訪日外国人の個人旅行が解禁されて11月11日で1カ月が経った。円安などの影響もあり、大手百貨店の売り上げには、“大きな動き”があったようだ。

どのような変化があったのか、松屋銀座の顧客政策課 龍野由木さんに「イット!」の榎並キャスターが話を聞いた。

松屋銀座 顧客政策課 龍野由木さん
松屋銀座 顧客政策課 龍野由木さん
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昨年1か月の客数を1日でクリア

ーー日本を訪れる外国人への規制が緩和されたが、お店への影響は?
11月に入ってお客様の数は昨年に比べて25倍ほど伸びています。

コロナ前の2019年に比べても55%ぐらいまで戻ってきていて、売り上げでいうと95%ぐらいまで回復しています。

11月に関してはほぼコロナ前の水準に戻っています。昨年1か月の免税の客数を今は土曜日1日でクリアする勢いです。

免税の手続きをする買い物客
免税の手続きをする買い物客

コロナ前に比べて客足はまだ半分だが、売り上げは約95%まで回復してきたという松屋銀座。
その背景には、やはり“円安”の影響があるという。
 

ーー人の戻りは半分だが、売り上げはほぼ戻ったというのは客単価が上がったということ?
そうです。円安の影響は買い物の際にかなり後押しになっていまして、特にラグジュアリー系のブランドを非常にたくさん購入いただいています。

ここ数年で物価も上がっているので商品の値上がりも影響しています。

バッグ7品を購入した台湾からの観光客
バッグ7品を購入した台湾からの観光客

この日、台湾からやってきた女性4人組はお気に入りのブランド物のハンドバッグを7つ購入。
合計金額は32万円、円安の影響で30%ほど安く買えたという。

また、香港からの2人組は、ブランドバッグ2つを28万円ほどで購入。円安によって香港で買うよりも10~20%ほどお得だと話した。

バッグ、化粧品など100万円分を爆買い

一方、“爆買い”と言えば中国人のイメージが強いかと思うが、それは現在も健在のようだ。

龍野さんが対応した中国人顧客は、ブランドもののバックやスーツケース、化粧品、約100万円分を値段を気にせずに購入したという。

「先日対応した中国の女性のお客様は、2時間半ほどの滞在で100万円以上のお買い物をされました。

ビジネスで1か月ほど日本に滞在されている方で、欲しかったブランドバッグやスーツケースを購入されたほか、日本のブランドを中心に化粧品をたくさん買われて、友人へのお土産だったり、ご自身へのプラスもう1本という感じで、あまり値段を気にせずに買っていらっしゃいました」

中国からの観光客緩和に期待

より多くの観光客に楽しい買い物体験を提供したいと話す龍野さんは、さらなる規制緩和に期待を寄せる。

ーーこの先の規制緩和への期待は?
今まだ中国からのお客様は観光目的での入国ができず、戻ってきていない状況なので、戻ってくればさらに数字が伸びてくると思います。

コロナ前だと免税のお客様の8割以上が中国のお客様だったので、大きな期待をしています。

ーー主力だった購買層がまだ居ない中で、売り上げが回復してきているというのは?
店全体としては、想定より早くインバウンドの戻りがあるなという印象です。

あとは中国のお客様に代わって、今、香港ですとか台湾、東南アジアのタイとかフィリピン、ベトナムのお客様が多く来られるようになっていますし、数としてはそんなに多くないですが中東のお客様もいらしていただいていて、国の数でいうと50か国以上から来ていただいています。

靴やお菓子などたくさんの買い物袋を抱える外国人客
靴やお菓子などたくさんの買い物袋を抱える外国人客

紅葉シーズンの次に期待されるのは、“桜の季節”のインバウンド消費だ。

ーー今後の目標値は?
インバウンドの消費はかなり上振れてきているので、少し上方修正しながら再度設定していく状況になっています。

実感としては「お客様戻ってきたね」と、どのスタッフも言っています。
数年ぶりに海外のお客様をお迎えしているので、戸惑いだったり言葉の壁で苦労することもありますが、たくさんのお客様をお迎えして、接客して喜んでお買い物していただくことが使命なので、それは単純に皆喜んでいます。