2021年、県外に移り住んだ人数を示す「人口流出」が広島県は全国ワースト1位、外国人の人口流出もワースト3位を記録した。介護や産業に必要な労働力をどのように確保するのか?今、大きな課題を抱えている。

外国人に頼らざるを得ない現状

2022年11月29日、広島市留学生会館で外国人材を受け入れる企業などに向けたフォーラムが開かれた。「今年、立て続けに3人ほど辞めてしまった」と、深刻な現状を伝える企業も…。テーマは”外国人労働者の確保”である。

「外国人材受け入れ企業等向けセミナー」
「外国人材受け入れ企業等向けセミナー」
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(Q.労働力の確保について危機感は?)
広島県 雇用労働政策課・長谷川達也 課長:
それは非常にあります。最近の情勢もありますが、コロナ禍以前から労働力確保に危機感を持つような状況が続いていました。それがコロナ禍によって、人材不足の業界と、ある程度景気が良くて十分に事業が進んでいる業界の差が開いてきていると感じています

広島労働局が2021年に行った調査によると、広島県内に在住する外国人労働者は約3万7000人。

その4割以上を占める外国人技能実習生は約1万5000人で、国内で5番目の多さ。外国人労働者は、県内企業にとって貴重な戦力とされている。

因島鉄工・福島侑 課長:
まず日本人の新卒はもう来ない。外国人に頼らざるを得ないというのが今の現状です

ハイブリッド・橋野弘 社長:
外国人の方が来てくださっているのでなりわいが成り立っているという製造業の中小企業は、とても多いと思います

日本に行く意味がない?縮まる賃金の差

企業にとって貴重な労働力の確保が、今後、さらに困難になるかもしれない。原因は「円安」。

因島鉄工・福島侑 課長:
特にタイなどでよく聞くのが「日本と同じくらいの賃金になっていて日本に行く意味がない」ということ。日本が選ばれなくなってきています

ハイブリッド・橋野弘 社長:
オーストラリアや韓国の方が条件が良いとか、そういう面で日本が選ばれなくなっているのは実際にあると思います

日本で働いている外国人に話を聞いてみた。東広島市にある古民家を改装した飲食店。

東広島市八本松飯田にある「らびずはうす」
東広島市八本松飯田にある「らびずはうす」

カレーを中心とした本場のネパール料理が自慢のこの店では、ネパールから来たスタッフが働いている。

店で働くネパール人スタッフ
店で働くネパール人スタッフ

ネパールでは、日本以外の国に魅力を感じる人も増えてきているという。

ダンゴル・ラビンダラさん:
働く国にアメリカ、カナダ、メキシコなどが選ばれている。今、日本円の10万円がだいたいネパールで8万3000円くらいで少なくなる。厳しいです

インタビューの途中、店のスタッフの1人が突然声を上げた。

マハルザン・マハラジャさん:
今はコロナ禍でお客さんが少ない。それは仕方がない。もし他の仕事もできれば楽になるかなと
(Q.今は決まった仕事しかできない?)
そう。インド料理とネパール料理を作ることしかできない

マハラジャさんは来日6年目。5年前に妻と子ども2人を広島に呼び寄せた。インド・ネパール料理の料理人として入国しているため、今の制度では入国の際に申請した仕事しかできない。労働力を柔軟に活用する意味でも、外国人労働者の働きやすさといった点でも課題を抱えている。

”広島を選んでもらえる”取り組みを

外国人の労働力を確保する上で注目されているのが「特定技能制度」。国内人材の確保が困難な産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる制度だ。適用されるのは介護、建設、農業など12分野に限られるが、専門性のある外国人材を企業が直接雇用できるメリットがある。

因島鉄工・福島侑 課長:
付加価値のある特定技能の方を大事にして、大活躍してもらっています

一方で問題もある。技能実習生は、日本の技術を学んで母国に持ち帰り経済発展に役立てることが主な目的。同じ企業に最低3年間は在籍する。それに対して、特定技能外国人は自由に転職できる。すなわち、日本国内で外国人材の争奪戦が起こる可能性があるのだ。

ハイブリッド・橋野弘 社長:
転職ありきで考えないと…

専門家は今の国内の状況に警鐘を鳴らす。

東京外国人材採用ナビセンター・淺海一郎 相談員:
人手不足感から外国人材を採用せざるを得ない現状がありますから、日本国内で奪い合いになることはじゅうぶんに考えられます。”入社後の定着”について、企業や行政はもっと当事者意識や危機感を持って検討や取り組みを進めるべきです

広島県 雇用労働政策課・長谷川達也 課長:
外国人労働者にいい体験を積んでもらって、その体験が元となって広島を好きになってもらう。広島の企業を、あるいは広島の地域を選んでもらえる。そういうことにつながる取り組みをしっかりやっていきたい

少子高齢化の影響で国内では十分な人材が確保できない業種において、この問題は非常に深刻である。特定技能制度が解決の糸口になりそうだが、次なる課題は”広島への定着”と言えるかもしれない。

(テレビ新広島)

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