新型コロナの感染が拡大する中国で、春節前の大移動が始まった。
そんな中、当局は1カ月のコロナによる死者数を6万人と発表。この数字に波紋が広がっている。

春節を前に人であふれかえる!民族大移動が進行中

中国は今、旧正月「春節」を前にお祝いムード一色に。街にはかつてのゼロコロナ政策の面影はない。

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FNN北京支局 河村忠徳記者:
春節用の飾りを売るお店が多く並ぶ場所なのですが、辺り一面真っ赤ですね。

購入者:
今年はコロナ政策が緩和されて、はじめての春節です。みんなが健康でいることを願っています。

新型コロナの震源地と呼ばれた武漢の街が封鎖されてから間もなく丸3年。久しぶりに制限のない旧正月を迎え、延べ21億人の民族大移動が進行中だ。

飛行機や高速鉄道だけでなく、地方の都市や農村へ向かうバスターミナルも人であふれかえっている。

乗客の中にはキャリーバッグに収まらないほどの荷物を持ち込んでいる人もいる。

「コロナ死者6万人」突然の公表が波紋を呼ぶ

こうした春節のお祝いムードの裏で、突如発表された“2つの数字”がいま波紋を広げている。

その1つが、「中国全土で、新型コロナに感染した人の累計が約9億人にのぼる」というもの。
中国メディアが北京大学の研究チームの報告として報じたもので、「中国の全人口(14億超)の64%が感染」したことになる。

さらに中国当局は1月14日、「政策緩和後、1カ月間の新型コロナの死者が約6万人だった」と発表した。
WHOなどが中国に対し、正確な情報を開示するよう求めてきたことに応えた形とも言える。

しかし、この死者数をめぐって、中国国内では「絶対(死者の数)が足りていない」「(6万人という数の)100倍じゃないのか」「国民をばかにしている」といった疑問や怒りの声が上がっている。

ゼロコロナ後の手探りの水際対策?

一方、SNS上では日本人に関係する動画もあった。

日韓への入国ビザ発給が一時停止された後に撮影されたとみられる映像には、店内に「韓国人と日本人は入店の際、陰性証明を提示すること」といった注意書きが置かれている様子が撮影されていた。

そして、中国当局は15日、「他国から中国へ入国する際の陰性証明」について、明日から「紙に印刷して携帯すること」を義務づけると発表した。

入国時の水際対策を厳しくするかのような動きは他にもある。
日本人医師が勤務する上海市内の病院には、次のような通達が来たという。

パークウェイ医療 友成暁子医師:
7日以内の(海外)渡航歴があるコロナの患者さんは、限定された発熱指定病院という所でのみ診るようにという通知が来ました。

この通達について、海外からの流行株の流入を防ぎたい当局側の思惑があるのではないかと医師は推測する。

パークウェイ医療 友成暁子医師:
XBB株を持っている海外からの帰国者をできるだけ“囲い込んで”診るようにしようと。

ゼロコロナが終わったばかりの中国。春節を前に手探りの状態が続いている。

(「イット!」1月16日放送分より)