子供ではなく、孫の育児休暇が宮城県庁で導入される。村井嘉浩知事は、県職員が孫の育児のために取得できる特別休暇、いわゆる“孫の育児休暇”を2023年1月に導入する方針であることを、10月3日の定例会見で明らかにした。県によると、孫の育児休暇が導入されれば、都道府県で初となる。
9月に2人目の孫が生まれた村井知事は、導入の理由について「近年は共働き世帯が増加しており、夫婦の協力はもちろん、祖父母なども積極的に孫の育児に関わり、子育て世代を支援する必要があると日頃から考えていた」と話している。
また宮城県では、職員の定年を2031年度までに60歳から65歳に段階的に引き上げる条例案が提出されており、それに伴い、祖父母となる職員が増加することも見込んでいる。
積極的に孫の育児に関わり、子育て世代を支援する必要
たしかに、子育てする夫婦の中には、祖父母の支援があると助かるという人も少なくないだろう。では宮城県の孫の育児休暇では、どのくらい休みが取れ、どのような取得の要件を考えているのだろうか?宮城県総務部人事課給与制度班の担当者に詳しく話を聞いてみた。
――そもそも宮城県は他の県と比べて、祖父母が同居する世帯は多い?
令和2年国勢調査によれば、3世代同居率は6.9%となっております。1位は山形県の13.9%で、宮城県は上から16番目となります。
――なぜ孫の育児休暇を導入することになった?
共働きの世帯が増加し、子育てに当たっては、夫婦の協力はもちろん、祖父母なども積極的に孫の育児に関わり、子育て世代を支援する必要があるということ。これに加え、「新・宮城の将来ビジョン」において「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」を柱に据えており、県内企業においてもこれまで以上に社会全体で子育てを支える環境づくりが重要であることから、県が導入することで普及が図られると考えています。
――導入のきっかけは、村井知事に孫がいることも関係ある?
県が目指す子育て支援のための社会づくりを行っていくうえで祖父母も子育てに関わっていくことも大切だと考えています。知事に孫がいることで、県民への発信効果は非常に高いと考えます。
――孫の育児休暇を希望する声は、これまで職員からあった?
職員からは、「これまでの子育ての中で、祖父母が頼りになった」「今後、孫の世話で休みを取る可能性があるので休暇制度があれば助かる」等との意見がありました。
既存の特別休暇を祖父母まで拡げることを検討中
――孫の育児休暇について、県民の反応は?
直接の意見は少ないですが、「人口減少社会でこういった取り組みは重要である」「民間企業では育児休暇もままならないのに、公務員ばかり優遇されている」といった意見がありました。
――孫の育児休暇の取得要件や日数などは、現段階でどこまで決まっている?
既存の特別休暇である下記について祖父母まで対象を拡げることを検討中です。
〈出産補助のための休暇〉
要件:妻の出産時に入退院の付き添いや子の出生の届出等の場合に取得可
期間:出産に係る入院の日から産後2週間の間で2日間
〈育児参加のための休暇〉
要件:生まれた子や小学校就学前の子の養育にあたり取得可
期間:出産予定日の8週間前から産後1年までの間で5日間
――これまで宮城県では、子育ての支援のために主にどんな取り組みを行ってきた?
本県においては、育児休業制度に加え、特別休暇制度として産前・産後休暇など妊娠出産に関わるもののほか、育児時間、子の看護休暇などを設けています。このほかに、子どもが生まれる男性職員に対して、所属から「男性職員の育児参加計画書(新マイパパプラン)」を提出するよう声がけを行い、休暇等を取得しやすい職場環境づくりに努めてきました。
――県として、育児休暇を職員たちにどのように活用してほしい?
孫休暇に関しては、祖父母となった職員に、自分の子である子育て世代を応援するため、積極的に活用してほしいと考えます。
宮城県の孫の育児休暇の詳細については、既存の特別休暇を祖父母まで対象を拡げることで検討しているとのことだ。担当者が話すように、こうした取り組みをきっかけに、社会全体で子育てを支える環境づくりが広がっていってほしい。