コロナ禍になり、若い世代だけでなく管理職世代も仕事で「Slack」「Teamsチャット」などのチャットツールを使う場面が増えたかもしれない。

そんな“部下や後輩”もしくは“先輩や上司”とコミュニケーションを取る(ビジネスチャットをする)とき、どのような絵文字を使えばいいのか悩んだことはないだろうか?実は相手から不評な絵文字はあるのだろうか?

こうした疑問に答えてくれる調査結果が12月1日に発表された。調査を行ったのは、ネオジャパンが立ち上げた『NEOビズコミ研究所』。

今年8月~9月に、業務でチャットツールを使う20代~50代のデスクワーカー400人を対象にWeb調査を実施し、その結果を第2回「チャットツールに関する実態調査」として発表した。

この調査で、ビジネスチャットで上司・先輩から部下・後輩へ「ありがとう」というメッセージが送られてきたとき、付いていたら不快に感じる絵文字を聞いたところ、1位は「目がハートの笑顔絵文字」で、2位「サングラスの笑顔絵文字」、3位「うれし泣きの顔絵文字」だった。

「ありがとう」に付いていたら不快に感じる絵文字(提供:ネオジャパン)
「ありがとう」に付いていたら不快に感じる絵文字(提供:ネオジャパン)
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また、部下・後輩から上司・先輩への「よろしくお願いします」というメッセージに付いていたら不快に感じる絵文字を聞いたところ、1位は「目がハートの笑顔絵文字」で、2位「サングラスの笑顔絵文字」、3位「うれし泣きの顔絵文字」と、「ありがとう」に付いていたら不快に感じる絵文字と同様の結果となった。

「よろしくお願いします」に付いていたら不快に感じる絵文字(提供:ネオジャパン)
「よろしくお願いします」に付いていたら不快に感じる絵文字(提供:ネオジャパン)

ネオジャパンは、この理由について「ハートは情熱的な感情を表現できる一方、受け止める方としては『よこしまな感じ』や『いやらしさ』を感じてしまうのかもしれない」と指摘。

そのうえで、これらの絵文字の使用はプライベートに限ったほうが良いとしている。

一方、上司・先輩から部下・後輩への「ありがとう」のメッセージで好感が持てる絵文字は、1位が「にこにこ絵文字」、2位「親指を上げた手の絵文字」、3位「おじぎをする人の絵文字」だった。

「ありがとう」に付いていると好感が持てる絵文字(提供:ネオジャパン)
「ありがとう」に付いていると好感が持てる絵文字(提供:ネオジャパン)

また、部下・後輩から上司・先輩への「よろしくお願いします」を伝えるメッセージで好感が持てる絵文字ランキングでは1位は「にこにこ絵文字」、2位は「おじぎする人絵文字」だった。

「よろしくお願いします」に付いていると好感が持てる絵文字(提供:ネオジャパン)
「よろしくお願いします」に付いていると好感が持てる絵文字(提供:ネオジャパン)

「にこにこ絵文字」は、若手からベテランまで高い支持を得ており、「部下や後輩に感謝を伝える時は、この絵文字を使っておけば間違いなさそう」としている。

また、「おじぎする人絵文字」も世代問わず人気で、日本で育まれてきた「人にお願いする時はへりくだる」気質がチャットツールの時代にも脈々と受け継がれているのかもしれない、と分析している。

「絵文字を使うと円滑なコミュニケーションが取れる」

コロナ禍でチャットツールは普及しつつあるが、そもそも、上司と部下がチャットツールでコミュニケーションを取る場合、お互いに絵文字を使うのは問題ないのか? また、今回の調査結果を踏まえ、ビジネスチャットをする際には、どのようなことに気をつければよいのか?

ネオジャパンの担当者に話を聞いた。


――この調査における「ビジネスチャット」というのは、どのようなチャットツールを指している?
  
当社が提供している「Chatluck」や、他社様だと「Slack」「Teamsチャット」「Chatwork」「Googleチャット」などを想定しています。「LINE」はビジネスユースの「LINE WORKS」が該当します。

特定のツールに限定して、アンケートしたわけではないですが、あくまでビジネスツールとしてのチャットについて聞いています。


――上司・先輩が部下・後輩に感謝の気持ちを伝えるときは「ありがとう(にこにこ絵文字)」を使うのが無難ということ?

今回、実施した調査では、いくつかの絵文字の選択肢の中でもっとも好感度が高かったのが「にこにこ絵文字」となっていますが、どの絵文字も少数派ながら、一定数、「不快に感じる」と答えた方もいらっしゃいます。

必ず絵文字を付けるべき、というよりも、使用する方の元々のキャラクターや、「送る側・受け取る側の関係性」にもよると思いますので、時と場合によって、判断いただければよいと思います。

ただ、今回のアンケート結果においても、「にこにこ絵文字」は77%以上の方がポジティブな印象を持っているという結果が出ていますし、チャットはEメールと異なり、成り立ちが「リアルなコミュニケーションの延長線上」として設計されています。

実際に会って会話する時には、優しい笑顔が心を和ませるように、チャットの場合には絵文字を上手に使っていただくと、より円滑なコミュニケーションが取れると思います。

イメージ(ビジネスチャットでメッセージを送る男性)
イメージ(ビジネスチャットでメッセージを送る男性)

――絵文字を付けない「ありがとう」と「ありがとう(にこにこ絵文字)」では、どちらの方が部下から好感を持たれる?

調査結果によると、「ありがとう(にこにこ絵文字)」に「好感が持てる」と答えた方が26.8%。これに対して、「何もつけない ありがとう」だと18.3%ですので、「にこにこ絵文字」に軍配が上がります。

ちなみに、「親しみを感じる」と答えられたのは「ありがとう(にこにこ絵文字)」が50.5%、「何もつけない ありがとう」が16.5%ですので、こちらも「にこにこ絵文字」の圧勝ですね。

まさに、「笑顔は言葉を超える」といったところでしょうか。

相手の反応も見ながら上手に使い分けるのが大事

――今回の調査結果で示されたもの以外で、上司から部下へのチャットで、不快に思われる可能性がある絵文字は?

一部、自由回答式で取ったアンケートによると、若い方の中には「上司からの絵文字は若者に媚びを売っているように感じる」と答える方もいました。絵文字も、あまり多用しすぎると、そのように捉えられてしまうこともあると思いますので、「ここぞの時」に使うのが得策ですね。

また、若者世代はミドル世代に比べて、使う言葉や絵文字の使い方のトレンドの移り変わりが早いので、ミドル世代が良かれと思って使った絵文字や流行り言葉が、かえって「古臭い」と感じられてしまうこともあるようです。

「日々是勉強」で、ミドル世代は常に情報をアップデートしてほしいと思います。


――上司と部下がビジネスチャットでコミュニケーションを取る場合、上司と部下がお互いに絵文字を使うのはあり?

今回の調査で分かったのは、ビジネスの場においても、世代を問わず、全体的には絵文字を使うことの抵抗感は薄い、ということです。とはいえ、最後は普段のキャラクターや人間関係次第と言えるのではないでしょうか。

ただ、普段は強面と思われている上司の方が絵文字を使うことで、「意外とお茶目なのかも…」と思ってもらえる機会にもなると思うので、部下との距離感が遠いことに悩んでいる上司の方は絵文字を使ってみるのもよいかもしれません。

チャットツールに関する実態調査(提供:ネオジャパン)
チャットツールに関する実態調査(提供:ネオジャパン)

――今回の調査結果、どのように受け止めた?

まず、ビジネスチャットが普及し始めて、まだ数年にもかかわらず、我々の想像以上に上の世代を含めて、皆さん使いこなしていらっしゃるな、と驚きました。

また、絵文字などの比較的、くだけた表現も、上は50代まで、抵抗感のある方は少なかった印象です。


――今回の調査結果を踏まえ、ビジネスチャットをする際には、どのようなことに気をつければよい?

テレワークなどの台頭で、顔を合わせてのコミュニケーション機会が減っています。そうした状況だからこそ、絵文字などを上手に使いながら、“心を通わせる関係性”の構築に役立てていただきたいと思います。

「あまり絵文字を使ってこなかった」という方も、これを機会にチャレンジしてみてください。

ただ、中には絵文字に抵抗感のある方もいますので、相手の反応も見ながら、上手に使い分けていただくのが大事です。

イメージ(ビジネスチャットでメッセージを送る女性)
イメージ(ビジネスチャットでメッセージを送る女性)

今回の調査で、ビジネスの場においても、世代を問わず、絵文字を使うことの抵抗感は薄いことが分かった。絵文字を使うことにためらいがあるという人は、自分のキャラクターや相手の反応を総合的に判断し、ビジネスチャットで絵文字を使ったコミュニケーションにぜひチャレンジしてみてほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。