防衛力の強化にともなう防衛費の大幅な増額をどう負担していくか。私たちの生活に大きく影響する国防と増税を巡る議論が、急ピッチで進められている。

「防衛費」国民1人当たり約4万円の負担増に…なぜ?

政府は2023年からの5年間の防衛費を、これまでの約1.5倍となる総額43兆円に増額し、追加財源が必要となる2027年度以降は、年間約4兆円分のうち1兆円余りを増税で確保する方針だ。

防衛費増額の議論が進む背景には、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、北朝鮮のミサイル開発の加速、中国が軍備の拡張と海洋進出を続けていることがある。

国際情勢が緊迫化する中、岸田首相は防衛費の増額を巡り、増税を検討する考えを示した。私たちの暮らしに、どこまで影響を及ぼすのか。

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政府は2023年度からの5年間で、防衛費を増額する方針だ。2022年度は約5兆4000億円だった防衛費が、5年後の2027年度には約11兆円と倍増することになる。

報道ランナーに出演するジャーナリスト・鈴木哲夫氏は、防衛費増額には、岸田首相の支持率の低さが影響していると言う。

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:
「5年間で43兆円」という額が出てきました。岸田首相は最初から、防衛費増額と財源確保はセットでやっていくと言っていたのに、中身が分からないのに額だけ先行したんです。なんで突然43億という数字が出てきたのかを取材すると、自民党のベテランが言うには、岸田首相は今支持率が低い。自民党に支えてもらわなきゃいけないんです。自民党、特に安倍派が主張している防衛費増額に応えなければいけないということ

ジャーナリスト 鈴木哲夫さん:
また外務省OBは、「年明けの日米首脳会談のお土産」という言い方をしました。バイデン大統領に「43兆円確保しますよ」と、そういうことで金額を急いで出したんじゃないかと。だけど、43兆円と言っているけれど、今からこれを国会で審議して、予算案としてやっていかなきゃいけないんです。今議論しているのは官邸と自民党と公明党だけ、このお金を本当にどうするかは国会でやらなきゃいけない。ここを飛ばして額だけが独り歩きして、国民が今、「しょうがないかなあ、この時期は」となっている。これはだめです。使い道含め、国会で何年もかけてきっちり議論して、初めて金額が決まっていくんです。その手続きを岸田首相はすっ飛ばしてる。取材した限りでは、岸田首相は乗せられ押されて金額を言っている、そんな感じがしました

(関西テレビ「報道ランナー」2022年12月9日放送)

関西テレビ
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