1803年創業の京都の銘菓、「鶴屋𠮷信(つるやよしのぶ)」では、今までのようかんのイメージと異なるカラフルさにビックリ!

「果の彩(かのあや)」と名付けられたこの薄い正方形のようかんには、ドライフルーツやナッツが組み合わされ、様々な味を楽しむことができる。全て手作業のため入手困難な“ネオようかん”だ。
続いては、見た目は一見普通だが…、中身にビックリするどら焼き。
和と洋が融合!新感覚どら焼き

創業70年近い和菓子店、「喜田家 六人衆(きたや ろくにんしゅう)」で人気の“ネオあんこスイーツ”が、栗やあんバターなど6種類のどら焼き。

見た目は普通に見えるが…、白あんと合わせてあるのは角切りにしたリンゴのコンポートだ。

山形県産のリンゴをたっぷりと使用したコンポートに、北海道十勝産の小豆の白あんを加えた甘酸っぱいあんが特徴。
さらに生地にはリンゴのどら焼き用に特別配合した米粉入りの生地が使用されており、もちもち食感が楽しめる。あんこのジューシーさと生地の口当たりの優しさが見事に一致した、新たな味の調和が楽しめるパンケーキのような洋風リンゴどら焼きとなっている。
続いては、驚きの出会いがもたらした“ネオあんこスイーツ”。
驚きの出会いが生んだぜんざい

1661年創業の老舗、日本料理と和菓子の「葉山 日影茶屋(はやま ひかげちゃや)」のぜんざいには驚くものが入っている。
ほっこり温まる和スイーツ、ぜんざいはお餅や白玉団子を入れていただくのが定番だが、こちらのぜんざいの中に入っているのは…、おかき!

香ばしいサクサク食感のおかきが、丁寧に煮込んだぜんざいの甘さを引き立てる、去年考案の新商品。おかきにぜんざいを染みこませることで、餅のような食感も楽しめる。
「ぜんざい」と「おかき」両方の職人さんがいて、その2つを熟知しているお店だからこそ作れる“ネオあんこスイーツ”だ。
続いては、ちょっと変わり種!あんこの世界が広がる郷土菓子が登場。
大福なのに甘くない!?
埼玉「栄屋菓子舗(さかえやかしほ)」の大福。見た目は普通の大福に見える。
しかし、中に使われているあんこは、なんと塩で味付けした甘くないあんこ!埼玉県の北東部周辺に伝わる「塩あんびん」という、郷土餅菓子だ。

甘いあんこが生まれたのは江戸時代中期。当時砂糖は貴重で、庶民はめったに口にできなかった。そのため砂糖の代わりに塩で味付けしたあんこを餅で包み、主に祝い事などで食べていたという。
埼玉県久喜市や加須市、行田市など埼玉の北部~東部の郷土料理で、収穫祝いを始めとするハレの日に多く食べられてきたと言われる。

そのまま食べるのはもちろん、焼いて砂糖醤油につけて食べると、甘くない分、おかず的な食べ方をしてもあんこを楽しめる。そんな可能性を感じる郷土料理あんこだという。
まだまだ底が知れない“あんこ”。今後もどんな新しいあんこスイーツが出てくるのか、目が離せない。
(ノンストップ!より 2023年2月22日放送)