「曲数が限られる」「演奏時間が限られる」といった従来の概念を覆す、次世代のオルゴールが登場した。

このオルゴールを開発したのは、世界有数のオルゴールメーカー「日本電産サンキョー」。「いい音・オルゴールの日」にあたる11月10日、従来のオルゴールとは一線を画す「オルフェウス KANATA」を発売したのだ。

次世代オルゴール「オルフェウス KANATA」(提供:日本電産サンキョー)
次世代オルゴール「オルフェウス KANATA」(提供:日本電産サンキョー)
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最大の特徴は、SDカードに入れた150曲もの楽曲をフルコーラスで演奏できることだ。 デジタルデータに記録した楽譜に応じて「櫛歯」を弾く機構を導入することで、曲数や演奏時間が限られるオルゴール最大の弱点を克服した、としている。

販売価格は、なんと、143万円(税込)。

世界的工業デザイナーの奥山清行氏とのコラボレーションによって誕生した斬新なデザインの本体と、成形合板技術で定評のある「天童木工」が作った専用の共鳴台がセットになっている。

「オルフェウス KANATA」と、天童木工が作った「共鳴台」(提供:日本電産サンキョー)
「オルフェウス KANATA」と、天童木工が作った「共鳴台」(提供:日本電産サンキョー)

日本電産サンキョーは、その魅力を以下のように説明している。

精緻な内部機構を“目で楽しめる”LED 照明を内蔵したスケルトンボディ、アルミ・真ちゅう・鉄といったメタルパーツが放つ重厚な質感、繊細で奥行きのある『生演奏』の音質を実現する厳選した素材と新たな構造、そして日本電産サンキョーの職人が仕上げる『匠』の加工技術、これら革新と伝統が融合することで実現したマスターピースです。

「オルフェウス KANATA」のスケルトンボディ(提供:日本電産サンキョー)
「オルフェウス KANATA」のスケルトンボディ(提供:日本電産サンキョー)

この次世代オルゴールは150曲もの楽曲をフルコーラスで演奏できるということなのだが、なぜ、このようなことが可能なのか?

また発売後の反響は? 「日本電産サンキョー」の担当者に話を聞いた。

「櫛歯」を電気信号で弾く

――次世代オルゴールを開発した理由は?

「オルゴールといえば箱型」ではなく、“ムーブメントが持つ美しさ”、見て楽しめるような自動演奏装置としての魅力を、一人でも多くの人に伝えたいという気持ちがあります。

約200年前、音楽を家庭で聴くための唯一のプロダクトとして、オルゴールが誕生したように、時代の変化にあわせて進化したオルゴールの開発を目指しました。


――“ムーブメントが持つ美しさ”とは何?

1本1本の「櫛歯」を弾(はじ)く様子や、オルゴールという自動演奏装置としての完成された「櫛歯」や、それを動かしている動作全体のことです。

職人の手でひとつひとつ削り出され、調整される「櫛歯」(提供:日本電産サンキョー)
職人の手でひとつひとつ削り出され、調整される「櫛歯」(提供:日本電産サンキョー)

――どのようなところが「次世代」?

これまでのオルゴールは音を意識し、“聞く楽しみ”に特化した製品が多かったのですが、「オルフェウス KANATA」は見ても楽しい、どこから見ても美しいという点が大きな違いです。

また、フルコーラスを生演奏できるという点も、歴史ある「シリンダーオルゴール」「ディスクオルゴール」との大きな違いです。


――150曲もの楽曲をフルコーラスで演奏。これを可能とする仕組みは?

オルゴールは「櫛歯」と呼ばれる部品を弾くことによって、音を発生させ、音楽を奏でます。

そして、一般的な機械式オルゴールは、大きく分けて、「ディスクオルゴール」と「シリンダーオルゴール」があります。「ディスクオルゴール」は、円盤の形をした“ディスク”が突起を回転させて、「櫛歯」を弾きます。

ディスクオルゴール(提供:日本電産サンキョー)
ディスクオルゴール(提供:日本電産サンキョー)

「シリンダーオルゴール」は、“筒(シリンダー)”の形をした部品に付いている突起が「櫛歯」を弾きます。

シリンダーオルゴール(提供:日本電産サンキョー)
シリンダーオルゴール(提供:日本電産サンキョー)

これらの“ディスク”や“筒(シリンダー)”は、1周で1曲ですので、曲の長さが限られます。

今回のオルゴールは“電気信号”で「櫛歯」を弾くため、電気信号を送り続ければ、何時間でも演奏を続けることができます。


――電気信号で「櫛歯」を弾くということは、曲数を増やすこともできる?


別売のSDカードを購入すれば、追加で50曲をダウンロードすることができます。

「持っているだけ・置いてあるだけで特別な気分に浸っていただける」

――143万円と、なかなかの価格だが、どのような人が購入することを想定している?

従来のオルゴールファン、そして、今回、オルゴールを初めて知ったというような方々にも楽しんでいただきたいと思っています。仕事や趣味など、自分のライフスタイルにこだわり、ゆったりと落ち着いた時間を愛するような方々に所有していただきたいです。

また、ご自宅に限らず、オフィスやクリニックのエントランスでもオブジェとして存在感を発揮し、インテリアとして、どんな場所でも絵になるのが「オルフェウス KANATA」です。

「持っているだけ・置いてあるだけ」で、特別な気分に浸っていただけると思います。


――11月10日の発売後の反響は?

オルゴールの今までの概念を変えるデザインの斬新さから、販売店様でのお取り扱いをお声がけいただいたり、メディア掲載をご覧いただいたお客様から、直接、お問合せをいただいたりしております。

次世代オルゴール「オルフェウス KANATA」(提供:日本電産サンキョー)
次世代オルゴール「オルフェウス KANATA」(提供:日本電産サンキョー)

150曲もの楽曲をフルコーラスで演奏できる、この次世代オルゴール。日本電産サンキョーオルゴール記念館「すわのね」や、日本電産サンキョーの特設サイト、「日本橋高島屋S.C.本館」「和光本店」「大丸東京店」などの展示場所で購入可能だ。

高額ではあるが、特別な気分に浸りたいと思っている人は、購入を検討してみてはいかがだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。