宮島の対岸にある広島県大竹市に3月、“世界初”の美術館が誕生する。レストランやヴィラなどが一体となった複合施設で、新たな観光スポットとして注目が集まっている。オープン前の美術館内部にカメラが入った。

「アートの中でアートを観る」

大竹市で建設が進められてきた「下瀬美術館」。

広島県大竹市に3月1日オープン予定の「下瀬美術館」
広島県大竹市に3月1日オープン予定の「下瀬美術館」
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元は県有地だった広大な敷地に、ピンク、水色、イエロー…とカラフルな箱状の建築物がいくつも並んでいる。この、ひときわ目立つパステルカラーの1つ1つがなんと「展示室」なのだ。

美術館とつながるカラフルな展示室
美術館とつながるカラフルな展示室

美術館のオープンが迫り、2月7日、内部が公開された。来館者が最初に目にするエントランスは、柱と梁が一体化したようなアーチ状の空間。一面ガラス張りで、外には美しい瀬戸内海の景色が広がる。館内は建築家・坂茂氏が「アートの中でアートを観る」というコンセプトで設計された。

建築家・坂茂氏が設計した館内
建築家・坂茂氏が設計した館内

渡り廊下を進むと、約750平米の企画展示室がある。その広い室内に柱が1本もない。柱のない1つの空間としてはかなり大規模なため、より強固な構造になっているという。照明にもこだわった。展示シーンに合わせて、手元のタブレット端末でLED照明をコントロールできる。

企画展示室の照明をタブレット端末でコントロール
企画展示室の照明をタブレット端末でコントロール

船のように“水に浮く”展示室

美術館の大きな目玉となるのが、カラフルな展示室だ。

鈴木記者:
この先が注目の展示室です。大きな自動扉が開き、中に入ると正方形の室内です。さらに扉があります。扉の向こうは次の箱へとつながっています

展示室内をリポートするテレビ新広島・鈴木崇義記者
展示室内をリポートするテレビ新広島・鈴木崇義記者

まるで永遠に扉が続いているような未来的な空間。この展示室は10メートル四方のキューブ型で、空調や電気などの設備を1つ1つ独立させている。その理由は…

下瀬美術館・谷藤史彦 副館長:
堰(せき)を作って高さ60センチまで水を入れると、この展示室が浮いて別の場所に移動させることができるので“可動展示室”と称しています

実は、土台が水に浮く“船”のような構造になっていて、展示室の配置パターンを変えることができるというのだ。

土台が水に浮く“船”のような構造
土台が水に浮く“船”のような構造

坂茂建築設計・中村有利さん:
展示室の中の展示物だけが入れ替わっていくのが普通の美術館だと思いますが、ここでは展示室ごと動かすことで美術館の外観も変わります。何度来ても飽きさせないように考えました

(Q:可動式の展示室は全国的に珍しい?)
下瀬美術館・谷藤史彦 副館長:
世界で初めてだと思います。公共の施設では実現できなかった施設だろうと思います

「下瀬美術館」は、広島市西区で建築金物を製造販売している丸井産業の創業家が半世紀以上かけて集めた約500点の美術工芸品などを所蔵している。

美術館は3月1日、併設されるレストランやヴィラは4月1日にオープン予定。広島の新たな観光スポットとして期待が高まる。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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