10月1日から、新しい”パパの育児休業制度”が始まった。これまでの制度と何が違うのか?新制度によって、パパは育休を取りやすくなるのだろうか?

出生後8週間以内に”2回に分割して”取得可能

厚生労働省の調査によると、2021年度、育児休業を取得した男性は過去最高の13.97%。それでも女性の85.1%と比べると、依然として大きな差がある。
政府は2025年までに、男性の育休取得率を30%に引き上げる目標を掲げているが、まだまだ届いていないのが現状だ。

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そこで、男性の育児休業取得を推進しようと、政府が新たに打ち出したのが「産後パパ育休」(出生時育児休業)である。
これまでの「パパ休暇」という制度は、子どもが生まれてから8週間以内に男性が育休を取得した場合、子どもが1歳になるまでにもう1回育休が取れる制度だった。そこへ、出生後8週間以内の大変な時期にもっと柔軟な対応を…と創設されたのが、今回の新制度だ。
10月1日から施行された「産後パパ育休」では、子どもが生まれてから8週間以内に、最大で4週間までの育休を”2回に分けて”取ることができる。

「産後パパ育休」によって、どういうことが可能になるのか。
例えば、妻の出産の立ち会いや退院後のケアのために1週間休む(1回目)。その後、夫はいったん職場に復帰し、妻が里帰りから戻るタイミングで再び2週間休む(2回目)。

(例)10月1日に子どもが生まれ、「産後パパ育休」を1週間と2週間の2回、合わせて3週間取得
(例)10月1日に子どもが生まれ、「産後パパ育休」を1週間と2週間の2回、合わせて3週間取得

このように分割して取得できることで、男性が育休を取りやすくするねらいがある。

「妻が少しでも楽になれば…」企業も男性社員の育休推進

こうした中、広島に本社を置く自動車メーカーのマツダでは、積極的に「産後パパ育休」の取得を推進している。これから取得予定の男性社員に話を聞いた。

府中町のマツダ広島本社ビル
府中町のマツダ広島本社ビル

マツダで働く松浦元亮さん。9月7日に第一子の永茉ちゃんが誕生し、パパになったばかりだ。

マツダ 商品収益企画部・松浦元亮さん:
生まれた次の日、初めて抱っこしたときに泣いてくれて…一生懸命声を上げていると思うと、泣いた顔がとてもかわいいなと

永茉ちゃんにメロメロの松浦さんは、妻のことを考え、10月に「産後パパ育休」を取得することにした。

松浦さんのスマホの待ち受け画面は、もちろん永茉ちゃん
松浦さんのスマホの待ち受け画面は、もちろん永茉ちゃん

マツダ 商品収益企画部・松浦元亮さん:
妻は出産後3カ月間は体の不調が続きますし、授乳などで夜もあまり眠れません。一日中、育児をしなければいけない環境になるので、夫にサポートしてもらいたいという話を聞いていました。妻が少しでも楽になればいいと思っています

マツダは、現時点で育休取得を予定している男性社員が48人いて、さらに取得者を増やす方針だという。

マツダ 人事本部・興梠幸広さん:
職場や上司の理解が高まっていけば、みんなで育児をサポートしていこうという雰囲気になっていくと思います。会社全体として理解を深めていくことが鍵だと思っております

「育児休業制度」も柔軟化 ”夫婦交代”で働きながら育児

「産後パパ育休」と共に見直されたのが、最長2歳までの「育児休業制度」。これまで分割不可だった育休を、父母それぞれが”分割して2回”取得できるようになった。
さらに1歳以降も育休を延長した場合、育休開始日が1歳と1歳半の時点に限定されていたが、今回の改正で育休開始日が柔軟化され”夫婦交代で育休を取得”することも可能に。これまで以上に夫婦で力を合わせて、仕事と育児の両立を目指せる制度になった。

男性が育休を取得することについて、広島の街の人はどう受け止めているのか。

30代夫婦:
(夫)「産後パパ育休」を取れたらいいですね。子どもと一緒にいる時間が長い方がいい。ママは一人で大変だしね
(妻)子どもが生まれたばかりの時期は体がきつい。パパに休んでもらった方がゆっくりできます

40代事務職:
自分じゃないとできない仕事があるので、育休を取った場合、その仕事をどうやって回していくか不安です。会社が変わっていくようであれば、僕らも仕事のやり方を変えていかないといけないと思います

男性の育児参加はこれから進んでいくのだろうか。
広島県内の男性の育休取得率は、2020年度時点で18.2%と全国平均を上回っている。しかし育休の取得期間は、民間企業で働く男性のほとんどが”1カ月未満”と短い傾向にある。県はセミナーを開き、啓発活動を行う考えだ。

男性の育休取得率は、低水準ながらも上昇傾向
男性の育休取得率は、低水準ながらも上昇傾向

育児休業制度が新しくなることはいいことだが、制度を利用しやすい環境を企業側が整えていくことも必要だ。男性の育児参加を進めるため、育休を取得しやすい”職場の雰囲気づくり”が大事になってくる。

(テレビ新広島)

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