作家につきまとうなどの迷惑行為を行う「ギャラリーストーカー」。なかなか減らない現状があるとして、大阪市のある画廊が対策を強化することをTwitterで公開し、話題になっている。

ストーカーによる嫌な事件が続きます。
ギャラリーストーカーについても以前から言われておりますが、なかなか無くならないのが現状です。
それを踏まえて、弊画廊での対策を強化したいと思います。
何卒、ご理解のうえ、ご協力をお願いいたします。

投稿したのは、梅田駅からほど近いオフィス街にある広さ49平方メートルの芝田町画廊。コメントとともに添えた画像には「お願いと注意事項」と題し、暴言や暴力、セクハラ、ストーカー行為とみなされる言動があった場合は警察への通報を行うことがあると紹介している。

画廊の様子(出典:芝田町画廊)
画廊の様子(出典:芝田町画廊)
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ギャラリーで会っただけで友人とはいいません

さらに、具体的に次のような行為を止めるように訴えている。

・家族、友人でもないのに作家を呼び捨て、又はちゃん付けで呼ぶ。(ギャラリーで会ったことあるだけで友人とはいいません )
・長時間作家を独占して話し込む。
・作家のプライベートや連絡先などを聞く。
・作家とギャラリー以外で会うことを要求する。
・SNS等でも作家に対する上記の行為はお止め下さい。

たしかに、このような行為は作家にとって迷惑なはず。しかし、画廊に行く機会があまりないなど、ギャラリーストーカー自体を知らない人も多いかもしれない。

具体的にギャラリーストーカーとはどんな人なのだろうか? また、なぜ画廊がこのような注意事項を発表したのだろうか? 芝田町画廊の責任者・吉田隆博さんに聞いた。


――“ギャラリーストーカー”とはどんな人や行為のことをいう?

ギャラリーストーカーと言っても、結構広い意味で使われています。まずは、しつこく作家につきまとう、ギャラリー以外の場所で会うことや食事に誘う、SNSのメッセージやメールをしつこく送るなど、一般的なストーカーと同じような行為です。

それと、法律にまで抵触しない迷惑行為。作家を捕まえて、一方的に自分の価値観を押し付け長々と話しをする「説教おじさん」や、初対面や1~2度会ったことがあるだけで、作家を「ちゃん付け」や「呼び捨て」などする人、嫌がってる作家の写真を撮ろうとする人などです。


――若い女性作家が狙われやすい?

やはり力の弱い女性が多いですが、若手の男性でも同じようなことはあります。


――展示会などで、ギャラリーストーカーはどうやって作家に近づく?

最初は、普通に作品の説明などを聞くところからでしょうか。しかし、すぐに自分の話しばかり始めたり、作品を酷評し始めたり、価値観を押し付けたり、作品を買ってあげるから食事に行こうなどと誘ったり、連絡先やプライベートなことを聞いたり、ということがあります。

Twitterに投稿した画像(出典:芝田町画廊)
Twitterに投稿した画像(出典:芝田町画廊)

――作家自身ではなく、画廊から注意を呼びかけたのはなぜ?

特に女性の作家は怖くて何も言えないと思います。今回の注意喚起は、セクハラやストーカー行為までではなくとも、作家が迷惑している行為が起きていますので、具体的な事柄を挙げることで抑止・注意しやすくすることと、迷惑行為をしても自覚がない人に気づいてもらいたいとの思いから投稿しました。


――なぜ作家はギャラリーストーカーを拒めないの?

まずはお客様ということもありますし、今後自分のファンになってくれるかも知れませんので、明らかに法に触れるようなストーカー行為やセクハラ行為などでなければ、あまり言いにくい立場ではあります。

アイドルやコミケなど様々な分野から反響

なお1月20日にギャラリーストーカーへの注意が投稿されると、Twitterにはアート業界はもちろん、似たような状況が様々なジャンルであるとするコメントが寄せられていた。

・これ同人活動でも同じこと言えるからな〜
・コミケでもあるやつ
・演奏会にも同じことが言えるかと
・女性ジャズミュージシャンに歩み寄るオヤジ客と一緒
・舞台女優の男性ファンを連想

――Twitterの反響をどう思う?

アート業界以上に音楽業界や演劇、アイドル、コミケなど様々な分野からの反響が大きかったのが印象的です。

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)

――投稿してからギャラリーストーカーが来なくなるなどの変化はあった?

まだどうなのか分かりませんが、いつも初対面の作家になれなれしく話しかけていた客が、先日は若い女性作家に声もかけずに私にだけ挨拶して出て行ったので、多少は効果が出てるのかなと思います。


――作家とファンの理想の関係をどう考える?

作家と客は、あくまで客ですから、それ以上でも以下でも有りません。作家は接客業ではありません。客とは作品を通しての関係であって、作品を楽しんでいただくのが第一です。作品についての会話を交わす程度で十分だと思います。

今回の投稿により、芝田町画廊では多少の効果があったようだ。自分が迷惑行為をしていると自覚している人は多くないだろう。画廊以外でも様々な場所であるようなので、注意を呼びかけていくことで、このような行為がなくなることを願いたい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。