100円ショップの「ダイソー」が都内の百貨店に初出店した。
百貨店の主な客層ではなかった若い世代も取り込む狙い
100円ショップ「ダイソー」を展開する大創産業は22日、300円ショップの「スリーピー」を含む3つのブランドが集まった複合店を東武百貨店池袋本店にオープンした。

約2400平方メートルの売り場面積で、取り扱う商品は5万4000点以上。3つのブランドを備えた店舗としては国内最大級となる。


好きなアイドルなどを応援する“推し活”のコーナーを初めて設けるなど、これまで百貨店の主な客層ではなかった、若い世代も取り込む狙いだ。


大創産業・渡邊有和執行役員:
こちら、百貨店に来ていなかったお客さまを我々が呼び込むことによって、この百貨店全体がまた活性化されればというに期待している。
未来に向かって戦略の選択を迫られている都心百貨店
「Live News α」では、マーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。
内田嶺衣奈 キャスター:
さっそくダイソーグループを売り場に迎えた東武百貨店を取材されたということですが、いかがでしたか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
いま都心の百貨店は、未来に向かって戦略の選択を迫られている。
一つは、富裕層をおもな顧客にこれまでの百貨店の強みを生かして、目利きのバイヤーが仕入れた「いい商品」を丁寧な接客で売る“楽しい買い物体験”の提供。
もう一つは、今回の東武百貨店池袋店のように「駅チカ」という立地を生かして、会社帰りに気軽に立ち寄る普段使いを強化して“便利な買い物体験”を追求していくか。
いま東武百貨店池袋店は、地域沿線のマイストアになることを目指している
その戦略に沿うカタチで、今回、日常購買の100円ショップを中心に展開しているダイソーグループの3つのブランドが、まとまって出店することになった。
内田嶺衣奈 キャスター:
確かに、100円ショップの場合、普段使う便利なグッズや、アイデア商品、お得な商品との出会いを楽しみにしている方も、多いですよね。
マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
今回、東武百貨店池袋店を取材して「なるほど」と思ったのは6階という上層階に、ダイソーグループの売り場があること。
お客様が6階に上り下りするエスカレーターの途中で、ふと思い立って他の売り場へと向かい「ついで買い」を促したり、新規のお客様との接点づくりに貢献しそうだと。
特に寝具やキッチンや食器など、メリハリ消費の顧客をつかむ確率も上がりそうだ。
1つの売り場に3ブランド展開で“価格設定の幅”を
内田嶺衣奈 キャスター:
一方の東武百貨店に店舗を開くダイソー側の狙いについては、いかがですか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
銀座に続く3ブランド複合の大型店となり、目標とする47都道府県出店の試金石となりそうだ。
100円ショップはエネルギーや原材料の高騰に加え、国際的な物流の混乱なども影響して、100円を中心に価格設定するのが難しくなっている。
そのため今回のような3つのブランドをひとつの売り場で展開することで、価格設定の幅を広げることが求められている。
日本でも指折りの巨大な駅ターミナルである池袋で、地域沿線の暮らしの核になるフロアを構築出来るのか?注視していきたい。
内田嶺衣奈 キャスター:
百貨店とワンプライスの買い物が楽しめるお店との組み合わせ。地域の人々から愛される“マイストア”になれるのでしょうか。
(「Live News α」2月22日放送分より)