マンゴーと言えば、南国のフルーツの代表格だ。
南国では冬に休眠、夏に成長するそのマンゴーが、北海道では、世界でも珍しい“真逆の方法”で栽培されている。
カギとなるのは「雪」と「温泉」。
北海道の自然の力を生かして地球環境にも貢献する、マンゴ-栽培の取り組みを取材した。                        

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北海道で南国のフルーツが…カギは"自然エネルギー"

世界規模で進む地球温暖化。特に北海道は世界でも温暖化が進んでいる地域で、100年前に比べると平均気温は1.6度も上昇している。猛暑になったり、台風の影響を受けやすくなったり、流氷が来なくなるなど、気候変動の影響がはっきりと現れてきた。

十勝の音更町の「ノラワークスジャパン」。
環境に配慮し、"石油に頼らない”栽培法に取り組むこちらでは、本来であれば春から夏にかけてなるはずのマンゴーが、秋を迎えたこの時期にたくさん実っている。

12月の出荷に向けて、さらに大きくなってきていくという。

なぜ、音更町で南国のフルーツ、マンゴーの栽培ができるのか。

その答えが、音更町の自然が生む温泉と雪のエネルギーだ。

ノラワークスジャパン・中川裕之社長:
これが温泉なんです。冬にこれを利用して、ハウスの中を暖めるというエネルギー活用ですね

さらに、別の場所には…。

ノラワークスジャパン・中川裕之社長:
真冬に雪をためる世界最大級の『雪氷庫』なんです

南国のフルーツとはいえ、マンゴーもほかの果物と同じように、四季の気温の変化が、成長するための大切な要素となる。

冬の寒さがあることで、実をつけることができるのだ。

"温泉"と"雪"で四季を再現 「農薬を使わずにすむ効果も」

マンゴーの産地として有名な宮崎県では、冬にはマンゴーを休眠させ、夏に実を成長させる。

音更町はまったくの正反対。夏に雪を利用してマンゴーを休眠させ、冬に温泉熱を使って成長させるのだ。

なぜ、自然エネルギーの利用を考えたのだろうか。

ノラワークスジャパン・中川裕之社長:
元々は石油販売業をやっていて、石油は世界的に悪、環境に負荷をかけている商品だっていう時代に、自分のやっていることが本当にこれでいいのだろうかと思っていた。その時に、石油を使わないでマンゴーを作ることが出来ないかって、一番最初に思った

最初は半信半疑だったが、実際に始めてみると十勝がマンゴー栽培に適した土地だと分かってきたという。

ノラワークスジャパン・中川裕之社長:
冬に作るということは、害虫がいなくなってくるので、その時期に農薬を使わなくても済むっていうことが分かった。十勝は日照時間が長いので、マンゴーだけでじゃなくて亜熱帯の作物を作る条件は整っている

CO2の排出を抑えた、世界でも珍しいマンゴー栽培が続けられている。

ノラワークスジャパン・中川裕之社長:
地球環境にいかに貢献しながら、農業ができるかを考えていきたい

(uhb北海道文化放送)

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