名古屋が生んだロックスターの浅井健一さん。画家としての一面もあり、名古屋で開催された個展には連日大勢のファンが集まった。歌を通して、絵を通して、ロックのカリスマが語る愛と平和とは…。
絵を始めたのは17歳「個展でみんなと語り合いたい」

ギャラリーを彩る独特な色遣いの絵。

日本を代表するロックスターで、名古屋出身の浅井健一さん(57)の作品だ。

伝説のロックバンド、BLANKEY JET CITY(ブランキージェットシティ)のボーカル&ギタリストで、現在も様々なバンドで活動している。

映画の主人公に似ていることから、ニックネームは“ベンジー”。あの椎名林檎さんも楽曲「丸の内サディスティック」の中で、「そしたらベンジー、あたしをグレッチで殴って」と歌うほどリスペクトしている存在だ。

9月2日、浅井さんの姿は、朝の生放送をしている名古屋のFMラジオのスタジオにあった。

ZIP-FMパーソナリティ 荒戸完さん:
浅井健一さんが来てくれました!おはようございます。浅井さんって朝強いですか?
浅井健一さん:
めっちゃくちゃ強くって、朝の…下手したら4時半(起き)

9月に名古屋で開かれた個展を朝からラジオ局でPRした。
浅井健一さん:
どうしたら世界がより良くなるか。それをみんなで会話しようかなと思って
高校を中退し、ミュージシャンになるために東京へ出た浅井さん。絵を始めたのは17歳の頃だった。
浅井健一さん:
中日ビルに絵の教室があったんだわ、週に1回ある。それに半年ぐらい通ったことがあったかな
個展では、アクリル絵の具で描いた40点を展示。
浅井健一さん:
これすごく気に入っとって。ここでカレーを売っているという。1000円でワンドリンク付きで。良心的だね

浅井健一さん:
これは部屋で女性と一緒に、ある夜、お酒を飲んでいるという

浅井健一さん:
これは、世界中の緊急事態に駆け付けてレスキューするっていう

浅井健一さん:
日頃は街でソフトクリーム屋さんをやっているという設定。細きゃあ?(笑)
反戦テーマのコラボ絵本は発行部数4倍に

コロナ禍でバンドの活動が減る中、様々な形で表現を続ける浅井さん。これまで謎に包まれていた日常生活をインスタグラムで公開した。BLTサンドのつくり方や、レトルト海苔カレーの“中華風”などを紹介する、題して「ベンジースマイルクッキング」。

浅井健一さん(インスタグラムの投稿):
トースターがないのでパンを…魚焼き器で
さらに、日記やエッセイをまとめた本「神様はいつも両方を作る」も発表。

コロナや政治、民主主義や戦争など、浅井さんの考えが綴られている。

浅井健一さん:
やっぱり政治的なことを言うと、離れる人もたくさんいるので。だから、ミュージシャンとか芸能人はそういうこと言わないでしょ?それはわかるんだけど、でもやっぱり自分の思ってること、本当のことを言わないとダメだなと思う
反戦をテーマにした絵本「ベイビーレボリューション」。浅井さんの詩にあわせて、画家の奈良美智さんが絵を描いた。

世界中の赤ちゃんが、ハイハイしながら戦場へ…。純真無垢な力で世界を変えていく話だ。

出版されたのは3年前だが、2022年3月以降、発行部数が4倍に伸びた。
クレヨンハウス 吉原美穂さん:
今回、こういう戦争がまた起きてしまったというような、残念なきっかけではあったんですが、確かに手に取ってくださる方が増えている。子供たちに読んで聞かせたいのはもちろん、大人にこそ読んでもらいたい内容ですよね、というような声もいただいたりして

浅井健一さん:
俺たちは平和な時代に生まれて、平和しか知らないでしょ。でも人類(の歴史)をずっと眺めると、平和の間にたまに戦争があったっていう感覚では全くなくて、戦争の間にたまに平和があるっていう。たまたま俺たち、77年間平和の中にいるけど。だから気を付けないと、みんながちゃんと意識しないと、本当に起こるから
その考えは音楽にも表現されている。「紙飛行機」の歌詞には、こんなフレーズが。
「このまま行ったら またあの地獄のような戦争が始まるんでしょうか」

「この星の未来は 未来は 紙飛行機」

力強いギターの音と、想像が膨らむ独特の歌詞。その歌声は、未来への希望。愛と平和のロックだ。
アーティストのファンも来場「浅井さんはスーパーヒーロー」

9月2日に名古屋市中村区のギャラリー「高山額縁店 納屋橋 Komore」で始まった、浅井さんの個展。初日から2日間で500人以上が集まった。

初日夜のトークイベントでは…。

浅井健一さん:
「世界が良くなるためにはどうしたらいいのか」っていうが、一応テーマなんだけど

男性客A:
ちょっとダジャレかもしれないですけど、「右翼でも左翼でもなく、“仲良く”」って
浅井健一さん:
絶対そうですよね。おぉ、すごいね。ありがとう。右とか左言っとらずに仲良くだね。絶対それすごいわ。自分の考えと違う人を攻撃するんじゃなくて、自分の考えがあって、俺は違う人の考えも知りたいし。お互い話して高め合うというかさ、そういうふうになれたらいいんですけど
女性客(ファン歴25年):
歌詞の世界観が、1つの映画を見ているみたいな、情景が浮かんできたりとか。絵も本当にベンジーの世界だなっていうのがわかる
nobodyknows+元メンバー g-tonさん:
もう、目指せブランキーですから。ジャンルは違えど。ブレてないって感じがしますね

VIVACEボーカル&ギター 村屋光二さん:
彼って、やりたいことを貫き通してやっているスーパーヒーローなんですよね

lynch.ベース 明徳さん:
ベンジー、浅井さんの血というか意志を受け継ぎたい
7時間に渡りファンと語らう 芸術のあるべき姿とは

浅井健一さん:
どこから来られました?
男性客B:
沖縄から来ました
浅井健一さん:
マジ?
男性客B:
石垣島から

メジャーデビューから31年、57歳になった浅井さん。最近では親子2代にわたるファンも。

男性客C:
結婚して、いま家を建ててるんですよ。そこでネコを2匹飼うのを決めていて、名前を決めてほしくて
浅井健一さん:
ポチと…ルーラ
男性客C:
ありがとうございます!
浅井健一さん:
普通イヌだけどね(笑)
男の子:
どうやったらギターが上手くなるんですか?

浅井健一さん:
一生懸命練習する。何回も
コロナ禍で忘れかけていた出会いと触れ合い…。この日、浅井さんは7時間にわたりファンと語り、握手し続けた。

浅井健一さん:
今は57歳で、振り返る歌が多くなるし、どんどん死にも近づいて行ってるだろうから、歌うことが全然変わってきて、自然現象だと思うんだよね。芸術とかそういうふうに言われるものは、絶対光があるべきだと思うし、最終的には世の中を良くするっていうところにつながってないといかんと思うし。もっと高いところじゃないと、最終的に目指してるところが。だから志を高く持たないといかんと思う

「この世界の未来を良くしたい」と話す偉大なるロックスター、浅井健一さん。これからも愛と平和を歌い続ける。
(東海テレビ)