医療現場の働き方を改善するAI(人工知能)ツール。
カルテの入力時間が、7分の1に激減した。

AIが要約してカルテ作成

名古屋市にある産婦人科のクリニックで、実験的に導入しているものがある。
診察時のカルテの入力作業を軽減するシステム「カナボー」。

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伊藤しあわせクリニック 伊藤嘉康院長:
私と患者さんがしゃべった言葉が文字になって、それをまとめてカルテに入れる「カナボー」というんですけど、そういうシステムを入れております。

 「カナボー」は、診察時の「カルテ」の入力作業を軽減するシステム。毎日3時間半ほどかかっていた作業が、30分ほどで終わるようになった。
どのように軽減するのか、番組スタッフが患者役になり、見せてもらった。

先生:
お腹痛いのは、いつ頃から痛いですか?

患者:
3日前くらいからです

先生:
3日前からですか

日常的に診察室で行われる患者との会話が、リアルタイムで文字におこされていく。

さらに、会話した内容からカルテに記載する必要がある症状、診察方針などの内容をAIが要約して作成してくれる。

カルテは診察時間内に書ききれず、診察後に補足で書き加えることが多いが、要約メモが作成されることで入力の時間を大幅に削減できるという。

患者との向き合い方にも変化

このシステムは、開発した企業の代表・滝内さんが、病気で亡くなった息子の闘病中、働く医療従事者の現状を目にしたことがきっかけで開発された。

kanata株式会社 滝内冬夫代表:
せっかく息子がお世話になった医療業界に恩返しをしたいなと思って、いわゆるドクターの働き方改革、あるいはナースの業務改善ということを実現するお手伝いをしたいと言って始めました

カルテの入力の短縮は、業務の負担を軽減するだけでなく、患者との向き合い方にも変化をもたらすという。

伊藤しあわせクリニック 伊藤嘉康院長:
慌てて次のことやらないといけないとか考えるのが減るので、そういう意味では患者さんに向かうだけのことに集中できる

kanata株式会社 滝内冬夫代表:
ドクターと患者さんがアイコンタクトできるということは、信頼がやっぱりできますよね。見つめあえると全然違うじゃないですか。今までの医療ももちろん大丈夫だったと思うんですけど、今後患者さんと医療者が手を携えながら向き合って、病に立ち向かっていくという状況を支えていきたいなと思っています

(「Live News α」10月10日放送分)