東北の青森県と宮城県。そして、九州は鹿児島県。

左から青森県、鹿児島県、宮城県でそれぞれ見つかった“気球”
左から青森県、鹿児島県、宮城県でそれぞれ見つかった“気球”
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かつて、日本の上空で繰り返し目撃された気球について、岸田総理は15日、「中国の偵察用気球だと強く推定される」と発言した。

突如現れた“謎の球体”に「UFO」?双眼鏡で見る人も

“謎の球体”として気球が注目を集めたのは、2020年6月。

青い空、遠くのほうに“謎の球体”がみえる
青い空、遠くのほうに“謎の球体”がみえる

宮城県仙台市の上空で目撃され、当時は、「UFOとか?」「宇宙から来たのかな?」などと様々な臆測を呼んだ。

十字の形をした部品が吊された、特徴的な白い気球。

十字の形をした部品がつるされた、特徴的な白い気球
十字の形をした部品がつるされた、特徴的な白い気球

その姿は、福島県でも。タクシーの運転手が、双眼鏡で見上げていた。

双眼鏡で“謎の球体”を見上げるタクシーの運転手
双眼鏡で“謎の球体”を見上げるタクシーの運転手

気球が目撃されたのは、これだけではない。

2019年には、鹿児島県で、2021年にも青森県で、同じ形の気球が確認された。

その正体について、岸田首相が15日午後の国会で、「分析を継続してきたところ、今回、中国から飛行させた無人偵察用気球であると強く推定される」と述べた。

岸田首相は、“中国が飛ばした偵察用の気球とみられる”と説明。中国政府に、このような事態が生じないよう、強く求めたという。

3年前の河野大臣の発言を野党が追及 自民党からも厳しい声

一方、野党は、東北で気球が目撃された3年前、当時、防衛大臣だった、河野大臣の発言を巡って追及した。

当時、河野大臣は気球について、こう述べていた。

記者:
また日本に戻ってくるという可能性は?

河野防衛相(当時):
気球に聞いてください。安全保障に影響はございません。

立憲民主党・大西議員:
河野大臣、3年前にこういういい加減な対応ではなくて、当時、ちゃんと分析していれば、よかったのではという反省はあるか?

河野デジタル相:
記者会見で「お答えは差し控えます」と言うのもなんですから「気球に聞いてください」と答えたわけで、分析の内容を対外的に話すことはできない

また、河野大臣が当時、気球について「安全保障に影響はない」と発言したことについては、今の浜田防衛大臣が答えた。

浜田防衛相:
当時、国民の生命財産にただちに危険が及ぶような事象が確認されなかったことをふまえ、ご指摘の発言をされたと承知している。

しかし自民党の会議では、「日本の防衛に大きな穴があるのではないか」と、厳しい声があがった。

小野寺元防衛相:
今まで、中国のものということを把握できていなかったのか。仮に把握できていたのに、中国の物として抗議していなかったのであれば、大きな問題だと思っている。

この会議で政府は、今後、気球が日本の領空に侵入した場合に備え、正当防衛や緊急避難の場合に限らず、武器の使用ができるよう検討すると伝えた。

「日本が中国攻撃することに断固反対」

一方、中国・外務省は15日の会見で、日本の対応を批判。

中国外務省の報道官:
雲をつかむように確かな証拠がないまま、(日本が)中国を攻撃することに、断固反対

さらに、アメリカが中国の偵察気球を撃墜したことに、対抗措置を取る考えを示した。

(「イット!」2月15日放送)