女子大学生殺害事件 ”嘱託殺人”の初公判

2022年10月、札幌市東区のアパートで、女子大学生の依頼を受けて殺害した罪などに問われている男。

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8月31日、札幌地裁で開かれた初公判で、遺族の苦しい胸の内が明かされた。

検察庁へと向かうため車に乗り込む男。

嘱託殺人と死体損壊などの罪に問われている札幌市東区の無職、小野勇被告だ。

あれから、約11か月。

8月31日、札幌地裁で注目の初公判が開かれた。

開廷したのは午前10時。

小野被告は黒いTシャツにジーンズ、眼鏡を掛けて法廷に姿を現した。

起訴状などによると、小野被告は2022年10月、札幌市東区の自宅アパートで小樽市に住む当時22歳の女子大学生の依頼を受けて、首を両腕で絞めて窒息死させた。

さらに浴室で遺体の左脇の部分を刃物で切り裂いた罪などに問われている。

そして8月31日の初公判、冒頭、罪状認否の場面で井下田裁判長がこう尋ねた。

「起訴事実について間違っていることはありますか?」(井下田 英樹 裁判長)

「いえ、ありません」(小野被告)

小野被告は起訴内容を認めた。

2人がつながるきっかけは”SNS”

その後行われた被告人質問で、小野被告は女子大学生と知り合ったきっかけを明らかにした。

「ツイッターの書き込みを見つけた。殺してというツイートにいいねを押した。女子大学生から、ありがとうというDMが来た」(小野被告)

2022年9月、SNSでつながり、事件の1週間ほど前に札幌市内のカラオケ店に一緒に訪れたこともあったという小野被告と女子大学生。

SNSなどで女子大学生に本当に死にたいか確認したと主張する。

「殺していいか確認をしたら『死ねるんだったら、誰に殺されてもいい』と言っていた」(小野被告)

そして小野被告は2022年10月3日、自宅アパートに女子大学生を招き、その後、殺害を実行したというのだ。

「女子大学生は『最後の晩餐になるからお酒を飲んで楽しく過ごしたい』と言っていた」(小野被告)

弁護側の質問に小野被告は当時の状況をこう説明した。

裁判で検察側は「自殺を手伝ったことがあるかのような嘘をつき、同意を得て実行している。十分な計画性があり完全責任能力がある」と指摘。

これに対し、弁護側は「犯行当時、心神耗弱の状態だった。過去の経験から、自殺に対するハードルが低く、被害者も死にたいという気持ちが強かった」として、執行猶予付きの判決を求めた。

女子大学生の遺族「絶対許さない」

一方、裁判では検察が遺族の思いを読み上げる場面も。

「小野に大事な娘が殺されたと言っても信じられない。犯人のことは絶対に許しません。死刑になって欲しい。目の前で見たらつかみかかってしまう。もし死刑にならなかったら、家に来いと言いたい。娘の仏壇の前で両手をついて謝らせたい」(女子大学生の遺族)

次回の裁判は9月4日の予定だ。

北海道文化放送
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