2022年6月、福島県内で「ひょう」が降り6億円もの被害が発生した。被害を受けたリンゴはへこみや傷があるが、味は変わらないどころか最高の出来だった。かつてない被害を受けたリンゴ農家は、次の収穫に向けて作業を始めていた。
果樹栽培は天気とともに
2023年1月8日、福島県福島市の果樹農家・加藤修一さんはリンゴの木の剪定作業を行っていた。
果樹農家・加藤修一さん:木によっても違うし、枝が広がりすぎているとか、ずいぶん悩む部分がある
実の数を調整して、栄養を集中させるために。そして、日当たりや風通しを良くして病気や病害虫を防ぐために欠かせない剪定作業。約3カ月かけて400本の木を1人で剪定する。
果樹農家・加藤修一さん:
お天気様様なので。何があるかわからないので、こればっかりはどうしようもないです。だから、簡単にお天気のせいにもできないですし、それをカバーするようにうまくやっていくのが、僕の使命かな
ただ、2022年は天気の影響を強く受けた年だった。
りんご“1万5000個”ほとんどが被害
2022年6月3日。穏やかだった天気が一変し、叩きつけるように降った「ひょう」。10分ほど降り続き、農作物にその痕跡を残していった。
半年後の2022年12月。加藤さんのリンゴ畑は、収穫の最盛期を迎えていた。
果樹農家・加藤修一さん:摘果して悪いのは落としたんだけど、落とし切れなくて細かい傷がいっぱいついている
「ひょう」の被害は400本あるリンゴの木の半分に及び、特に被害が大きかった畑は実ったリンゴ約1万5000個のほとんどが被害を受けた。穴があいたり、へこんだり…これほどの被害は経験が無いという。
果樹農家・加藤修一さん:
レベルが全然違う。もう、びっくり。本当に血の気が引くっていうのを、わかります?本当にぶっ倒れるくらい。なんで、このタイミングでっていう感じ
被害も…10年に一度の当たり年
秋の天候に恵まれた2022年は、10年に一度のリンゴの当たり年。大玉で色や形もよく、糖度は例年のものより2度ほど高くなって、香りもよくなった。
果樹農家・加藤修一さん:おいしそう、蜜もいっぱい入って。痛めつけられている方は、若干蜜入りが悪いね
土づくりにこだわり「吟壌リンゴ」と名付けた自慢のリンゴ。傷がついたものは、ジュースに加工したり半額程で販売したりしているほか、自ら経営するカフェでスイーツに使って提供している。
訪れた客:頑張ろうとしている人たちを、応援したいなっていうのがあります
訪れた客:大きな被害だったんですけど、食べて役にたてたらいいなって思って。来年おいしいリンゴができるのが楽しみですかね
今年こそは…リンゴと向き合う日々
どの枝を落としてどの枝を残すか。リンゴの出来を左右する難しい作業だが、「今年こそは」という思いを込めてリンゴと向き合っている。
果樹農家・加藤修一さん:
今年は、形も良くて色も良くて蜜入りでシャキシャキで甘いリンゴ。完璧なリンゴ目指して頑張ります
(福島テレビ)