触り心地が、商品価値に影響を及ぼす――。
広島大学がそんなユニークな研究を行い、世界初の実証実験の結果を発表した。

コロナ禍でネットショッピング増 購買行動は「視覚」中心に

広島大学での実験結果発表
広島大学での実験結果発表
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木村仁美アナウンサー:
広島大学東千田キャンパスです。今ここで、世界で初めての実証実験の結果が発表されています。みなさん前に集まって、実際に触っているのはスマートフォンです

机の上に並べられた、アルファベットが書かれた箱とスマートフォン。これらを使って世界で初めて実証されたのが”触感”、つまり触り心地が”製品の付加価値を上げる”ということだ。

広島大学大学院 人間社会科学研究科・角谷快彦 教授:
欲しい触感は、消費者の性別や年齢・社会経済的背景に加え、製品の用途や使い方によって異なる。そんな当たり前の事実がこれまで見過ごされてきた

日常生活で、パソコンを操作するマウスや文字を書くペン、アナウンサーが手に持つマイクなど、様々なものを触れて感じている私たち。しかしコロナ禍に入ってからは、インターネット上での買いの頻度も増し、商品選びにはより一層「視覚」が重視されるようになってきている。

広島大学大学院 人間社会科学研究科・角谷快彦 教授:
人間は五感があるにも関わらず、「見る」に偏った購買行動は持続可能なのか?

そこで、触り心地が購買行動にどのような影響を与えるのかを実験したという。

性別・年齢などターゲットによって違う触り心地の商品開発が可能

実験対象者へのアンケート
実験対象者へのアンケート

広島大学大学院 人間社会科学研究科・角谷快彦 教授:
実験の対象者には事前に、スマホの利用頻度とか、お金に関することをいろいろ聞いている。リスク許容度とか収入なども

この実験は広島大学の学生ら139人を対象に行われ、触り心地の違う4つのスマホケースを触って感じた付加価値について答えてもらい、スマホの利用頻度など個人のデータと比較・分析したものだ。

実際に木村アナウンサーも、4つのスマホケースの触り心地を試してみた。

木村仁美アナウンサー:
ああ~…なめらかですね。手に馴染みやすいというか、たしかにこの中ではCが一番スマホケースとしては落としにくそうな感じがする

箱の中に置かれた、「C」のスマホケースを触る
箱の中に置かれた、「C」のスマホケースを触る

木村アナウンサーが良いと感じたこの「C」のスマホケース、大学生への実験ではどのような結果が出たのか。

角谷教授:
分析結果から、リスク許容度が高いとか、スマホの利用時間が長いとか、そういったことがCの触り心地を評価することに繋がると言える。ヘビーユーザー向けみたいなコンセプトでCを売り出せば、ニーズにあった人に届くので、高い価値で値段をつけて売ることができる

店に行かなくても、ネットで欲しい商品が手に入るのが常識となった昨今。視覚に偏り、触感が軽視されている現実に、研究者は異議を唱える。

広島大学大学院 先進理工系科学研究科・栗田雄一 教授:
操作感や安全性において、触感や重さなど、力の感覚はものすごく影響しているにも関わらず、現状のeコマース(=インターネット上での取引。ネットショッピングなど)がその情報を送らないせいで、商品選択の評価軸に入ってこない。気付かれないまま”売ったもん勝ち”みたいなところがある。
それは誰が損しているかというと、ユーザーだ。これもちゃんと評価軸にいれようという雰囲気を盛り上げたい。というか理解していただきたい

これからは同じ製品でも、年齢・性別など、ターゲットによって触り心地が違うものが出てくるのかもしれない。

(テレビ新広島)