台風や大雨による被害が相次ぐ中、危険な場所や避難所がどこにあるか「自分の住むまちを知る」ことも重要になる。静岡市ではゲーム形式で体を動かしながら地域防災について学ぶ“防災ロゲイニング”が開催された。専門家のサポートを受けながらイベントを主催したのは地元の中学生だ。
“ロゲイニング”で学ぶ地域防災

市街地から車で約1時間の静岡市葵区の大川地区。2月5日、この地区で防災ロゲイニングが開かれた。

オーストラリア発祥のロゲイニングは、距離に応じて点数が異なるチェックポイントを制限時間内に回り、その合計得点を競うスポーツだ。日本では2000年代から観光地などをめぐるフォトロゲイニングが多く開催されている。

今回、イベントを主催したのは地元の中学生だ。
運営を担った小山颯斗さんと高田明季さんは、イベントで使えそうな「チェックポイント」を事前に探してきた。

大川地区は2022年9月の台風15号で土砂崩れや橋の崩落に見舞われている。より多くの人に参加してもらい、防災への意識を高めてもらいたいと、2人は手作りのチラシを1軒1軒回り配っていた。
小山さんは「しっかり参加者の人たちを楽しめるように頑張りたい」と、高田さんは「人に話すのが苦手なので、ちゃんと伝わるように説明したい」と意気込んでいた。
中学生の運営をサポートした専門家も、ロゲイニングが地域防災に役立つと考えている。

静岡大学防災総合センター・村越 真 副センター長:
防災は大事だとみんな思ってるけど、そうそう起こることではないのでどうしても後回しになりがちです。危ないから知ろうというだけではなく、楽しいとか日常的な活動の中で自然と体験できるのか一番いいと思います
参加者にも主催者にも“収穫”

イベント当日、家族で参加したチームや近所の合同チーム、それに学校の先生のチームなど、あわせて40人が参加した。

今回のチェックポイントは消火栓の器具置場や落石防止の金網、集会所など23カ所。
スタート地点から距離が離れるほどポイントが高くなっていて、いかに効率よく回るかが勝負の分かれ目だ。制限時間は90分で、間に合わなければ1分ごと減点となる。

どんなところに災害のリスクは潜んでいるのか。いざというときに活用できるものはどこにあるのか。参加者たちはチェックポイントを回りながら地元を知り防災についての知識を深めていった。
無事イベントを終えた中学生の2人にとっても、収穫は大きかったようだ。

大川中学校・小山 颯斗 さん:
ポイント票を作るときにどういうところを回って作ればいいのか悩みはあったけど、意外と身近にそういったところがあるんだと勉強になりました

大川中学校・高田 明季 さん:
地域を巻き込んでイベントをするのは初めてだったけどたくさんの人に支えてもらいながら、みんなが楽しんでくれるイベントができてよかったです
防災を学ぶきっかけに

中学生たちをサポートした専門家は、防災ロゲイニングは参加者にも主催した中学生にも有意義なことだという。
子供にとってはゲーム感覚やハイキング気分で参加できる。また、大人は自分や小さな子供が歩ける距離や避難できる場所の確認ができる。そして中学生は、イベントを主催することで責任感を養える。

近年、大雨や台風による被害が相次いでいる。防災ロゲイニングが命を守る防災について学ぶきっかけを与えてくれそうだ。
(テレビ静岡)