旧統一教会をめぐり連日、野党の追及を受けていた山際経済再生相が10月24日夜、問題の責任を取る形で辞表を提出した。

教団トップと写真撮影「定かでない」

急速に広がっていた山際大志郎経済再生相(54)の交代論。野党側が追及したのは、旧統一教会のトップ・韓鶴子総裁と山際大臣が並んで写る2019年の写真だ。

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立憲民主党 後藤祐一議員:
2人でこんな近くで写真を撮っている。これは記憶にないんですか?

山際経済再生相:
そこに同席をしていた議員たちと、おそらく流れで写真を撮ったものだと。

立憲民主党 後藤祐一議員:
そんなことは聞いてません。韓鶴子総裁と撮った写真のことを今の時点で覚えているか?いないか?

山際経済再生相:
定かではありません。

山際経済再生相は曖昧な答弁を連発。18日には、「これから何か新しい事実等々が、さまざまなことで出てくる可能性はございます」と、自らさらなる後出しがある可能性を示唆。このわずか3日後、その教団トップと写った写真の存在が新たに分かった。

立憲民主党 後藤祐一議員:
自分で予言的中させちゃいましたね。「(記憶が)定かではない」というのは覚えていないということ?

山際経済再生相:
明確にそこの部分の場面を私が思い浮かべられることはない。

岸田首相は教団被害者らと直接面会へ

この終始苦しい説明に、与党内から「交代はやむを得ない」という声も。岸田首相は今後の審議に影響が出かねないとして、山際大臣の交代も視野に検討。要因の1つとみられるのが、支持率の低下だ。

これまで教団との接点を“後出し”で認めてきた山際経済再生相。しかし、教団トップの韓鶴子夫妻と会ったかどうかについては「記憶にない」を連発してきた。

岸田首相は当初、「1人辞めさせれば辞任ドミノになる」と慎重な姿勢だったが、支持率下落が直撃した形だ。

自民党内からは「山際のあの答弁じゃ、世論は離れるだけだ。どう頭をひねらせても交代はやむを得ない」との意見があり、山際大臣の支持者からも「裏切られる感じがして、ちょっとショック」との声が聞かれた。

一方、岸田首相は野党からの提案を受ける形で、教団の被害者らと直接面会する意向を明らかにした。

教団による被害を訴え続ける橋田達雄さんは、「聞いていただけるというのは、すごい前進だと思います。これからスタートだと僕は思っています」と話す。面会について、岸田首相は「直接話を聞く際にどういう形がいいのか、いま検討している」と述べた。

山際大臣が辞表提出「国会審議に障らないよう」

そして24日夜、旧統一協会をめぐる問題の責任を取る形で、山際経済再生相が岸田首相に辞表を提出した。

山際大臣は午後7時すぎ、首相官邸で記者団に対して「これからの国会審議を考えた時に、このタイミングで国会審議に障らないようにするべきだと自分自身で考えてきたが、このタイミング逃すわけにはいかないと思った」と述べた。

辞任の背景について、フジテレビ政治部 与党キャップの瀬島隆太郎記者に聞いた。

ーーこのタイミングでの山際大臣の辞任の背景は?

交代論というのは、岸田首相が先週、オーストラリアに訪問する前からささやかれていたが、この動きが本格化したのは、岸田首相が帰国してからだった。その理由というのは、党内から「岸田首相が旧統一協会との関係を絶つという方針をどれだけ打ち出しても、山際大臣が『記憶にない』といった答弁を続けていては、ちぐはぐな印象になってしまう。これでは支持率の低下は免れない」という見方が強まっていたから。
国会では24日に予算委員会の集中審議が行われたほか、今週内には山際大臣が出席する内閣委員会が予定されており、山際氏が矢面に立てば立つほど支持率が下がってしまうとの懸念の声が上がっていた。こうした懸念が高まったことから、急きょ、岸田首相が夕方の予定を変更して人事に着手したという流れになる。


ーー辞任による岸田政権への影響は?

もし辞めさせなければ、ある政権幹部は「今後の経済対策の裏付けとなる補正予算の審議への影響は必須だ」との見方を示していた。ですから、これを機に政府としては、物価高対策や経済対策などの議論に移行したい、といった狙いがあるものとみられる。


ーー山際大臣の後任は?

同じ轍は踏めない、同じような失敗は絶対にできないとの見方が広がっていて、現在官邸では後任人事の調整がかなり難航している模様。けれども、閣僚経験者などを起用して安定した体制をつくるのではないかと、こうした見方が広がっている。

(「イット!」10月24日放送)