大勢の聴衆の前で起きた安倍元首相銃撃事件。SNS時代の報道現場のウラ側には驚きの事実があった。

1本のSNS動画に衝撃の様子が映り込んでいた

2022年7月8日午前11時39分。

ニュースに必要な情報や映像の収集を専門に行う部署「報道局ネット取材部」が、1本のSNS動画を確認した。

この記事の画像(15枚)

男性:
何かパンパン言うてましたね。

女性:
ピストルみたい

男性:
ピストル?

女性:
いま押さえられました。あれがいかんからSPですか?

男性:
はいはいはいはい。

女性:
怖かったわ。何の音かなと。車がパンクしたのかなと思った。
 

報道局ネット取材部デスク(当時) 瀧澤航一郎:
11時39分頃に「奈良県発砲事件」という情報が上がりました。その時は詳細がわからなかったので静観していたんですけど、その後「安倍元首相銃撃されるという速報」が入りまして…。

そこで 先ほどの動画を改めてチェックすると、何気なく撮影された映像の上部に容疑者と見られる男が取り押さえられている様子が映り込んでいたのだ。

報道局ネット取材部デスク(当時) 瀧澤航一郎:
投稿者にコンタクトをして、間違いなく「安倍元首相銃撃事件」のものだと確認が取れましたので、特番で使用しました。
 

(安倍元首相銃撃事件 緊急報道特番)
島田彩夏アナウンサー:

今、何者かが確保されているような映像が入ってきました。


偶然撮影された映像がこうして大事件の報道に使われた。
その後、SNSに様々な動画が投稿されると、事件の詳細を知る上で重要な映像として繰り返し報道された。

発砲の瞬間や、安倍元首相の背後から銃を構える山上徹也容疑者の姿。

「お医者さんいらっしゃいませんか?」と懸命に救助を呼ぶ様子も
「お医者さんいらっしゃいませんか?」と懸命に救助を呼ぶ様子も

SPによって取り押さえられる瞬間。そして、「AED早く!AED!」「看護師さんいらっしゃいました。お医者さんいらっしゃいませんか?」と懸命に救助を呼ぶ切迫した様子も…。

FNNプライムオンラインは、事件発生後から刻々と変わる状況を次々に配信。その記事は、事件発生から半日あまりで100件を超えた。

あの日を振り返り、平松秀敏編集長は、報道におけるSNSの重要性を強く感じたという。

FNNプライムオンライン 平松秀敏編集長:
あの現場に大勢の聴衆がいて、それを目撃していて、その発生直後に自分のスマホを通じて発信した。SNSの威力をかなり痛感したのは間違いない。

SNS情報のデマやフェイクを見抜く

一方で、SNSの情報にはデマやフェイクが多く存在するのも事実。

「Spectee Pro」
「Spectee Pro」

そんな中、正確な情報を配信するサービスがある。ネット上に溢れる事件・事故や災害などの写真・動画を独自に解析する「Spectee Pro(スペクティ・プロ)」
ネット取材部でも2019年から導入を開始。

Spectee Pro本社
Spectee Pro本社

実際、どのようにフェイク映像をチェックしているのか?
サービスを提供している会社を訪ねると、そこにいたのはわずか5人のスタッフ(約100名の社員の大半がリモート作業)。

この人数でSNS上にある膨大な情報の処理を可能にしているのが「最新のAIテクノロジーによる解析」。

株式会社スペクティ 代表取締役CEO 村上建治郎氏:
まずはシステムを使って、いろんなSNSの情報を取得しています。その上がってきた情報に、どういうものが映っているか、その情報が正しいのか正しくないのか、まずはAIで解析を行います。

具体的には、「過去に撮影された画像や動画ではないか」「加工されたものではないか」「過去にデマ情報を流している投稿者ではないか」などをAIが解析。

さらに、AIから上がってきたものは、常時3〜5人のスタッフが24時間体制でファクトチェックしている。

実際に投稿されたフェイク画像 見抜くポイントは?

これは9月に発生した台風15号を巡り、SNSに投稿された画像。

川から溢れ出た水で一面が冠水した静岡の町をドローンで撮影したもののようだが、実はAIで自動生成されたフェイク画像。

もちろん、Spectee社では、これらがフェイク画像であることを、瞬時に見破ったという。

株式会社スペクティ 代表取締役CEO 村上建治郎氏:
一つの特徴としては、正方形の画像になっているんですね。人工的に生成されたものは正方形になっていたりとか。あとは電柱がそもそもないとか。水の流れができているはずなんですけど、全然流れていないとか。そういったところは見抜くポイントになる。
 

こうして、AIとヒトによる二重のチェックを経て、正確な情報だと確認されたものが最終的にSpectee Proで配信されている。その数は1日数千件。早いものだと、SNSに投稿されてから1〜2分で配信されるという。

報道局ネット取材部デスク(当時) 瀧澤航一郎:
報道というのはニュースをなるべく詳しく、視聴者の方にお伝えするということをしなければいけないと思っています。一般の方が撮影した映像や持っている情報で補填して、より詳しいニュースにしていくのが、我々の使命かなと思っています。
 

貴重な映像や写真があげられていることが多いSNS時代の今。一方で玉石混交のネット情報を見極めることも必要でこうしたシステムが活用されていた。

(「FNNプライムオンラインSP みんなが“ポチった”ニュースな出来事ランキング2022」12月26日放送分より)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。