胆振東部地震で37人が犠牲となった北海道・厚真町。あれから4年余り、町民や災害ボランティアなど約150人が見守る中、厚真町で地元の吹奏楽団による演奏会が開かれた。地震の犠牲となった”大黒柱”への思いと共に復興の音色を響かせた。

楽団の大黒柱を失って・・・

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演奏しているのは厚真町民吹奏楽団。厚真町民による厚真町民のための楽団だ。

演奏会に向けメンバーはこれまで、仕事終わりの夜間などに練習を重ねてきた。

厚真町民吹奏楽団 高橋尚揮さん(21):
合同演奏というのはなかなか無いので楽しみと言えば楽しみですけど、不安でもあります

楽団のパーカッション担当、高橋尚揮さん。尚揮さんは高校生のころから楽団に参加している。

参加するきっかけは楽団で指揮者を務めていた「かずおじさん」こと松下一彦さん。

松下さんは尚揮さんの祖母の弟にあたる。

ただ、この日の練習にかずおじさんの姿はない。

4年前の9月、大規模な土砂崩れが発生し37人が命を落とした厚真町。松下さんもその1人で自宅が土砂崩れに巻き込まれ、長男とともに犠牲となったのだ。

厚真町民吹奏楽団 高橋尚揮さん
優しくて真面目な人。みんなが慕っている人

松下さんは農業を営みながら、楽団で20年以上指揮者を務め、楽団にとっての大黒柱のような存在だった。

被災後は松下さんの遺志を継ぐ形で活動を再開したが、その大黒柱を失った影響は大きかった。

厚真町民吹奏楽団 高橋尚揮さん
本番とか癖で、前向いて誰もいないときに、いない、いない、いないって感じになっちゃう

迷った時、メンバーは松下さんを思い浮かべることにしているという。

厚真町民吹奏楽団 下司義之 団長:
団の中で意見が食い違うときに、松下さんだったらこういう風にふわっとまとめてきたよなと

地震がおこる4日前、かずおじさんと最後に一緒に演奏した「狙いうち」も演奏する予定だ。

厚真町民吹奏楽団 高橋尚揮さん:
震災って起きた当時はすごい鮮明に覚えているけど、どうしても時間が経つと風化していくもんじゃないですか。だから、なるべくそういう風にならないようにしていきたい

演奏会のテーマは「ありがとう」

今回の演奏会を企画した副指揮者の山野下さんは、支援してくれた人たちに感謝を伝えたいと意気込む。

厚真町民吹奏楽団 山野下誠さん:
お世話になった人たちに聞いていただけたらありがたいなと。テーマは感謝「ありがとう」

いよいよ本番。「狙いうち」も演奏された。

生前のかずおじさんと一緒に演奏してきた曲を力強く、そしてこれまでの温かい支援に感謝を込めて奏でた。

観客:
素晴らしかったです。心が癒される。ずっと続けてほしい

観客:
なかなか一緒に歌うことはできなくても、ここで口ずさむことはできて本当に良かったです

厚真町民吹奏楽団 高橋尚揮さん:
皆さん聴いてくれてよかった。(松下さんなら)『よくやったんじゃないか』といつも通り言ってくれると思う。そういうことを思い出しますね

被災から4年余り。町の風景は震災当時から徐々に変わりつつある。そして町には次の世代に伝えていく希望のメロディーも響いている。

記事 1128 北海道文化放送

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