連日の物価高を受けて、政府が閣議決定した新たな総合経済対策。その規模は29兆円を超え、1世帯あたり4万5000円程度になる見込みだ。岸田首相が「前例のない思い切った対策」と強調する対策は、各家庭にどれくらいの「効果」があるのか検証した。

「思い切った対策」

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・ガソリン代…1リットルあたり約40円補助(来年1月以降も継続の見通し)
・ガス代…1立方メートルあたり30円補助(1月からの見通し)
・電気代…1キロワット時あたり7円補助(1月からの見通し)

標準的な家庭が1カ月に使う量だと、ガス代は900円程度、電気代は1800円程度安くなる見込みだ。

電気料金がどれだけ安くなるのか、実際の2人暮らし世帯の明細書でチェックしてみた。2022年10月の使用量は280キロワット時で、請求額は8125円だった。

ここに政府の補助が入ると、「280キロワット時×7円の補助」で、1960円安くなる。「電気料金8125円-1960円の補助」で、請求額は6165円になるという計算だ。

"お得感"は実感しづらい

政府の総合経済対策をどう見るか、経済の専門家2人に聞いてみた。

日本総研の若林厚仁主任研究員は、「狙いが薄くバラマキの印象」と指摘する。広く薄く配ることに国民がどれだけ恩恵を感じるか疑問で、さらに補助を始めるタイミングも遅いということだ。

りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は、今回の対策は「実感しづらい」としている。電気代などの引き落としが多いのでお得感が実感しづらく、消費につながらない。29兆円という規模を投資するなら、期限内の消費行動を促す「プレミアム付商品券」などを補助すべきだったという指摘する。

消費マインドへの影響も期待できないというのが専門家の見方だが、関西テレビの神崎デスクは、物価上昇と賃上げのタイムラグを懸念する。

神崎博デスク:
今、物価がどんどん上がっていますが賃金が追い付いていません。追い付くまでには1~3年くらいのタイムラグがあると、自民党の税制調査会の幹部が言っていました。追い付くまでの苦しい今、どれだけ政府が手を打てるか。スピード感が求められています

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月28日放送)

関西テレビ
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