新たな水産ブランド「宮古トラウトサーモン」

岩手県宮古市で新たに誕生した、海上で養殖されたトラウトサーモンの取り組み。水揚げが低迷する水産業界でイカ王子こと共和水産の鈴木良太専務もこの新たな特産に希望を見出している。

宮古市 山本正徳市長:(4月24日 宮古市魚市場 初出荷式)
トラウトが順調に成長いたしまして、本日このように初出荷を迎えることができました

この日、「サケの町宮古」に新たな水産ブランドが誕生した。まるまる太った銀色に輝く魚「宮古トラウトサーモン」。トラウトサーモンは養殖用に開発されたニジマスで、主力の秋サケと違って刺身でも食べられるため多くの需要がある。

宮古市では、2019年11月から宮古湾に設置されたいけす2基でトラウトサーモン約2万5千匹の養殖を始めた。

宮古市水産課 佐々木勝利課長:
近年、水揚げがかなり減ってきていたので、何か対策をとらなけれないけないということの一つの手段として、(トラウトという)魚類の養殖を試みた

佐々木課長が話す通り、2019年度の秋サケの水揚げは、前年度から8割減少する記録的な不漁が続いている。

4月23日、いよいよ初水揚げの日がやってきた。まずは養殖いけすから出荷サイズの2キロ以上のサーモンが出荷用のいけすに移し替えられた。その後、500匹のサーモンが魚市場に水揚げされた。

宮古トラウトサーモンの初年度の水揚げ目標は50トン。出荷量としては、まだまだ少量だが、魚市場の閑散期と言われる4月から7月にかけて出荷できるのも利点の一つだ。

飼育を担当した宮古漁協 大井晃章さん:
良かったと思います。相当大きくなりましたので。最初どうなるかと思いましたが、あまりしけにもあわなくてうまい具合にえさも食べてくれました

4月24日の初出荷式では、試食会も開かれた。当初はホテルで開かれる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で規模を縮小し、会場は市場の会議室となった。

井上智晶アナウンサー:
初めて水揚げされたトラウトサーモン。特徴は刺身で食べられることです。市場関係者の反応はどうでしょうか

仲買人:
他の養殖と比べてさっぱりしているので食べやすいと思います

宮古漁協 大井誠治組合長:
これを成長産業の一環として、トラウト栽培を岩手県に普及させたいと思っていました。宮城は銀ザケ、岩手はトラウトサーモン、そういう風に位置付けてやっています

早速、行われた競りでは、全国の相場が500円前後のところ、高いもので1000円の値が付いた。ただ、全国には、「みやぎサーモン」や青森の「海峡サーモン」などご当地サーモンが100以上あり、そのなかでどう売り込むかが今後の課題といえそうだ。

東北区水産研究所 二階堂英城センター長:
先人がいろいろ作ってくれた知見がありますから、それを利用して同じ轍は踏まない。成功する方法だけを踏んでいく。最後発の強みもありますからそこを活かしたい

“イカ王子”もトラウトサーモンに注目

このトラウトサーモンに目をつけ熱い情熱を注ぐ人がいる。イカ王子こと共和水産の鈴木良太専務。

共和水産 鈴木良太専務:
やっぱり自分達の街って秋サケなんだ、サーモンなんだって、そう全員が言ってもらえるように一番声を出したいなと思ってます

鈴木専務は、これまで自分のことをイカ王子と名乗り、イカの魅力を全国に発信してきた。さらに、全国有数の水揚げを誇るマダラを使ったタラフライも全国から注文が入る人気商品に押し上げた。

そして、次に発信しようとしているのがトラウトサーモン。鈴木専務も、早速この日競り落とした。

会社に戻って、3キロ近くもあるサーモンをさばいて刺身にしたり、漬け丼用のタレにつけたりしてその品質を確かめていた。

共和水産 鈴木良太専務:
うまい。弊社は特に生食じゃないですか。いかそうめんなので、あまり脂関係ない会社だったんですけど、やっぱりおいしいなって。脂ある魚っておいしいってイカが嫉妬してます(笑)

冷凍技術が高い共和水産では、いつでも食べられる冷凍の刺身として売り出すことに大きな可能性を見出していた。

共和水産 鈴木良太専務:
端境期でも安心して飲食や宿泊施設、居酒屋の皆さまに使っていただけるようなトラウトサーモンのお刺身・加工品を作りたいと思っている

市民の反応も上々で魚菜市場に並んだサーモンは次々に売れたという。

市民:
テレビ見てきました。食べてみたいです

三上商店 坂本照彦さん:
反応が良かったのでこれが長続きしてくれれば良いと思います

岩船商店 岩船良子さん:
サーモンの街、みやこですから、地元のサーモン食べたいですよね。しかもお刺身にできるのが最高です

低迷する水産の未来を切り開くためにも、宮古市全体で新たに誕生したブランドの価値を高めていくことが求められる。

(岩手めんこいテレビ)