電気代の高騰が続く中、1月の請求額に驚いた人も多いのではないだろうか。東北電力には１月、値上げに対する問い合わせが前の月の約37倍に上ったと言う。物価高騰に加え、電気代の高騰に街からも事業者からも悲鳴の声が聞かれた。
「電気代請求額」に街から驚きの声
飛田厚史アナウンサー：
街の人に電気代、「1月の請求額」を伺います。明細を見て、びっくりという方も多いようです
家族4人で暮らす人：
電気代が高くなって、2022年は2万ちょっとだったのが2万7000円
家族3人で暮らす人：
多分5万いくか、いかないか。ネコがいるので、エアコンを年中つけっぱなし
家族2人で暮らす人：
1万9000円ぐらい。エアコンは前より使ってないから、今月は下がったのかなと思ったのに上がった
電気代の値上がりが続く中、厳しい寒さに襲われた2022年12月。この月に使用した電気の請求書が2023年1月に届き、驚いた人も多いはず。
東北電力には、その電気代に関して1月、前の月の37倍もの問い合わせが寄せられたという。
東北電力 樋口康二郎 社長：
インパクトが大きかったことは、コールセンターに入る客の声からも感じている
政府は1月の使用分から1kwhあたり7円を補助する方針だが、東北電力は4月に大幅な値上げを予定していて、補助額を値上げ分が上回る見込みとなっている。
街の人：
高いよ。高いよ。どこまで苦しめるの
街からは、さらなる値上げを前に、すでに悲鳴が上がっている。
「節電できない」水族館
電気代高騰の打撃は、新潟市の水族館「マリンピア日本海」でも…
マリンピア日本海 石田孝 事務局長：
節電には努めているが、基本的に大きく電気を使うのは、生物の生命維持なので、節約できる部分が大変少ない
日本海から南西諸島まで、様々な環境に生息する約600種類の生き物を展示しているマリンピア日本海。2022年5月には…
マリンピア日本海 野村卓之 館長（2022年5月）：
普段だと電気代だけで7000万円。それが、プラス2500万くらいになる見通し。今までなかった事態
このとき、2022年度の電気代について、例年より3割高い9700万円にのぼると予想していたが、2023年1月末時点の試算では、その予想を大きく上回る1億1000万円に達する見込みに。
節電を行い、2022年度の使用量を2万kWh削減したものの、電気代の大幅な値上げに追いつかない状況だ。
桶屋美圭アナウンサー：
マリンピアといえば、イルカショーが人気ですが、こちらにも多くの水が使われていて、水温を保つためのコストが高くなっています
館内で最も多くの水が使われている「イルカプール」の水量は、屋内プールと合わせ、約1200トン。イルカが快適に過ごすためには、一年を通して18℃に保たなければならない。
さらに、カクレクマノミなどを展示する水槽は…
マリンピア日本海 石田孝 事務局長：
もともと暖かい海なので、水温は24℃くらいに設定
日本海の水温が10℃になるこの時期。水槽内の水温を24℃に設定するのにも、大きなコストがかかる。
マリンピア日本海 石田孝 事務局長：
閉館して、お客様がいるところの空調は切ることができるが、水槽はそういうわけにはいかない。24時間365日、同じ温度を保っていなければいけない
それでも、「元気に泳ぐ魚の姿を見て、来場者に楽しんでもらいたい」と話すマリンピア日本海。
マリンピア日本海 石田孝 事務局長：
色んな部分で不自由を感じることも多いが、この電気料金の高騰も一時的なものだと受け止めているので、今後、新潟市とも協力しながら何とか乗り切っていきたい
「1プレー100円」に苦しむ
長岡市のゲームセンター「テクノポリス」。1980年代から90年代を中心に約200台のゲーム機を揃えるこの店も、電気代の高騰に苦しんでいる。
テクノポリス 吉田健智 店長：
電気は、ゲーム機で遊べる空間を提供するための仕入れと同じなので、それがぐっと上がるのはかなりきつい
具体的な金額は…
テクノポリス 吉田健智 店長：
直近で2022年12月は56万円の請求。2021年12月と比べて、おおむね17万円のアップ
テクノポリスは2022年12月、新電力から東北電力に契約を切り替えたが、単価が30分ごとに変わる市場連動型の料金プランでしか受け入れられず、電気代の増加は年間で200万円以上を見込んでいる。
ゲーム機の装飾をLEDに切り替えたほか、エアコンを省エネタイプに交換するなど対策を講じているが、追いついていない状況だ。
通常なら値上げに踏み切るところだが、ゲームセンターならではの事情が妨げになっているという。
テクノポリス 吉田健智 店長：
1プレー100円のビジネスなので、マシンの特性上、そう簡単に上げられない
ゲーム機は100円玉のみ識別するため、100円単位の値上げしかできない。倍の200円に変更したのは、これまで3台だけにとどまっている。
テクノポリス 吉田健智 店長：
一度なくしてしまうと、このタイプのゲームセンターは資金的にも、ここまで揃えることは不可能。このゲームで遊べるような環境を残していきたい
終わりの見えない電気料金の高騰。事業者の苦境は続く。
（NST新潟総合テレビ）
