沖縄県の普天間基地にオスプレイが配備されてから2022年10月1日で10年になる。
安全性への懸念から、多くの県民が配備の中止を求めたが、沖縄の「声」が顧みられる事はなかった。「上に飛んでいるのだから、いつかは落ちると思っている」この10年、オスプレイが飛び交う地域の住民たちは不安と苦悩を抱え、毎日を過ごしてきた。

県民の激しい反対をよそに政府はオスプレイ配備を強行

2012年10月1日ニュース映像:
2機編隊を組んだオスプレイは住宅地上空を飛び、今ゆっくりと普天間基地に着陸しようとしています

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2022年から10年前の2012年10月1日、オスプレイが初めて沖縄に飛来。
県民の激しい反対をよそに、普天間基地への配備が強行された。

翁長那覇市長(当時):
沖縄県民は目覚めました。もう元には戻りません。オール沖縄で基地の整理縮小を強く訴えていこう

2013年1月28日、日比谷野外音楽堂 東京都
2013年1月28日、日比谷野外音楽堂 東京都

2013年には県内41全ての市町村の代表が上京し、政府に異議を申し立てた。当時の翁長那覇市長は、オスプレイの配備撤回を求める建白書を安倍総理に直接手渡した。

しかし、復帰後最大規模の要請行動も虚しく、オスプレイは沖縄での訓練を本格化させた。

2016年に名護市安部に墜落 県民の怒りはこれまでにないほど激しく

2016年 ニュース映像:
午前2時をまわったところです。名護市安部の沖合いには、大破したオスプレイが確認できます

2016年には名護市の浅瀬にオスプレイが墜落。県民の怒りはこれまでにないほど激しくなり、各地で抗議の声が上がった。

配備から10年、オスプレイは2022年も普天間基地に居座り続けている。

「いつかは落ちると思う」「閉鎖・撤去以外にはない」普天間基地周辺の住民の思い

山城賢栄さん:
超低空で、うちのところに下って来るんです。すごくうるさいと言うんですかね。恐怖を感じますね。防音工事という工事はされているわけですから、他よりは音が伝わりにくいとは思うんですが、オスプレイの音というのはそうじゃないですね。振動みたいに「ドドドドド」というような伝わり方をしますので

普天間基地の滑走路の延長線上、わずか500メートルほどの場所に自宅がある山城賢栄さん。

10年経っても現状は変わっていない。

山城賢栄さん:
我々(上大謝名の)公民館はすぐ近くで、そこで会合しているのが夜の8時、9時ですが、騒音、雑音で相手の話が聞き取れません。そういうのが常です

山城さんは安心して生活できる環境がほしいと、一刻も早い普天間基地の閉鎖を求める。

山城賢栄さん:
上に飛んでいるのだから、いつかは落ちると私は思っております。これをなくすには、閉鎖・撤去以外には無いですよ

「低空飛行で何時間も旋回」「不安の中で生活している状況」

アメリカ軍キャンプハンセンを抱える宜野座村。基地内のヘリパッドに近い城原区の住民は、2012年の配備以降、低空飛行で訓練するオスプレイに不安を募らせている。

宜野座村城原区 大嶺区長:
あの鉄塔の奥の方に着陸帯があるんですね。向こうから集落の周囲を旋回します。オスプレイが来たら、テレビも聞こえないし、会話も聞こえないという状態ですね

オスプレイが配備されてからの10年をこう振り返りかえる。

宜野座村城原区 大嶺区長:
低空飛行で、何時間も住宅の上を旋回しているんですね。いつ落ちるかわからない状況なんです。そういった不安の中で、生活しているという状況です

城原区の住民たちは、これまでに幾度となく沖縄防衛局に要請し、訓練中止を求めてきた。
しかし、軍の運用が改善される事はなかった。

区民が開いた抗議集会の参加者:
怖いんです、とても。すれすれを通りますので。静かな集落を作りたいんです

住民の声を無視するかのように続く訓練、さらに一歩間違えば大惨事となる物資を吊り下げた訓練に、住民の不安は増す一方だ。

2022年4月にも住宅地上空での吊り下げ訓練が連日確認された。

宜野座村城原区 大嶺区長:
オスプレイは報道でもされているように、欠陥と言われていますよね。欠陥のオスプレイを平気で民間地の上で訓練していますので、抗議は何回もやっていますけど、本当に効果あるのかどうなのか

沖縄本島に張り巡らされたオスプレイ対応の着陸帯。普天間基地の周辺に留まらず、多くの地域で人々は墜落事故への不安を抱き、騒音に苛まれる日々を過ごしている。

沖縄テレビ
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