札幌駅の顔「エスタ」 涙のフィナーレ

8月31日午後10時、JR札幌駅直結の複合商業施設「エスタ」の明かりが消え、その45年の歴史に幕を下ろした。

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午前10時の開店から大勢の人が詰めかけ、この日の来館者は約9万人に上った。

人気店は大行列に

手作りの中華総菜が人気の「点心札幌餃子館」では大行列が。

「餃子館最後尾はこちらです」

長年店長を務め、現在は取締役の籾山誠進さんが駆けつけた。

「ありがたいの一言。お客さんに支えられてきたのを、本当に実感としていま感じています」(籾山 取締役 )

この日、用意したのはザンギ(鶏のから揚げ)約100kg。

ギョーザとシューマイ約1万個。

フル回転で次々と作っていくが、午後7時に完売した。

「まず間違いなく一番忙しかった。これだけのお客さんが入ったのは初めて」 (籾山 取締役 )

「エスタ」とともに引退決意した人も

「エスタ」の営業終了とともに引退することを決意していた人もいる。

「とんかつ玉藤」の三浦恵美子さん(77)。

「最後まできちんとやっていきたいと思います」 (三浦さん)

三浦さんの引退を聞いて、一目会いたいと駆けつけた人も。

「20代後半からエスタで働いていて、三浦さんに『若いんだからもっと食べなさい』って言われました。きょうで最後と聞いたので、ありがとうを伝えたくて来ました」 (小樽市から来た男性)

午後6時30分。

「ありがとうございます。エスタ店の最後のお客様です。どうもありがとうございました」 (とんかつ玉藤 エスタ店 細矢 三男 店長)

商品が完売し、三浦さんの30年以上にわたる「エスタ」での歴史にも終止符が打たれた。

「もう疲れました。最後にあれだけ、みなさんに来ていただいてうれしいです。ありがとうございます」(三浦さん)

地下1階の大食品街では、午後7時を過ぎると完売の店が相次いだ。

いよいよ閉店

午後9時。

閉店の時間だ。

三浦さんも最後の別れを告げる。

地下1階の入口付近には最後の瞬間を目に焼き付けようと約1000人が集まり、「エスタ、ありがとう」の声が響きわたった。

午後9時45分からは、従業員向けの閉店セレモニーが行われた。

沿道には、あふれるほどの一般の人の姿も。

「きょうが最後ではなく、きょうからまた新たな一歩を踏み出す思いで閉店を迎えたいと思います」(エスタ 松井 歩 店長)

そして、午後10時。

明かりが消え、45年の歴史に幕が下ろされた。

しかし「エスタ」を愛した北海道民の胸には残り続けることだろう。

北海道文化放送
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