手軽に調べられる、手のひらサイズの乳がん健診器に…、
1台で全身トレーニングができる、トレーニングマシン。
東京ビッグサイト(東京・江東区)で「ジェンダード・イノベーションEXPO」が開催され、健康と向き合う最新の製品やサービスがお披露目された。
取材班は、女性だから、男性だからというカラダの悩みに、テクノロジーで挑んだ3社に注目。ジェンダーの違いに着目した、最新のヘルスケア製品に迫った。
経血量が確認できるショーツが登場 女性特有の疾患の早期発見にも
まず、女性が抱える健康課題に着目したフェムテック商品で注目したのは、「Bé-A Japan」が発表した「経血量を測定できる吸水ショーツ」。
取材班も、実験させてもらった。
経血に見立てた水を、ショーツの内側にかける。
すぐに外側を触ってみても、サラサラだ。
ショーツに吸収された経血の量は、アプリ上で数字として反映される。
吸水部分には、電流が伝わりやすい「銀めっき繊維」を張り巡らせているのだという。そこで経血を吸収すると、データがスマホに送られ、経血量が確認できる仕組みだ(現在 実証実験中)。
今までデータを取ることが難しかった生理の経血量。量をはかることによって、自身の体調管理だけではなく、女性特有の疾患の早期発見につながる可能性があるという。
男女で刺激変える 尿漏れ対策などに骨盤底筋トレーニングマシン
「SAKITUE」は、加齢による尿漏れなどの対策に期待される、最新の電磁波を使った骨盤底筋のトレーニングマシン「EM PELVI(エム・ペルヴィ)」を発表。
男女それぞれのモードがあり、約30分間座るだけ。
女性モードを体験させてもらうと…、小刻みな動きだが、奥深くの筋肉まで収縮しているのが分かる。
続いて男性モードも体験。一度の動きが長くなって、ゆっくりと筋肉がほぐれていくのが分かる。
実際に音に注目してみると、違いが。
女性用「ジージジジ、ジージジジ、ジージジジ…」
男性用「ジーーーーーーーーー」
尿道の長さなど、体の違いがあることから、筋肉への刺激方法を変えているという。
“妊活は女性だけのものじゃない” 男性の妊活をプロテインでサポート
今回のイベントでは、男性特有の悩みに取り組んだ「メンテック」商品も。
「アンファー」は“妊活を女性だけのものにしない”をテーマに、男性の妊活をサポートするため、タンパク質に着目したプロテイン「HOMTECH」などを開発。
アンファー 新規事業企画部・長内 尚 部長:
“男性妊活”という一歩のアプローチを通じて、メンテックという市場を、もっともっと認知されたいと思っているし、知ってほしいなと思う。
「ジェンダード・イノベーションEXPO」統括責任者・白石優樹さん:
女性に特化した健康問題というのは注目度が高まっているが、(イベントを通して)男性自身もこういった特有の健康問題があるという気づきがあると思うので、結果的には男性女性それぞれの健康ソリューションの開発が進んでいくと思う。
心配あればまずは専門医へ うまく製品取り入れ快適な毎日を
「Live News α」では。産婦人科専門医師の稲葉可奈子先生に話を聞いた。
小澤陽子 キャスター:
女性と男性、それぞれの特有のカラダの悩みに、テクノロジーで応えようというヘルスケア製品。稲葉先生の目には、どのように映っていますか?
産婦人科専門医師・稲葉可奈子さん:
女性と男性では身体的には、身体的にやはり異なりますので、女性のためのフェムテック、男性のためのメンテックと、それぞれの問題解決のためのテクノロジーが開発されていくと、より快適な未来につながるかもしれませんね。
小澤陽子 キャスター:
生き生きとした毎日を送るために、テクノロジーのサポートがあると、心強いですよね。
産婦人科専門医師・稲葉可奈子さん:
例えば、先に出てきた「経血量を測定できる吸収ショーツ」ですが、生理の量というのは他人と比べることがないので、多すぎることに気づかずに、知らぬ間にひどい貧血になってしまう方もいます。そういった変化に気づく一つのきっかけにはなるかと思います。
ただ個人レベルでは、多すぎる方以外は、月経量の変化に神経質になる必要はありませんので、多くさえなければ、一喜一憂せずに参考程度に見ていただくのが良いかと思います。
過多月経の指標として、日中でも夜用ナプキンが必要な方と言うのは、月経量が多すぎる可能性がありますので、厳密に量をはからずとも一度産婦人科を受診いただければと思います。
小澤陽子 キャスター:
女性のフェムテック、男性のメンテック。それぞれをうまく活用するためのポイントは?
産婦人科専門医師・稲葉可奈子さん:
まず、フェムテックもメンテックも、それが本当にエビデンスがあるものかどうか、というのは気を付けたいところです。
もう1つは、男性も女性も、それぞれの健康課題の中には、医療でないと改善しないものというのがあります。
セルフケアの呪縛にとらわれてしまっては、解決できるものもできなくなってしまいます。
例えば、男性不妊の中の無精子症の方が、それに気づかずに、男性の妊活をサポートするメンテックを利用し続けていても、子どもを授かることにはつながりません。
女性も男性も何かしら健康上の問題がある場合には、まずは産婦人科や泌尿器科を受診し、必要な医療は受けつつ、それを補う形で、フェムテックやメンテックを活用して頂ければと思います。
小澤陽子 キャスター:
カラダの悩みは人に相談しづらかったり、さらには個人差も大きいため、一人で抱え込んでしまう場合も多いと思います。これからはフェムテック・メンテックがカラダに加えて、ココロの安心にもつながるかもしれません。
ただ、専門の医療に頼ることも必要です。誰もが生き生きと健康で過ごせたらと思います。
(「Live News α」2月9日放送分より)