2022年も、Twitter上でいろいろな話題が注目を集め、中には数万にわたってリツイートされる“バズる”体験をした人もいることだろう。
ただ、“バズりたい”という願望はあってもそうなるのは一握りで「実際バズったらどんなことが待ち受けるのか」は経験したものにしかわからない。
そこで、今年の“バズり体験者”に、当時体験したことや気になるその後を聞いてみた。
中2長男が「反抗期届」を提出!?
今年4月、ある悩みに直面した父親がTwitterに投稿した“1枚の紙”が話題となった。
息子から反抗期届を提出されました。
— ティーエス🐸 (@tye_es1) April 10, 2022
今日からスタートです(´・ω・`) pic.twitter.com/SU4YAcVSAf
息子から反抗期届を提出されました。
今日からスタートです(´・ω・`)
3児の父親であるティーエスさん(@tye_es1)は、4月9日に中学2年の長男(当時13歳)から「反抗期届」と書かれた1枚の紙を渡された。
紙には「私は下記の期間 反抗的態度を多くとることを届け出ます」と宣言していて、期間は令和4年4月10日~7月31日までの約4カ月間。
さらに届け出には「朝起こすのは『不要』、部屋の掃除は『要』(月1度)。そして、家族行事や外出に参加するかどうかは『都度相談』」と息子さんの要望が記されているのも興味深い。
これはティーエスさんの妻が、育休届などを参考にして作ったもので、「(反抗するなら)反抗期届を出してからにして」と話し、長男が中1の時に渡していたものなんだそう。
提出される前日の4月8日、4月10日の休みの日に一緒に出かける・出かけないでもめたことで反抗期がスタートしたようで、長男は夕食後、テーブルにこの届を投げ置きしてきたという。なお、期間が7月31日までだったのは適当に決めたのだそう。
反抗期なのに“届け出”としてちゃんと伝えるこの方法には、Twitterでも「分かりやすくて良いですね」「このアイデアは考え付かなかった」といったコメントが寄せられている。
律儀に提出する息子さんへも「基本的に良い子ですねw」「可愛い反抗期ww」といったコメントが相次ぎ、12月下旬までに4万9000件のリツイートと、32万7000件のいいね!を集めている。
(参考記事:中2息子が提出した「反抗期届」が興味深い! でも、投稿がバズって親子関係に変化…その後を聞いた)
いいね激増で「ドッキリか?」と思うくらい不思議でした
予定通りであれば反抗期が終了して数カ月が経過しているはずだが、長男との家族関係はどうなったのだろうか? また、バズったことで何かその後の変化はあったのだろうか?
ティーエスさんに改めて話を聞いた。
ーーなぜ「息子から反抗期届を提出されました」を投稿したの?
(「反抗期届」は)息子と妻のやりとりで作ったものですが、それが提出されたのも、期間が短かったのも、父の私から見ても面白かったので投稿しました。仲の良いフォロワーさんに見てもらいたかった感じでした。
ーー投稿は大きな反響となったけど、これほどまで話題になると予想していた?
こんなに大きな反響を頂けるとは、全く予想だにしていなかったです(笑)。普段のツイートでも20いいね付いたら良い方ですので、「100いいねくらいもらえるかな?」くらいでした(笑)。
ーー過去1番にバズったツイートになる?
もちろんこれです。過去には300くらいが最高でした(笑)。
ーー「バズった!」もしくは「バズっている」と感じた日の様子を教えて。
当時、投稿してすぐに近くのイオンまで散歩がてら長男以外の家族4人で買い物に出かけていました。普段、通知音は鳴らないようにしているので、しばらくしてからTwitterを開いたら1万いいねくらい付いてて、びっくりしたのを覚えています。その後もちょこちょこ見る度に1万増えてて「ドッキリか?」と思うくらい不思議でした(笑)。
ーー大きくバズっている最中、どんなことを感じていた?
もうびっくりしすぎて正直怖かったです。1秒ごとに1000くらいいいねが増えてく感覚で(笑)。通知欄も「〇〇さん他100人がいいね(リツイート)しました」がずっと出ている状態でしたので。
反響に長男大喜び「取材は全部受けて!」
ーー30万以上のいいねが付く大きな反響となった。どう感じている?
本当にびっくりして、本当かどうかわかりませんでしたが、「反抗期」というみんなが知ってて且つ、親も子も悩むテーマなので伸びたのかな?と改めて感じました。
また、バズったのですが、長男と妻のやり取りを載せただけですので、父である自分は当事者じゃないのが少し恥ずかしいし、複雑な気持ちもありました(笑)。
ーーリプライなど、寄せられたコメントで印象に残っているものはある?
リプライのほとんどが「まねさせて下さい」とかでした。中でも数名の方が本当にまねして「反抗期届」のバージョン違いを作ってくださって、リプライ等で載せてくれたのが印象的でした。
ーー大きな反響に対しての長男と奥さんの反応は?
長男はめちゃくちゃ嬉しそうでした。バズった事も、数々の取材申し込みが来たことも。「取材は全部受けて!」と張り切っていました(実際は顔出しもNGにしていますし、私が忙しくなるので半分くらいお断りしましたが)。妻はTwitterをやっていないのですが、「信じられない」って感じでした。
言い合いになっても「反抗期届出してるもんねー」
ーー長男から「反抗期届」渡された時どう思った?
提出してきたとき、ダイニングのテーブルにポンっと置かれました。事前に妻から「反抗期届を作った」と聞いていましたし、長男と言い合いしてた時にも「反抗期届出してからにして(言い返して)」と言っていましたので、「本当に出したwww」と思って笑ってしまいました。
反抗期届の存在は、普段からユーモア?(お笑いとか好きな)妻なので、「また面白いこと(ボケ)思いついたなー」という感じで、“普段より面白いボケ”みたいに思いました。同時に良く出来てるな、とも感じました。
ーー反抗期中の長男の様子はどうだったの?
もともとすごく素直な子だった前提で、中学生になり、母親に対して「うるせー」とか、言われたことを素直に聞かないとか、軽い口答えする程度でした。実際「反抗してた?」と聞かれたら父の私からしたら「恐る恐るの反抗」くらいのイメージです。反抗期前も反抗届提出後も言葉遣いが多少悪くなったくらいと、些細な約束を守らなかったりくらいです。
ーー長男と家族との関係性も大丈夫だった?
家族外出にいつも行くか迷っていたのが、反抗期間中は迷いなく付いて来なかったです。大したエピソードはありませんが、父である私と言い合いになっても「反抗期届出してるもんねー」とおちゃらけてきて、こちらが言い返せなくなることはありました(笑)。
“延長”されないように妻が先手を打った
ーー7月31日で終了とのことだったが、その日の様子は?
終了日は特に変わった事はありませんでした。延長も片隅にはあったでしょうが、妻が延長する気を起こさないように先手を打っていました。それは8月1日〜2日の一泊二日旅行を計画し、「延長するなら旅行来れないよ」とプレッシャーをかけるかのごとく(笑)。7月半ば頃から妻と長男2人で旅行の行き先決めてました(笑)。
ーー反抗期中と終了後で、何か変わったことはある?
終了後は家族のお出かけにも付いてくる事が多少増えたような気がします(笑)。もともと家族仲は良い方だと思うので、反抗期中も終了後もさほど変わりないかも知れないですが。
ーー「反抗期届」の良かった点・悪かった点を教えて。
良かった点は、狙わずとも(初めはお互いに半分冗談、半分本気みたいな感じでしたので)「可視化」出来たことで親も意識できますし、子も「反抗期という存在」を気づくきっかけにもなったと思うので、仮にこの先の「反抗期本番」が来た時の予行演習にもお互いになったと思います。悪かった点は特にありません。
ーー下の子どもたちにも今後「反抗期届」を渡すことは考えている?
今のところ考えていません。と言うのも、下の子らは長男と性格が違うため、「下の子らには合わないかなぁ」と妻が言っています。まだ真ん中の子が低学年で、その下は保育園年中なので中学生くらいになったら考えが変わるかも知れません。
「大きなバズはもういいです」
ーーバズった前後で何か影響が出たことはある?
身バレしないように心掛けてましたので、疎遠な人と繋がったとかはありませんが、フォロワーさんは一気に700名くらい増えました(笑)。
ーー写真撮影やツイートすることに対する意識は変化した?
すごく変わりました。普段たわいも無いことを呟いているだけなのに、多くの人に見られる恥ずかしさとかが出てきましたし、長男が学校で言いふらしていたのもあって、「長男のお父さんのアカウント」と、友達の親御さん達にもバレましたので…。自分の知り合いにも見られてるかもと思い、しばらく気軽に投稿できませんでした。
ーーバズったことでうれしかったこと、困ったことを教えて。
うれしかった事は、バズりを体験できたことと、いろんなメディア等で紹介してもらい、貴重な体験になったことです。困ったことは、知り合いに見られてる感がしばらく続き、気軽に投稿出来なかったことです。
ーー「また大きくバズりたい」とは思う?
大きなバズりはもういいです(笑)。個人的に1000バズりくらいがちょうどいいと思います。ネタは自分のネタなら何でも(笑)。
ーーこれからバズりを迎える人へアドバイスを。
アドバイスとか言える立場では無いですが、多くの人に見られると、どうしてもひどいリプライも来たりします。「気持ち悪い」とか「子供の気持ち考えろ」とか。私は耐性があるので大丈夫でしたが、そういった心ないリプライをいちいち気にしないようにして欲しいかなと思います。
長男の反抗期は、家族との外出に一緒に来なくなったり、言葉遣いが少し悪くなり、些細な約束を守らなかったりといった軽いことだけで終わり、届の延長も再提出もなかったようだ。父親のティーエスさんも、長男が反抗期届を出した前後で特に大きな変化は実感していないそう。
ただ「反抗期届」を出したことで、目に見えない“反抗期”を意識するようになり、お互い今後の予行演習にはなったのではないかと語っていた。そして、大きくバズったことで、家族での素敵な思い出にもなり、結果的に軽めの”反抗期”になったということもあるのかもしれない。