広島県江田島市で島の活性化に取り組む2人の女性。1人目は海辺でアパレルブランドを経営、2人目は大学卒業後にUターン就職しボランティア活動にも参加している。彼女たちを通して”江田島の魅力”に迫った。

自然光の入るオフィスで

江田島や能美島など大小合わせて10の島々からなる江田島市。

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本州と江田島を陸路でつなぐ早瀬大橋のたもとに、モデルハウスのような素敵な建物が佇む。ここは江田島市に本社を置くアパレルブランド「アクアガレージ」の施設だ。

建物の背景に見える白い橋が早瀬大橋
建物の背景に見える白い橋が早瀬大橋

江田島を盛り上げる1人目の女性は…

アクアガレージ・山下真由美 社長:
ここでスタッフが気持ちよく仕事できるように、また島外の方が江田島市を訪れた際のコワーキングスペースや気軽なカフェとして利用していただけるように建てました。

こちらは施設内にある撮影スタジオ。「アクアガレージ」の商品をインターネット上で販売する上で、いかに見る人の目を引くか…写真や動画の撮影が重要になる。

「アクアガレージ」本社の撮影スタジオ
「アクアガレージ」本社の撮影スタジオ

撮影で意識していることは?

スタッフ:
写真でどれだけ生地感がわかるか

”生地感”を意識して撮影するスタッフ
”生地感”を意識して撮影するスタッフ

冬物の新作コートを商品ページに載せるため、スタッフは真剣な表情で撮影に臨んでいた。スタジオには自然光が入り、肌の色もきれいに撮れるという。山下社長は「いろいろな背景紙を下ろせるので、家族写真などにもご利用もいただけます」と話す。

デンマーク製の家具や薪ストーブが置かれた打ち合わせスペースや会議室は、予約制で一般の人も利用できるようになっている。

アットホームな打ち合わせスペース
アットホームな打ち合わせスペース

さらに、施設をカフェやコワーキングスペースとしても利用可能。コーヒやデザート、軽食が準備されている。

カフェ利用やワーク利用を兼ねた自由なスペース
カフェ利用やワーク利用を兼ねた自由なスペース

「江田島で働く意味がここにある」

社員やスタッフ専用のスペースは2階のオフィスのみ。大きな窓いっぱいに広がる空と海、このロケーションは都心では味わえない。

明るい陽光が差しこむ2階のオフィス
明るい陽光が差しこむ2階のオフィス

「アクアガレージ」は30代~40代の女性を主なターゲットに、約1300点の商品を扱い、流行のファッションだけでなく何年も着られるベーシックなものを大切に幅広いサイズで取りそろえている。

実は、山本社長の本業は建設コンサルタント。アパレル商品の製造・販売の経験が一切ない中で、2007年に新事業として始めた。

アクアガレージ・山下真由美 社長:
携帯電話が”ガラケー”の時代に、こんなので洋服が売れるのかなと半信半疑で始めたのを覚えています

アクアガレージ・山下真由美 社長:
「アパレルなのに、なぜ江田島なんですか」とよく聞かれますが、EC(電子商取引)なので江田島からいくらでも発信できます。トレンドも情報網を使って入手できます。関西や関東を拠点にした競合が多い中で、私たちは”江田島で働く意味がここにある”というのを示したいなと

瀬戸内一おしゃれなグランピングに挑戦

建物の外には、雰囲気の良いデッキがいくつか設けられている。

広いデッキに、たき火ができる「ファイヤーピット」
広いデッキに、たき火ができる「ファイヤーピット」

アクアガレージ・山下真由美 社長:
こちらはファイヤーピットです。たき火をしながら何かおつまみやアルコールとともに語り合うようなスペースです。たき火が大好きで、火を見ていたらずっと飽きない

ここからが、建設コンサルタントの本領発揮。となりの敷地に目を向けると…山下社長の新しい挑戦が始まっていた。

アクアガレージ・山下真由美 社長:
新たにグランピング施設を建設中です。瀬戸内で一番おしゃれなグランピング施設を目指して、女性の方にたくさん来ていただきたいと思っています

グランピング施設の完成イメージ写真
グランピング施設の完成イメージ写真

半球型の6人部屋4つと10人部屋1つが建てられる予定だ。

アクアガレージ・山下真由美 社長:
ECなので、今まではお客様の顔も見えないし、直にお話することもありませんでした。リアルに体験してもらえる場として、グランピングで江田島市の魅力を発信していけたらなと思います

山下社長は”江田島の玄関口”で新たな雇用を生み出し、2023年3月のオープンに向けて準備を進めている。

高齢者が多い地域で輝く若い力

一方、こちらは江田島市江田島町秋月地区。

江田島を愛し奮闘する女性の息吹がここでも感じられる。注目する2人目は、川井美優さん。

秋月交流プラザでボランティア活動をする川井さん
秋月交流プラザでボランティア活動をする川井さん

この日は、健康づくりを推進する地域のボランティア団体とともに月1回の「秋月カレーの会」に参加していた。

川井美優さん(左)と「秋月カレーの会」リーダー(右)
川井美優さん(左)と「秋月カレーの会」リーダー(右)

秋月カレーの会・リーダー:
一人暮らしの高齢者はわざわざ1人分のカレーを作らない。月に1回はカレーを食べたいという気持ちになってくれたらいいなと。大鍋で25~30人分のカレーを作っています。毎回好評ですよ

手作りカレーとサラダで200円。

秋月地区の住民からは「ボランティアのみなさんが本当によくやってくださいます」と喜びの声が。高齢者の多い地域にとって大切なコミュニケーションの場でもある。

カレーを食べに訪れる地域住民
カレーを食べに訪れる地域住民

川井さんがボランティアに加わったことは大きな力になっているという。

秋月カレーの会・リーダー:
川井さんは将来を担うすごい人材です。頼りにしているし、彼女と話していたらワクワクするんですよ

川井さんは平日は会社員として働き、休日にボランティア活動に参加している。

川井美優さん:
忙しいですけど、すごく楽しい

江田島市に生まれ育ち、高校卒業までこの島で暮らしていた川井さん。京都にある大学へ進学したが、コロナ禍に直面し大きな影響を受けた。一度は島を離れ「4年後に戻ってくるとは予想していなかった。海外か関西にいようかなと思っていたので」と話す。ボランティアスタッフに見せる笑顔が、今の生活を楽しんでいる何よりの証拠だろう。

川井さんは右から2番目
川井さんは右から2番目

Uターンで地元活性「私たち世代が…」

2021年、当時大学4年生だった川井さんを取材している。コロナ禍で一時的に江田島に戻り、東京から江田島に移転したIT企業「ジーンリーフ」が拠点とする古民家に通っていた。

2021年、川井さんがインターンシップで通ったIT企業の拠点
2021年、川井さんがインターンシップで通ったIT企業の拠点

当時大学4年生の川井美優さん:
大学のオンライン授業を受けながら、インターンシップとしてプログラミングを教えてもらったりデザインの勉強もさせてもらっています。京都に出るまでは江田島の良さを意識したことはあまりなかったが、島を出てみると魅力を感じるようになりました

そして2022年。新たに誕生したオフィスを訪ねると、大学を卒業後、江田島にUターンし新入社員として働く川井さんの姿があった。

川井さんが入社したIT企業の新しいオフィス
川井さんが入社したIT企業の新しいオフィス

川井美優さん:
江田島市は人口が減っていたり空き家が増えていたりするので、私たち世代が取り組みを始めて、島外から人が来て住民が増えたり、いろいろな活動ができる場所にしていければと、心に留めながら仕事をしています

自分でも古民家を借りて、週に数回、大学生と共同生活をしているという川井さん。これまで縁もゆかりもなかった人に江田島の魅力を知ってもらうため、若者たちの挑戦が始まっている。

(テレビ新広島)