
長崎県の有形文化財だった仏像が、韓国側に盗まれてから約10年。

その行方を巡る控訴審の判決が2月1日午後、韓国で言い渡された。その判決は、仏像が日本に返還される道がようやく開かれるものだった。
600年愛された仏像…突如盗まれ“元々我々のもの” 10年間の経緯
対馬・観音寺 田中節孝 前住職:
辛抱しておりましたけども、(願いが)かなえられたと。

きっかけは2012年、韓国人窃盗団が、長崎・対馬市から2体の仏像を盗んだことだった。

盗まれた仏像のうちの1体は、観音寺の観世音(かんぜおん)菩薩坐像。約600年にわたり地域住民から大事にされ、県の有形文化財にも指定されているものだった。

翌年の2013年には、この仏像が韓国内にあることが判明。
日本側は速やかな返還を求めたが、韓国中部の瑞山(ソサン)市にある浮石寺(プソクじ)が突如、“もともとは我々のだもの”と主張したのだ。

浮石寺周辺には、「返せ!(我々の寺に)安置しろ!」と叫ぶ人々の姿もあった。

その後、韓国・浮石寺側の僧侶らが、突如来日。

問題の仏像とは異なる、替わりの仏像を携えて、アポなしで対馬の観音寺を訪問した。

しかし“門前払い”となると、韓国側の僧侶は、寺の前で読経を開始。

結局日本側に返還される事なく、盗まれた仏像は韓国政府が保管したままだった。

さらに浮石寺側が所有権を主張する裁判を起こし、2017年には一審で、浮石寺への引き渡しを命ずる判決が出されていた。
一審判決を棄却 対馬側に所有権認める判決 韓国側は上告の意向
そして2023年2月1日、午後2時から言い渡された控訴審の判決。

大田(テジョン)高裁は、浮石寺側の訴えを棄却。対馬の観音寺に、仏像の所有権を認める判決を下した。
判決を待っていた、観音寺の前住職は…

対馬・観音寺 田中節孝 前住職:
非常に正当な判決であった。
一方、浮石寺の住職は、判決の言い渡しが終わってもしばらく席を立ち上がらず、判決の内容を受け入れられない様子だった。

韓国・浮石寺の僧侶:
勝訴だと思いましたが、私たちにとってはとても遺憾です。
浮石寺側は、上告する意向を示している。
(「イット!」2月1日放送より)