コロナ禍の行動制限などで、“対面コミュニケーション”の経験が少なくなった学生たちに向け、大手就活サイトが「対面面接対策講座」を開催した。

就職活動の準備に今、必要なことは何か。

オンラインと対面面接の違いや、緊張した際の対策などについて、ワンキャリア広報・寺口浩大さんに聞いた。

オンラインも対面も「自分らしさを出す」

ーー「対面面接対策講座」は毎年やってる?
今年からやり始めました。

学生さんの悩みを聞いていると、面接に対する不安が物凄く強くありました。
特に“対面”での面接が始まるという話がある中、大学生活の大半をコロナ禍で過ごしてきた学生にとっては、どのように初対面の人とコミュニケーションを取ればいいのか、何を聞かれるのかがわからないという不安の声がたくさんあって、今回の講座を企画しました。

ワンキャリア広報・寺口浩大さん
ワンキャリア広報・寺口浩大さん
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ーーオンラインと対面の面接で違いはある?
「自分らしさを出す」という目的のところは変わりません。

ただ、自分らしさを出すためには準備が必要です。例えば、対面の場合は、お辞儀はどうしたらいいのか、ノックは何回か、マスクはどうしたらいいんだろうといったことです。

マスクの話は学生さんが一番悩まれているところです。


ワンキャリアが調査したところ、今年は、約9割の企業が「対面面接」を実施する意向で、さらに、マスクの着用については、7割超が「任意」としている。

この「対面」と「任意のマスク」の対策について、寺口さんは、場数を踏んで面接に慣れることが大事だと話す。

“中身”の準備に集中

ーーなぜ今企業は対面面接に切り替える?
人事の方は「オンラインではなかなか学生さんのことを知るのが難しい」と悩まれていて、やはり人の距離感など、対面でのコミュニケーションを通じて全体を見たいというニーズがありました。

ーー対面に臨む上でのポイントは?
対面であることに、不安にならなくても大丈夫です。

状況が分からないから不安になってしまい、自分の言葉で喋れないことが一番もったいない。
気になるなら、場数を踏んで、練習をして慣れる。そして、「こんなもんか」と思ってもらうのが多分一番いいと思っています。

(イメージ)
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ーー就活で一番心掛けたいことは?
色々変化はありますが、答えはシンプルで、就職活動では基本的に自分らしさを出して、「それで良いよね」と思える人たちと出会うことです。
それに集中してほしいです。

そのためには、「自分はどんな人間なんだっけ?」という自問自答をする。
準備をすれば、マナーとかマスクなどではなく、本質的なことに向き合えるので、ちゃんと“中身”の準備をしてほしいと思います。

企業側も明確な指針が必要

一方、マスクについては、学生が着用の有無に気を取られず、面接で自分らしさを出せるように、企業側のリードも必要だと寺口さんは指摘する。

ーー「マスクをどうするか」について学生から相談は?
明確にあります。
面接でマスクを取ったり、どうするべきかを質問したら、選考に影響するか、自分の評価に支障が出るかなど、皆さん気にしています。

それは結局、“面接で何を見られているのか”がクリアになっていないからで、それが学生さんの不安につながっています。

これは企業の人事や面接官が、「マスクは取っても、取らなくてもいいですよ」とか、「どうされますか?」という風にリードしていかないといけないことだと思っています。

ーー具体的にどういった対応?
企業としては、「自社の面接官はマスクを付けますが、学生さんは取っていただいても結構です」とか、「学生さんがオッケーだったら我々も取ります」とか、ちゃんと指針を出して、面接官の方からコミュニケーションすることで、学生さんもマスクに気を取られずに、自分らしさを出せるんじゃないかなと思います。

これまで、マスク着用は強制だったけど任意にする、という企業は増えていますし、すでに任意にしている企業も一定数あります。

面接官は出来る限り全体の表情を見たいし、どんなことに喜んで、過去に頑張ったこと、辛かったこと、嬉しかったことを目だけで表現するのは、学生にとっても凄く難しいと思います。

面接のために取り繕うことはしない

講座では、緊張した際は、一旦自分の“間”を作り、考えをまとめることなどといった実践的なアドバイスも行われたが、大切なのは、面接のために取り繕うことはせず、「いつも通り」話すことだという。

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ーー面接で大切なことは?
一言で言うと「自然に」です。

皆さん、マスクを取って会話されているシーンはあると思います。それと一緒で、面接は“自然な対応”が一番なので、面接のために「口角を何度上げましょう」みたいなものは情報としてはありますが、基本的には、面接のために取り繕うことはしなくていいので、「いつも通り話してほしい」というのが、私からのメッセージです。