年始の風物詩といえば「初売り」。百貨店の初売りも3年ぶりに行動制限なしで開催され、行列が戻ってきましたが、2023年はどんな物が売れているのでしょうか。見えてきたのは“ある変化”でした。

3年ぶり行動制限なしの「初売り」大盛況

3年ぶりの行動制限なしでの初売り。新宿高島屋や西武池袋本店では、入店客数が前年と比べて20%増加しました。

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さらに売り上げも、新宿高島屋は前年比約40%増、西武池袋本店は約10%増、松屋銀座は50%以上増、京王百貨店新宿店は約20%増、大丸心斎橋店は30%以上増と、伸びています。

では、2023年の初売りでは、どんな商品が売れているのでしょうか。

新宿高島屋ではフォーマルな服が人気。リモートワークからオフィスワークへの移行など、人前に出る機会が増えたことで、新調する人が多いといいます。

松屋銀座では「デリガチャ福袋」という、限定50個、1回1080円(税込み)で3000~5000円相当のお惣菜が当たるガチャガチャが大人気。物価高の影響から必需品への意識が高まっていることもあり、開店後約1分で完売しました。

変わる「福袋」 意識の変化で衣料品減少

今年の初売りは「福袋」にも変化が起きています。

西武池袋本店では、衣料品の福袋が減少。理由は、消費者の「必要ない物はいらない」という意識の変化と、洋服メーカーが適正在庫を意識するようになったことです。
そして新型コロナの影響で、店頭販売からネット販売にシフトし、福袋の販売数は店頭・ネットで半々になっています。

初売りの変化について、全国250件以上のデパートを行脚しガイドブックも出版している“デパート愛好家”の寺坂直毅氏は…

デパート愛好家 寺坂直毅 氏:
福袋もこれまでの衣類とか商品だけじゃなくて、体験型が今すごく増えています。
例えば、ピザ作りを体験できるとか、案内係を体験できるとか、結婚式を10万円で体験できるとか、100万円でセレブ体験できるというものが増えていますね。

初売り好調も…厳しい百貨店業界

2022年の初売りと比べると好調のようですが、近年、百貨店業界は苦しい状況が続いています。

10年間の百貨店の変化を見てみると…売り上げは2011年の6兆円に対して2021年は4兆円と、10年で2兆円減少。店舗数も2012年の249店舗から、2022年は190店舗と、10年で59店舗減っています。山形県と徳島県は百貨店が0店舗となっています。

なぜ百貨店が衰退しているのでしょうか。

寺坂氏は「若年層が百貨店ではなくショッピングモールに行くようになった」と指摘します。
ショッピングモールは駐車場が広く、映画など買い物以外も楽しめる一方で、百貨店は駐車場が狭く、建物が老朽化しバリアフリーにも遅れが出るなど、課題も多くあります。加えて新型コロナの影響で、新宿や銀座といった繁華街にある都心の繁華街まで外出せず、地元で購入するという人も増えました。

「魅力的な物やイベントが大事」百貨店の新たな取り組み

そんな状況の百貨店業界ですが、様々な工夫を凝らしています。

新宿高島屋では、ゴルフ用品売り場を約3倍(約1000㎡・関東地区最大級)に拡大する新たな取り組みを行っています。若年層や女性など、ゴルフを始める人が増えていることから、試打室やパターエリアを新設しました。

百貨店が生き残るためにはどうすればいいのでしょうか。
寺坂氏によると「とにかく人に来てもらわないとダメ。魅力的な物やイベントが大事」だといいます。
寺坂氏が注目する1月開催のイベントは、駅弁約300種類が集結する、京王百貨店新宿店の「第58回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」。1月7日~22日まで開催しています。

寺坂氏は百貨店の魅力についてこう語ります。

デパート愛好家 寺坂直毅 氏:
売っている商品の信用というか、デパートで買えば間違いないというところだと思います。伊勢丹新宿店で開催されている「サウナ館」(1月4日午後6時まで)を見てみたんですけど、伊勢丹のバイヤーさんが日本中のサウナを駆け回ってゲットした商品とか、ここでしか買えない物がたくさんあるんです。そういったところがデパートの一番の魅力だと思います。

(めざまし8「わかるまで解説」1月4日放送)